ITバブル崩壊や銀行合併時の『若手行員が見た銀行内部事情』からわかる銀行員の現実

少し前から銀行というものに疑問を持つようになりました。何が疑問かというと、銀行で働く人たちは実際どういう仕事をしているのか?なぜ激務なのかなぜ銀行という非常に安定していそうな所を辞める人が多いのか?などなどです。

銀行で働く人に対するイメージ

そもそもなぜそんなことに疑問を持ったのか、ということなんですが、インターネット上での評判があまり良くないようで不思議に思ったからです。そのことについて機会があれば書いてみたいと思っていました。

優秀で真面目でまさに非の打ち所のない

自分の今までのイメージでは、銀行に就職できる人というのは非常に優秀で真面目でまさに非の打ち所のないような人でないと勤めることができない、と思っていました。

安定して穏やか

加えて銀行というと非常に安定したイメージがあり、仕事内容も厳しくなく穏やかなイメージがありました。しかし、現実はどうも違うようです。

現実の銀行の環境

例えば、ネット上では以下のような情報をよく目にしたりします。

  • 「金融商品や社会経済に関する幅広い知識が必要になるので、さまざまな資格取得や検定試験のための勉強が必要」←わかる
  • 「銀行員から公務員へ転職する人が多い」←なぜ?
  • 「ノルマが多い、口座を多くつくってもらう」←なんとなくわかる
  • 「激務で離職する人が多い」←???

 

インターネット上の情報だけで判断するというのは早計だというのはわかります。しかし世の中には「火の無い所に煙は立たぬ」という言葉もあります。意味は、「何も根拠がなければ噂は立たない。

 

噂が立つからには、なんらかの根拠があるということ」という意味になります。今までの自分のイメージ通りであれば上記の言葉がネット上で出てくるというのは受け入れがたいものでした。

 

しかし、現に多くの所で見られて、一過性のものでもないようです。

『若手行員が見た銀行内部事情』

そのようなモヤモヤがあった中で、『若手行員が見た銀行内部事情―なぜ僕は希望に満ちて入社したメガバンクをわずか2年足らずで退職したのか』という本を見つけます。

 

この本の内容は、新卒で某メガバンクに入行し数年で退社した著者が、実際に銀行内部で経験したことついて書かれた本です。銀行というものに憧れを持っている就職活動前の大学生などは読むのはやめたほうがいいです。非常に悪い意味で生々しさがあります。

第四章 セクハラ

まず目次を見ただけだ気が滅入りそうです。

第四章 セクハラ
セクハラってどんなの?/お姫様ダッコ/・・・

第五章 飲み会
マナーや常識/下っ端の役割/新人歓迎会/支店長もいっしょ/怒号の渦巻くお座敷事件/演芸会/踊る銀行員/歌う銀行員/鼻ピーナッツ/飲み会翌日のマナー/飲み会のお会計/エール

 

第四章と第五章でこれです。他の章もいろいろと見たくない言葉がたくさんあります。自分の今までの銀行のイメージがまさに粉々に崩れていくようでした。

ITバブル崩壊や銀行合併という背景から考える

この本の初版が発行されたのが2003年とあります。ITバブルが弾けた2001年以降ということと、銀行合併という慌しい時期もあった、ということを考慮したとしても銀行というものは本当にこうなのか思いたくなる内容です。

 

本当にひどい内容なのであまり引用したくないです。全ての銀行が本書に書かれているような内容だとは思いません。ただ、こうなってしまうのには自分なりになんとなく心当たりはあるのです。

 

それは銀行のビジネスモデルです。要はここも価格競争を強いられていると思われるということです。

銀行の利息と手数料について

自分の中で問題だと思った銀行の利益の出し方の方法の中の二つが「利息」や「手数料」というものです。

銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す

雨の中を傘をさして歩いている男性

銀行を指して言う言葉のひとつとして「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」というものがあります。意味は、「業績が順調の時にはすすんで融資をしてくれるが、悪化して苦しくなった途端回収にかかる」というものになります。

 

最初この言葉を知った時は意味がわかりませんでした。なぜそういった良くないことをするのか、以前から考えていたのですが、銀行のビジネスモデルが少しずつわかるようになってから理解できるようになりました。

利息と手数料で稼ぐ

要は企業に銀行からお金を借りてもらって、利息によって利益を出したいということです。

 

では手数料は何なのかというと、一般の消費者の視点では、銀行からお金をおろすときに手数料が徴収されます。企業の視点でいうと、月末の買掛金の支払いのためにAという口座からBという口座へ資金移動するときなどに徴収されます。

銀行員のノルマ━口座開設

ネット上で銀行員へ課されるノルマのひとつとして、個人や企業に口座を開設してもらうというのを知ったのですが、手数料の存在を知るようになってからその理由がわかりました。

 

要はなるべく多く資金移動してもらったり、お金をおろしてもらったりして手数料を稼ぎたいのだなと予想できました。

 

しかし、この利息と手数料によって利益を得るというのはいくつか問題があります。これは自分の視点なのですが、「差別化できない」というのと「手数料の金額が資金移動の金額の多寡にかかわらず低い」という問題があります。

自分の経験と考え

これは自分の経理の仕事をしていた時の経験なのですが、自分がいた会社の部長が、ある銀行から資金を借りる際の利息について他の人と話しているのを聞いた時の話です。

 

「『他の銀行は○○%の利息なんだけど、もう少し低くならないかな』といってかまをかけてみようか」

「担当者がすごい話ができる人で『なんとか努力してみます』と言ってくれたよ」

 

こんな会話を何回か耳にしたのですが、企業が銀行からお金を借りるときってそんな簡単なやり取りでいいのか?と思いました。数人の規模の企業ではなくてそこそこの規模の企業でのやり取りです。

 

自分のイメージではもっと厳密な検査をしてから決定されるものだと思っていましたが、どうもそうではないようです。

 

ここで問題点があります。「比較されてしまっている」という点です。借りる側としては手数料が低い銀行であれば一番低いところがいいわけです。「長年の付き合い」というのもあるでしょうが、昨今経営環境の厳しさが増している中では、なかなか譲歩することができません。

 

低い手数料を提示してくれるところがあったら即決ではなくても、検討の対象になってしまいます。ある意味差別化できず、価格競争に陥っているわけです。

 

もうひとつの問題点が「手数料」です。上記にも書きましたが。資金の多寡にかかわらず一定であり、なおかつ低いのです。

1億円の手数料と牛丼の利益との比較

具体的に言うと、1億円の資金移動でも1000万円の資金移動でも手数料は250円とか500円、1000円など一定であり、資金の多寡にかかわらず低いのです。

 

この手数料の資金を移動するときの金額の多さと手数料の低さの関係を見た時に外食産業のビジネスモデルを頭に思い浮かべました。例えば、牛丼などの業界は価格競争が熾烈です。吉野家、松屋、すき家などが有名ですが、つくっているのは同じ牛丼です。

 

差別化できる部分が少ないのであれば、価格競争を強いられます。しかも一杯は300円とか400円といったものです。価格競争の中でさらに利益を得ようとすれば、その中の薄利を補うには数を出さなければいけません。

 

インターネット上で牛丼一杯の利益がどれくらいか調べてみると10円にもならないようです。仮に300円で10円の利益なら約3%の割合になります。

 

この考え方を銀行の手数料に当てはめてみます。仮に1000万円の資金移動で1000円の手数料だと0.01%になってしまいます。1億の資金移動で手数料が1000円なら0.001%です。

 

厳密に言えば、牛丼のように材料費などは含まれず、ただ資金を移動してるだけなので何とも言えませんが、数値だけ見れば牛丼の業界より明らかに薄利です。

給与振込から得られる手数料収入

なぜ銀行の担当者が必死になって、自分がいた会社の部長に営業していたのかがなんとなくわかるようになってきました。

 

「御社の給与の振込み、何とかうちでやらせてもらえませんか?○○の手数料にしますから!」

 

といった会話を聞くときがありました。「給与の振込み?なぜそんなに必死になるのか?」といった感じで、その時はなぜそこまで?と思っていましたが、よくよく考えてみるとちょっとわかる気がします。

 

一人ひとりへの資金移動に対する手数料はたいしたことはありませんが、それが何百、何千、何万人となればある程度まとまった利益を銀行は得られるということでしょう。

 

そこから何がわかるのか?ということなんですが、少し長くなったので、この記事の続きは次回にまた書いていきます。

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