ここ最近は、日本の人口の減少による人手不足が問題になっています。そのため正社員など一人当たりの労働時間が延びている、また、それによる疲労や鬱病で会社を辞める人も存在します。
前回は、以下の過去記事からなぜ今まで日本の労働者の平均労働時間が実際は長いのか、なぜ日本で非正規の割合が増加しているのかというのを消費税と社会保険料に焦点をあてて書いてみました。
今回はなぜその消費税と社会保険料が増加しているのかという点にスポットを当ててみました。
消費税法改正等のお知らせ(国税庁 平成27年4月改訂)
- 消費税法改正等のお知らせ(国税庁 平成27年4月改訂)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/201311.pdf
上記の記事にあるように、今後の景気の状況を勘案して、2017年の4月に消費税の10%への増税が予定されています。
主要税目の税収(一般会計分)の推移
その中で消費税は今までの税体系の中で重要性が増しており、現在日本では、少子高齢化が急速に進行しています。その結果勤労世代の割合が低下し所得税に頼らない税源が必要になってきます。下記の「主要税目の税収(一般会計分)の推移」の表がそれを表しています。
- 主要税目の税収(一般会計分)の推移
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htmwww.mof.go.jp
上記の表を見てみると景気の良し悪しによって、所得税や法人税は変動が大きいですが、それとは関係なく消費税の税収は一定となっているのがわかります。
少子高齢化によって勤労世代の割合低下で所得税の収入の低下、企業間競争の激化によって法人税収の低下、とくると、それを補うために安定した税源として消費税の増税が考えられてくるわけです。
複数の外部要因によって非正規割合の増加が余儀なくされる
前回の記事で、非正規雇用の割合の増加の原因のひとつに消費税と社会保険料の増加が関係しているといった記事を書きました。
社会保障給付費が100兆円を越える
さらにそれを促進しているのが少子高齢化というわけです。現在社会保障給付費は100兆円を越えており、その財源を補うために徴収されている社会保険料は60兆円ほどで、他は国税や地方税といった形で補填されており明らかに足りない状況が続いています。
2000年の制度の改正によって年金支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられて、2004年には受給額2割カットと保険料が3割上がりました。
さらに最近では年金支給開始年齢が65歳から68歳にするかどうかの議論が行われています。これらの数値を見ると根本的に何かが間違っている気がします。
支給開始年齢の引き上げや社会保険料をより多く徴収しようというのは問題の解決につながるとは考えにくいです。
ベーシック・インカムの導入
日本において、明らかに将来的な財源の確保が難しい社会保障給付費ですが、それに代わるものとして「ベーシック・インカム」という制度についての議論が進んでいます。
ベーシック・インカムとは政府が全ての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている現金を無条件で定期的に支給するというものです。
そんな財源があるのか、という質問がありそうですが、現在の社会保障給付費やそれに関わる全ての費用を合わせればなんとかなるのではないか、といった話も耳にしますが、現実問題として、やはり今の所はこの制度を採用するのは難しいようです。
しかし、外国では日本ほどの大きさではありませんが、以下の記事のようにフィンランドが試験的にベーシックインカムを導入するようです
2017年1月1日、フィンランドが国家レベルでは欧州ではじめて試験的なベーシックインカムの導入を開始した。
このプロジェクトでは、1月から2018年12月まで、無作為に選出された2000人の失業者に対して月に560€(日本円にして約6万8000円)を支払うというもの。
2年間の実験で、ベーシックインカムの導入が失業率の低下に影響をもたらすのかを調べるのだという。
この実験から良い結果が得られることを期待しています。
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