前回は以下の過去記事を書きましたが、今回はその続きといった感じです。
前回は理解することに対して、「分けること」という風に書きました。
しかしある本を読んで、これは違うのではないか?、もしくは別のやり方もあるのではないか?分けるだけでは不十分なのではないか?と思ったことがあります。
なぜそう思ったのかについて、今回書いていきたいと思います。
理解することは細分化すること
バーバラ ミントさんの
- 『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』
という本があります。
問題に対しての分析方法やその意義についてはなんとなくわかってきました。その分析によってわかったことからどうやって改善案を提案するところまでつなげるかをインターネット上で、調べていたところ本書を見つけました。
本書は国内外のコンサルティングファームの新入社員が本書を読まされるらしく、将来その道を目指す人や一般の社会人にとっても必要な本と言われているとのこと。
ピラミッド原則
大まかな内容としては、相手にわかりやすい文章を書くにはどうすれば良いかについて書かれています。
著者は、人がわかりやすい文章を書けないのは、論理構造に問題があると指摘しています。
そういった問題に対して「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を示して、どうすればわかりやすく、相手に伝わる文章を書けるかを上手に論理立てて説明していくという構成となっています。
この本は4部構成になっており、
- 第Ⅰ部が「書く技術」
- 第Ⅱ部が「考える技術」
- 第Ⅲ部が「問題解決の技術」
- 第Ⅳ部が「表現の技術」
となっています。
まだ全部は読んでいないのですが、今の自分の状況を考えると第Ⅲ部が非常に興味を持てそうな感じだったので、この部分を優先的に読んでみました。
読んでみた感想としては、今回の記事名に書いたように、理解することとは分けることではなく、「細分化すること」とも言えるのではないかと思いました。
その具体例について書いていって見ます。
解決の選択肢を明らかにする━ロジックツリーについて
世の中には多くの問題があります。最近では正社員と非正規社員との間で、仕事内容は大して変わらない人がいるのに、賃金に格差があるということが問題となっていました。
そのような問題に対して、今後はそういった格差を縮めるように同一労働同一賃金制度の成立に目処が立ったようです。
多くの物事に大して共通すると思うのですが、現在は何らかの問題があると。一方で「本来はこうあるべき」という、望ましい形があるわけです。
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)
現在問題が存在する状況から、どうやって望ましいあるべき状況にしていくか、この2つの事象にをつなぐための「解決策」について、第Ⅲ部では書かれています。
その解決策を探し出すためには、まず情報収集が必要です。
しかし、何の目的も手がかりもなく、ただなんとなくこのあたりだろうという「感覚」だけで動いてしまうと、あれも必要だろうこれも必要だろうという風に膨大な情報量になってしまいます。
そうではなく、一定の基準、ルールの下になんらかの枠組みを使うことで短時間で効率的に、モレがなくダブりがない解決策を見つけ出せると本書には書かれています。
その中で「あぁ、こういう風に考えればいいのかな」と感じたことが
- 「ロジックツリー」
というものです。
このロジックツリーといった言葉や図については以前から見かけたりしていて知ってはいたのですが、その重要性についてはいまいちわかっていませんでした。具体的には以下のような図です。
p.216
※エクセルで表現しやすいように、わかりやすく伝えられるように一部分に手を加えています。
『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』から引用
この図にどういった重要性を感じたかというと以下の点です。
- いろんな解決策の選択肢を見出せる
- モレなくダブりなく論理的に可能性を洗い出せる
中小企業診断士やコンサルタントの本を読んでいると
- MECE(Mutually Exclusiveand Collectively Exhaustiveの略)
といった言葉をよく見かけます。この言葉の意味は
- 重複なく(ダブりなく)
- 漏れなく(モレなく)
といった形でよく使われます。
この分野の知識や仕事を学ぶ上で大事なんだろうなぁとは思っていたのですが、その重要性や考え方についてはわかっていませんでした。
本書を読んだり、ロジックツリーの意義を理解できるようになることで、「あぁ、だからこういう言葉を使うんだな」とわかるようなってきました。なるほど。
まとめ
今まで頭の中でバラバラだったものが、上手い具合に繋がって組み合わせられそうな感じがしてきました。今までだと、例えばこういう時はA、こういう時はBをする、みたいにバラバラに捉えていました。
そうではなくて、一番大元になるものがあって、それを細分化していくと解決策を見つけ出すことが出来る、といったイメージが出来てきました。
神は細部に宿る
世の中には「神は細部に宿る」という言葉がありますが、一般的な意味としては「素晴らしい芸術作品や良い仕事は細かいところをきちんと仕上げている」と言われています。
「神は細部に宿る」という意味には、今回の記事にも書いたように、いろんな物事の問題解決や本質には実は細部にある、という意味も含まれているんじゃないかなぁと思いました。
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コメント
「知識の倉庫の整理」ブログさんは、本を読みながらしっかりテーマについて考えて、知識同士の有機なつながりのある良質な記事を書かれているのでいいですね。これからも読みにきたいです^^
・・・
「理解することは細分化すること」というのは、ほんとうに、そうだなと思いました。
ある事柄について細分化すれば、情報量はねずみ算式に増えますし、親子関係を持った有機的な構造になりますよね。だから、細分化のプロセスを経て理解したことについては、トップダウンでも、ボトムアップでも、ある程度の情報量を持って語れるようになりますし、他の事柄とリンクさせることもできます・・・。
そういえば、ソフトバンクの孫 正義社長も構造化の重要性を理解していたそうです。元社長室長の三木雄信さんが本の中で書かれていたことなのですが、三木さんは「経営に関する要素を3日で1 万語挙げて提出する」ことを孫社長に求められたそうです。このとき「細分化」することで、この難題をクリアしたそうですよ。
>いろは (id:kakekun)さん
コメントありがとうございます。すごい嬉しいです。
なんだか隅々まで中身を見られている感じで、嬉しいような恥ずかしいような感覚です。
>三木さんは「経営に関する要素を3日で1 万語挙げて提出する」ことを孫社長に求められたそうです。このとき「細分化」することで、この難題をクリアしたそうですよ。
すごい勉強されていらっしゃるみたいですね。いろはさんはもしかしてその道で働いていた方でしょうか?
>知識の倉庫の整理 (id:psoukonoseiri)さん
こんばんは、
お返事ありがとうございます。
いえいえ、ただの読書好きです。
面白い記事を書かれていたので、
つい、コメントしちゃいました^^*