ここ数年は消費税が8%から10%への移行について、それを実施するのかそれとも延長するのかといった議論がされ続けています。また、社会保険料の料率も年々増加していっており、会社員として働く人々や企業側も負担が大きくなっています。
そのような中で、なぜ今まで日本の労働者の平均労働時間が実際は長いのかなぜ日本で非正規の割合が増加しているのかずっと考えていました。
今回はそのことについて書いていってみます。
消費税増税で外注や派遣が増える理由
今まで書いてきた、男性や女性の正社員の現実的な平均時給の内容も今回の記事とつながってきます。その理由は以下の動画と記事が非常にわかりやすく説明してくれています。
以下のサイトから必要な箇所を引用してみます。
「売上高の1000万円に対して、仕入れ原価400万円、諸経費200万円、給料300万円がかかったとする。消費税率が5%なら、売上高1000万円に対して預かった消費税は50万円。
一方、自社が支払った消費税は、仕入れ分20万円、諸経費分10万円の合計30万円。つまり「50万-30万」で20万円が納税額となる。
一方、社員の代わりに派遣や外注を頼むと、外部委託にかかった15万円の分をさらに控除できるので、「50万-(20万+10万+15万)」となって5万円の納税額で済む。
結果、それだけ懐に残るキャッシュが増え、「それなら派遣・外注を頼もう」ということになる。」
引用ここまで
上記の動画と記事から言えることは、今後は派遣社員などの非正規を雇うほうが会社としてはキャッシュが残りやすく得である、ということです。
むしろ非正規を雇わざるを得なくなっていくということになります。さらに消費税は2017年に10%への増額が決定されていますし、社会保険料率は平成29年度まで増加する予定となっています。
「正社員」で人を雇う場合、社会保険料の増額によって正社員の手取りはより少なくなり、会社側の負担はより増加するということです。
「派遣社員」においては、消費税の増加に伴い派遣社員に多く働いてもらえばもらうほど、消費税支払の負担が少なくなるわけです。これで非正規が増えないわけがないということですね。最近ではついに非正規の割合が40%を越えたという記事も見たりします。
また別の視点から見ると、今後正社員の負担も増加していくということです。今までと同じ時間で同じ給料を払っていたんでは、企業は手元に残る現金は以前より減ってしまいます。
ということは、正社員に今後さらにサービス残業を強いて「時間あたりの給料」を減らしていくしかなくなってきます。
今後一人ひとりに考えられるシナリオ
日本の製造業は、外国の技術キャッチアップ能力の向上によって徐々に競争優位性を喪失しています。加えて消費税増税と社会保険料率の増加により価格勝負の面が強くなっているのが現状かと思います。
ここ20年の派遣社員の平均時給は年々増加傾向であり、正社員の平均年収は低下傾向です。このことから今後、正社員を雇う企業が、その組織を維持していくことは難しくなっていくのではないでしょうか。
その中で考えられることは、
- なんらかの新しい選択肢
を考えなければいけなくなってくるのではないか、ということです。新しい選択肢というと人それぞれ違うかと思いますが、それは例えば転職であったり、新しい働き方であったりすると思います。
そのような中で現在、
- クラウドソーシング
- 在宅勤務
など、新しい働き方が注目されるようになってきているのは無関係ではないと思います。
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