先日、AccessVBAエキスパートベーシックの試験を受けてきました。結果としては「合格」できたのですが、思っていたよりも全然難しくて、しっかり勉強してきて良かったと安堵しています。
AccessVBAエキスパートという試験は、Accessにあるマクロ・VBA(Visual Basic for Applications)のスキルを認定する資格試験制度です。
以前からこのブログではExcelVBAやAccessVBAの有用性、受験結果について以下の過去記事のようにいくつか書いてきました。
1年程前にExcelVBAの脅威の性能に驚かされ「これは勉強しないといけない」と一念発起し、仕事の合間を縫ってコツコツと勉強。さらに日々勉強してきた知識を仕事にも少しずつ生かしながら業務を改善してきました。
上記に引用した過去記事に書いたように、今年の4月にExcelVBAエキスパートスタンダード、6月にMOS Accessの試験を受けて幸いにも合格。そして今回はAccessVBAのエキスパートベーシックに挑戦し、この試験からも何とか合格を得ることができました。
今回はこのAccessVBAエキスパートベーシックについて簡単にまとめていきたいと思います。
AccessVBAエキスパート試験と試験の受け方について
VBAエキスパートの概要について『VBAエキスパート公式テキスト Access VBA ベーシック』には次のように書かれています。
p.009
■VBAエキスパートとは
「VBAエキスパート」とは、Microsoft OfficeアプリケーションのExcelやAccessに搭載されているマクロ・VBA(Visual Basic for Applications)のスキルを認定する資格試験制度です。株式会社オデッセイコミュニケーションズが試験を開発し、実施しています。
VBAは、ユーザー個人が「マクロ記録」機能を使ってルーティンワークを自動化するような初歩的な使い方から、企業内におけるXML Webサービスのフロントエンドとして、あるいは業務システム開発のためのプログラミング言語として等々、多岐にわたって活用されています。
VBAエキスパート試験というのはオデッセイコミュニケーションズがつくっていて、ベーシックとスタンダードというレベルの試験があります。ちなみにオデッセイコミュニケーションズが出している公式テキストが『VBAエキスパート公式テキスト Access VBA』であり、試験のレベルに合わせてベーシックとスタンダードがあります。
これはExcelVBAも同様であり、ベーシックとスタンダードがあります。イメージでいうと、ベーシックが基礎編でスタンダードが応用編といった感じです。もう少し具体的に表すと、AccessVBAベーシックは以下のような所をそれぞれ勉強できます。
■ベーシック
- データベース基礎(テーブル・インデックスの作成/設計等)
- SQL基礎(クエリの基本、テーブルの作成/削除等)
- マクロとDoCmd(オブジェクト操作、レポート操作等)
- フォームとレポート(フォーム/レポート操作等)
- Visual Basic Editorの使い方(基本操作、Visual Basic Editorのデバッグ支援機能)
- VBAの基礎知識と文法(文字列編集、演算/計算等)
この部分について書いたのが以下の過去記事になります。
この試験の形態と受験料は『VBAエキスパート公式テキスト Access VBAベーシック』において次のように書かれています。
p.012
■試験の形態と受験料
試験会場のコンピュータ上で解答する、CBT(Computer Based Testing)方式で行われます。
●Access VBA Basic
出題数:40問前後
出題形式:選択式問題
試験時間:50分
合格基準:650~800(1000点満点)以上の正解率 ※問題の難易度により変動
受験料:〈一般〉12,000円(税抜)
〈一般〉10,800円(税抜)※VBAエキスパート割引受験制度を利用した場合
以上はベーシックの試験形態と受験料になります。スタンダードも基本的には同じなのですが、違う所は以下の部分だけです。
出題形式:選択式問題:穴埋め式問題
受験料:〈一般〉14,175円(消費税抜)
試験の申込方法はいくつかあるのですが、前回同様ISAを利用しました。アビバだと申込をしようと思っても、実際に試験が受けられるのは1ヵ月後などなかなか融通が利きません。
一方ISAからであれば、今日申込をしようと思ったら来週中には試験が受けられるなど、かなり柔軟に対応してくれます。他にもいくつかオンライン申込サービスがあるかもしれませんが、自分は今回このISAから試験を受けました。
あとこれは何度か書いているのですが、オデッセイコミュニケーションズの試験を受ける場合は試験前に受験IDとパスワードが必要になります。もしAccessVBAなどの受ける方がいたらご注意ください。
AccessVBAエキスパートベーシックの試験を受けようと思った理由
このブログでは以下のような過去記事を書いています。
1年程前にExcelVBAに出会って、業務におけるスピードや正確性などその性能の凄さに驚きました。それからというものExcelVBAに興味がわいて、勉強しながら業務で使ってみるという日々が続きました。
その延長でAccessやAccessVBAなどにも興味がわいてきてきました。
特に以下の過去記事に書いてきたように、今後は「大量のデータ」や大量のデータを高速に処理するための「処理方法」、大量のデータから何らかの共通点を見いだすための「データ分析」といったデータベース関連に対して価値が見出されるようになっていくだろうと予想しています。
以上のような点に「価値」を見出し、自分の利益としていくためにはそのスタートとして「Access」や「AccessVBA」といった知識を身につけていくのが良い方法ではないかと考えるようになっていきます。
また、もうひとつの現実的な理由としては、時代の流れという視点や現在の日本における派遣社員の求人の時給の相場、フリーランスなどの労働市場では「プログラミング」ができる人が高く評価される傾向にあります。
そのため、よりよい職場環境や給与、何より新しい生き方・働き方を考慮した結果などから今回「AccessVBAエキスパートベーシック」の試験を受けようと思いました。
試験を受けてみての感想

正直言って難しかったです。この理由は後で口述します。1000点満点で自分の点数は775点、合格最低点が700点だったので少し余裕があるぐらいでした。
ベーシックレベルなので「まぁ大丈夫かなぁ」という気持ちがあった一方、「実務では使ったことがないし、模擬問題も少なかったから油断してはいけない」という気持ちもありました。
今思うと、油断せずにとりあえずできる限りの勉強はしていたので後悔することにならずに良かったです。試験の傾向としては、もちろんテキストの内容から出題されるのですが、結構「応用的な問題」が多い気がしました。
最初の3、4問で結構難しい問題が出されて意表を突かれましたが、それらの問題はとりあえず後回しにして解ける問題から解くようにしました。
最初はわからなくても、他の問題を解いていくうちになんとなく頭の片隅で整理されていくというか、「流れに乗る」と最初は解けなかった問題でも他の問題がヒントになって解けることもたくさんあります。
もう少しつけ加えると、テキストでは練習用のプログラムとして「B02.accdb」といったものが用意されています。ここにテキストに書いてあるとおりにプログラムを入力していったり、モジュールを追加していったりするのですが、これは面倒くさがらずにちゃんと自分の手と目を使って利用したほうがいいです。
当たり前と言えば当たり前なのですが、手を使わずにただ読むだけでは、プログラムの実際の挙動を確かめることはできませんし、覚えづらいかと思います。
これもまた重要なのですが、プログラムを実際に実行してみたら「自分の予想とは違う動作だった」なんてこともあるはずです。そういった時に「なぜそのような動作をしたのか」を確認して理解しておく必要があります。
そういった細かい部分をしっかりと確かめること、手を使ってプログラムを入力して動作を確認すること、以上のことは自分が覚える上でも試験を受ける上でも大事になってきます。
試験当日までの勉強期間とやってきたこと
以下の過去記事ではMOS Access 2013を受けて合格できたといったことを書きました。
そこから今回のAccessVBAベーシックまでに1ヶ月ぐらいしか経っていませんが、実際は数ヶ月前から少しずつテキストを読んではいました。それ以前からも過去記事にいくつか書いてきたように、ExcelVBAの勉強をしてきました。
以上のようなそれなりの積み重ねがあったのと、AccessVBAの「ベーシック」というレベルだったので、今回は何とか合格できたと考えています。
自分がAccessVBAの試験までに勉強で使ってきたAccessVBA関連の本は以下のものになります。
- 『Accessマクロ&VBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本』
- 『VBAエキスパート公式テキスト Access VBA ベーシック』
- 『これ一冊で完璧! AccessVBA即戦力講座 』
最初の『Accessマクロ&VBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本』は、「なるべく簡単なものから」という考えと公式テキストを読む時に「少しでも抵抗無く入っていけるように」という考えから購入しました。
本書の題名に「VBA」と書いてはありますが、あまり「AccessVBA」の記述はありません。その代わりAccessマクロの使い方について多く書かれています。
実際、ベーシックの公式テキストでは「DoCmdオブジェクト」など、マクロ機能をVBAで実行するための記述も多い点を考えると、Accessマクロはどんなものか、どんな動作をするのかを確認するうえで有効だったと思います。
AccessのマクロはExcelのマクロとは違って自動記録機能がありません。ではどうやってマクロを使えるようにするのかというと、おもしろいことに「ひとつひとつの動作が選択式」になっています。
例えば、指定の画面でドロップダウンからいくつかのアクションを選択できるようになっていて、メッセージボックスを選ぶとそれに対応した入力項目が表示されるようになっています。そこに特定の文字列を入力していくとマクロが出来るという仕組みになっています。
これは、VBAのように難しいコードを覚えたり入力しなくても良いというメリットがあります。一方デメリットとしては、特定のことしかできず細かい作業はできないなど限界もあります。
少し脱線しますが、この機能を初めて見たときに「あっ、たぶんこういったやり方、仕組みが『RPAツール』なんだろうなぁ」と思いました。
オデッセイコミュニケーションズのAccessVBAの試験を受けるには、やはり『VBAエキスパート公式テキスト Access VBA ベーシック』が必要です。本書についての内容は、今回の記事の前半で触れているのでそちらを見ていただければと思います。
『これ一冊で完璧! AccessVBA即戦力講座 』は「AccessVBAを使う意味」や「AccessVBAを使う上での考え方」を理解するために購入しました。
これは過去記事でも書きましたが、Accessデータベースは大量のデータを扱うので
- 間違ったデータが入れられないようミス防止やチェック機能としての役割
- 重要なデータベースを特定の人以外の人間が触れないようにするためのセキュリティとしての役割
- 見た目や使い勝手をよくするための役割
といった理由からAccessVBAの重要性について書かれています。何かを勉強するためには、やはり勉強するための自分が納得できる理由や勉強した結果何が得られるのかを理解できないとなかなか捗らないものです。そういった理由から本書を購入しました。
AccessVBAエキスパートにはExcelVBAであった公式模擬問題がない

今回のAccessVBAベーシックが、前回受けたExcelVBAスタンダードと違う所は「模擬問題が少ない」ことです。これがAccessVBAベーシックを難しくしている原因のひとつだと思われます。
ExcelVBAスタンダードの公式テキストに付属されている模擬問題には、40問の問題が入っているプログラムが「2つ」あります。さらに別売りの対策教材として「公式模擬問題」があり、40問の問題が入っているプログラムが「3つ」あります。つまり、ExcelVBAスタンダードには模擬問題が合計「5つ」あるということです。
一方AccessVBAベーシックには、公式テキストに付属されている模擬問題が「1つ」しかなく、別売りの対策教材もありません。そのためAccessVBAベーシックに合格するには、テキストと模擬問題はしっかり勉強する必要があります。
自分もこの点はかなり意識してテキストと模擬問題を繰り返し読みました。今回は何とか運よく合格することが出来ましたが、やはり模擬問題がない分の知識をどう補うかを考える必要があります。
今だから考えつけたことですが、実務でAccessを使える人は、実際にいろいろとAccessVBAを使ってみて練習した方が理解できますし、AccessVBA関連で何らかの練習ができる書籍を購入して実践的に練習しておくという方法も考えられます。
次はAccessVBAエキスパートスタンダードだが・・・
自分が今回受けた「AccessVBAベーシック」からの感覚としては、AccessVBAスタンダードは「これはしっかり腰を据えて勉強しないと難しいな・・・」と思いました。
というのも、既に書いたようにテキストに付属されている模擬問題が少なく、別売りの模擬問題もないことにより、テキストやその他関連書籍をしっかり読みこまなければいけないということがひとつ挙げられます。
もうひとつは、今もちょっとずつAccessVBAスタンダードは勉強しているのですが、「クラスモジュール」とか「ADO」「DAO」など、VBAにおいて今までにない概念やAccess独自の新しい仕組みなどが出てきます。ですから、これらを理解するにはやはりある程度の時間が必要だと思われます。
以上のことから、この部分は焦らずに時間をかけて進めていく予定です。





















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