「あぁ、なるほど、こういう風に見れば良かったのかぁ」
有形固定資産の「貸借ボックス」というものを知った時にそう感じました。
最近は中小企業診断士試験の参考書として売られている『中小企業診断士 2次試験合格者の頭の中にあった全知識〈2015年版〉』を読んでいて2週目に入り、この本の全体像がある程度わかってきました。
いろいろと理解できてきたことがあるので、今回はそのことについて書いていってみます。
投資活動キャッシュフローにおける、有形固定資産の「貸借ボックス」という見方
診断士試験の1次試験でも2次試験でも、例えばある企業が工場を所有し、その中に製品をつくるための機械設備といった固定資産を持っていたとします。
固定資産は年月を経るごとに減価償却として、その価値が毎年減じていくわけですが、その中で
- 期首の簿価は・・・
- 当期の売却分は・・・
- 当期の購入分は・・・
- 当期の減価償却分は・・・
- 未払金は・・・
- 期末の簿価は・・・
なんて感じで問題文に書かれていて、そういった諸々の文章の後に、「売却損益はいくらか?」なんて書かれていたりすると、間違いなく混乱していました。
しかし、本書の以下の文章や図のように明確な形で示してくれると、「あぁ、なるほど、こういった形で見れば良かったのか」と感心させられました。
p.252
(4)投資活動キャッシュフロー
- 主な投資活動キャッシュフロー項目(有価証券、有形固定資産、投資有価証券、貸付金)を覚えておく
- 有形固定資産は、B/S上の未払金やP/L上の減価償却費、売却損益に注意し、混乱しないよう以下の貸借ボックスを使って確実に押さえる→有形固定資産は問題にされやすい
営業活動キャッシュフローの算出について
この営業キャッシュフローというものを算出させる問題が、試験の中で出てくる時があります。
キャッシュフロー方式と経常利益方式
テキストなんかでは次の2つの方法から、やりやすい方を使えば良いと書かれていたりします。
- 1、キャッシュフロー方式
(現金収入-現金支出)×(1-税率)+(減価償却費×税率)
- 2、経常利益方式
(現金収入-現金支出-減価償却費)×(1-税率)+減価償却費
自分がやりやすく感じる方としては、2の経常利益方式というのを使っていました。なぜかというと、「1」では両方のカッコに(1-税率)を掛けているのですが、
「2」では片方だけに(1-税率)を掛けていて、計算が少なく済むのと、なんとなく簡単に感じられてやりやすいと思ったからです。
しかし、本来はそういった「やりやすい方」を使うといったやり方ではなく状況によって使い分けなければならなかったようです。
それが本書の中で以下のように書かれていて、理解が進みました。
p.260
参考1:営業キャッシュフローの算出について
なお、営業キャッシュフローの出し方については、次の2つの算出方法を完璧に覚えておきましょう。
- 1、キャッシュフロー方式
(現金収入-現金支出)×(1-税率)+(減価償却費×税率)
- 2、経常利益方式
(現金収入-現金支出-減価償却費)×(1-税率)+減価償却費
(中略)
なぜこのような2通りの算出方法を説明しているのかというと、問題によって経常利益から問われるものと、CFから問われるものが存在するからです。
答えは同じになるのですが、入口が違うことを考えると、どこから問われても答えられるようにしたほうがよいでしょう。ここが取替投資のひとつの山だと思いますので、しっかりと理解しましょう。
なるほど、本来であれば場合によって使い分けるものであって、使いやすい方を使った方がいいというわけではないということですね。
まとめ
今まで、試験勉強をするうえで曖昧な所とか勘違いしていた所はありました。
この試験の「財務・会計」という分野はいろいろなテキストを読んでいると「とにかく問題集を数多くこなす」といった感じのことが書かれているので、自分もそう思って問題集を何週もさせていました。
今までの資格試験でも、そういったやり方でなんとかなっていた部分もあったので、今までのやり方をなんとなく踏襲していました。
ですが、今回取り上げた参考書を読んでみると、また違った視点から問題文を見れるようになりました。このレベルになってくると曖昧なままでは済ませてくれないなぁと感じます。
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コメント
初めてコメントします。2015年全知・全ノウの事例Ⅳ担当でした。
いろいろとブログ内でご紹介して頂きありがとうございます。
一生懸命執筆した甲斐があります。
>おと (id:otoken)さん
コメントありがとうございます。
言われて気づきました!
参考書に寄稿されているなんてすごいですね。これからも読み込ませていただきます。