なぜヒトというのは「コミュニケーション」を必要とするのでしょうか。一般的に言われていることと言えば、
- 職場の人間関係を良好するため
- 業務を円滑に進めていくため
- 人と良好な人間関係を築けるのは楽しいため
- 報告、連絡、相談(ホウ、レン、ソウ)がスムーズになるため
- 知識、経験、問題の共有のため
簡単に書くと以上のような感じでしょうか。もしくは、人それぞれ考えている意味は違うかもしれません。昨今の大学生の就職活動において、企業が学生に求める能力でいつも上位になるのが、この「コミュニケーション能力」でもあります。
この「コミュニケーション」と言うものに関して、自分が「なるほど、確かに言われてみればそうだな」と思える答えを見つけたので、今回はそのことについて考えたことを書いていって見ます。
一般的にヒトが動物と違う点で考えられていること
なぜコミュニケーションということについて今回書くことにしたかというと、そこに至るまでにいろいろと考え事をしていました。
自分が今後よりよく生きるために、何かヒントはないだろうか?といったことを考えながら歴史上の生物について調べものをしていたときのことです。
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは長い期間、同じ時代を生きていたとのことですが、資料の上では生き残ったのはホモ・サピエンスとされています。
ではなぜホモ・サピエンスの方が生き残ったのか、それはネアンデルタール人よりもホモ・サピエンスの方が言語とかコミュニケーションが発達していたのが理由のひとつではないかという資料もありました。
このことについえはっきりとした証拠というのはないようなのですが、その点に関して調べていた所、次のような情報を見つけました。
ヒトと他の動物との最大の違いは? Part1 – Yahoo!知恵袋
「ヒトと他の動物との最大の違い」という点について書かれているのですが、この資料は読んでいて非常に勉強になりました。
普通に私達が考える「違い」というのは、例えば人は動物と違って
- 考えることができる
- 話すことができる
- 理性がある
といったことを考えるかもしれません。引用先からも以下のような、人間と動物の違いと考えられていること、について全て否定しています。
それは人間ではなく動物でもしている種類もあると述べています。
ヒトと他の動物のと違いに関する迷信・俗説
- ヒトだけが直立二足歩行できる
- ヒトだけが道具を作り出し、使える
- ヒトだけが火を使用できる
- ヒトだけが服を作り、それを着用することができる
- ヒトだけが理性を備えている
- ヒトだけが死の概念(抽象概念)をもっている
- ヒトだけが同種間で大量殺戮を行う
- ヒトだけが言語によるコミュニケーションができる
- ヒトだけが農耕・牧畜を行う
- ヒトだけが(繁殖を伴わない)快楽目的に性交できる
- ヒトだけが特に優れた脳を持っている
では「ヒトと他の動物との最大の違い」とは何なのでしょうか。それは「言語中枢の発生」である、と書かれています。
言語中枢によるヒトと他の動物との最大の違い
ヒトと他の動物との最大の違いは、言語中枢があるかないかを通して、以下の3つをその最大の違いとしています。それは
- 概念の長期記憶補助
- 抽象的思考の源泉
- コミュニケーションによる情報の社会的共有
ここに言葉として書いてみると、一見してたいしたことがないように見えるかもしれません。ですが、この点がヒトと他の動物との最大の違いであり、また人間という生き物をこの地球上でここまで反映させた理由でもあります。
引用先の情報に、それがわかる事例としてチンパンジーを使った実験について書かれています。
この3つの中で自分が一番印象に残ったのが、「コミュニケーションによる情報の社会的共有」です。引用先の情報でもこの点の解説に最も多くのスペースが使われおり、人が人とコミュニケーションができることで以下のような効果を得られていると書かれています。
ヒトはある者が新しい知識・知恵・工夫やノウハウ・技能を獲得したり、発明が行われた場合に、それを経験したことがない者に対しても言語コミュニケーションによってその内容を伝え、他の動物のように初めからやり直すことなく、次の段階から出発することができるのです
後天的学習情報の社会的蓄積・共有・継承システム
引用先のチンバンジーの実験から、動物同士では新しいことを発見しても「その伝達手段がない」ため情報共有が出来ないことがわかりました。
それはつまり、様々なことに対して「一から始めないといけない」、その生物の「体験を通してしか新しい発見ができない」ということです。
逆に人間は、自分が経験しなくても他の人間が経験したことを言語を通して擬似的にではありますが、他の人間が得た情報を自分も得ることができるのです。そのことの効果について引用先の情報では次のように書かれています。
- ヒトと他の動物との最大の違いは? Part4 – Yahoo!知恵袋
言語機能による知恵や技術など後天的学習情報の社会的蓄積・共有・継承システムは、それ自体が素晴らしい発明だといっても良く、生物史上空前と言えるほど強力な生殺与奪権を持つことにつながり、
今日の豊かな生活をもたらした科学技術発展の源泉であり、人類による科学的発明はすべてこの言語機能に集約されるといって過言でありません。
人間として生きるメリットは「つよくてニューゲーム」ができること
以上のようにヒトと動物の最大の違いは大きく3つあるとされていますが、その中でも「コミュニケーションによる情報の社会的共有」が重要であり、それは「後天的学習情報の社会的蓄積・共有・継承システム」とも書かれています。
これを自分なりに、今の時代のゲーム風に表現すると「つよくてニューゲーム」ができるということでしょう。
ロールプレイングゲームなどの、本来はひとたびシナリオが進展したら初めからやり直さない限り前のシナリオをやり直せないゲームにおいて、
ゲームをクリアすれば、クリア時点でのセーブデータの情報(キャラクターのレベルや所持アイテムなど)を引き継いで新たに初めからゲームを遊ぶ(ニューゲームを始める)ことができるようになるシステム。
「強くてニューゲーム」という名前の初出は『クロノ・トリガー』
通常のロールプレイングゲームでは、一番初めの主人公のレベルは「1」からであり、所持品も限られたものしかなく、非常に弱い状態といえます。
そのゲームをクリアしたとしても、クリアした状態で最初から始められるわけでもなく、通常はそこで終わってしまうのです。
ですが、『クロノ・トリガー』というRPGは一度クリアした状態を維持しながら最初の町からゲームを始めることができます。
ですので、一度クリアした非常に強い状態であれば、一番最初の町の周辺の敵などは簡単に倒すこともできますし、ゲームを始めた頃は弱かったために行けなかった所にも簡単に行くことができます。
動物と違う人間の強みをゲーム風に例えるなら以上のような感じになるかなと思いました。
逆に言えば、この「人間の強み」を生かさないということは、他の動物と同じように全てにおいて「初めから始めなければいけない」ということになります。
それはつまり、よりよく生きるという観点からは非常に不利になると言えるかもしれません。
あわせて読みたい
- 「低生産性社会」から「高生産性社会」へシフトしていくという発想について – 知識の倉庫の整理
- 今後の知識資本主義で生き抜くために自立型コントラクターとして「知識の時給自足」が必要 – 知識の倉庫の整理
- ポスト資本主義社会の先の知識社会への移行は知識生産性革命が必要ではないか – 知識の倉庫の整理
- 労働集約産業、資本集約産業から知識集約産業へ━今後個人が生きていくうえで必要なもの – 知識の倉庫の整理
- 能力や結果を親に依存しないように弱者の兵法で「勝てる分野で勝つ」という発想 – 知識の倉庫の整理
- みずほ銀行のペッパー・ワトソン導入やファナックのFIELD systemなどのロボット同士が会話をする未来について – 知識の倉庫の整理
- 体育会系の人間の地位や年功序列を維持していたものと人口減社会における彼らの動向
コメント
言語の発明は人類史の中で最も偉大なものですし、それによってここまで文明を進化させてきたのは間違いないと思います。
その言語についてあえて不完全性を挙げるなら、既存のどんな言語を使っても100%正しく正確に疎通・コミュニケーションすることは難しいということを常々感じますね・・・
こういうテーマの記事、いいですね。
参考になります!
>id:normal-japanさん
コメントありがとうございます。
現在の人類や生物が生き残るために、生物学とか進化論などに関する本を読むのは楽しいですよ。
それらの本から得られた知識と今の世界をよく観察してみると、いろいろと共通点があっておもしろいです。