「無料低額宿泊所」という貧困ビジネスを通してわかった衝撃

ここ数日『下流老人』の3つの「ない」について取り上げてきました。その3つの「ない」とは

  • 収入が著しく少「ない」
  • 十分な貯蓄が「ない」
  • 頼れる人間がい「ない」

という問題でした。

 

これ以外には本書に、「下流老人を大量生産する『無料低額宿泊所』」という項目があり、これについて思うことがあったので取り上げてみます。

「無料低額宿泊所」というものについて

なぜこの問題について取り上げてみたかというと、高齢者層に対する「無料低額宿泊所」という存在を知って、若者だけではなく高齢者にも貧困ビジネスは存在してしまうんだなと気づかされたからです。

高額な施設利用料?

本書では、問題視されている無料低額宿泊所について次のように書いています。

p.169

貧困ビジネスの中でも、とくに問題視されているのが「無料低額宿泊所」だ。無料低額宿泊所とは、社会福祉法人第2条第3項に規定されている第2種社会福祉事業の第8号にある

 

「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」である。

 

簡単に言えば、住む家のない生活困窮者に、一時的に安価に利用できる部屋を提供する事業者を指す。この宿泊所は届出をするだけで、誰でも比較的簡単に開所できるため、

 

近年さまざまな事業者が参入してきている。しかしこの無料低額宿泊所からの相談が、後をたたない。

具体的な相談内容というのは、高額な施設利用料、劣悪な居住環境、粗末な食事、自立支援の少なさ、運営者による虐待などと書かれています。

 

ここで、高額な施設利用料?とあったので疑問に感じたのですが、ここは事業者のやり口が非常に巧妙なようです。

 

病院から退院して帰る場所がない人、ホームレスなど社会的、経済的に弱者な人たちを搾取する構造ができあがっています。

 

要はそのような人たちが生活保護を受けられても、社会的な立場の弱さからそこしか選択肢がないのです。そのため業者側は高額な金額設定でも需要があるという構造です。

 

こういったことに対して国がもっと介入すべきではないか、と感じたのですが、本書も同意見のようです。

日本の空き家率は以下の総務省のホームページでは、13.5%

他にも現在の日本の空き家率は以下の総務省のホームページでは、13.5%とあります。

1 空き家等の住宅に関する主な指標の集計結果について平成25年10月1日現在の総住宅数は6063万戸,うち空き家は820万戸で,空き家率は13.5%で過去最高

自分の知らない所で、日本にはいつの間にかこんなに空き家が増えていたんですね。昨今日本の少子高齢化、人口減少という減少から問題視されており、この空き家の比率は年々増加の一途を辿っていると言われています。

 

素人の自分の考えですが、こういった使われていない家や部屋などを、社会的弱者の方々のために有効活用できないものかと思っています。他にも著者の対応策はいつくかあるのですが、詳細は本書を読んでいただければと思います。

自分がショックに感じたこと

高齢者というのは世代人口が多く、選挙での投票率も高いです。そため世間での一般的イメージでは、政府も中高年の世代に対しては制度的に様々な手厚い保護を実施していると思っている人が多いかもしれません。

全世代に貧困ビジネスが存在する

例えば高齢者雇用安定法や、以下でとりあげた過去記事に書いてきました。

しかし、本書を読んでみてそういったイメージは必ずしも合ってはいないということに気づかされました。

 

さらに自分の中で衝撃的名だったのは、若年層だけでなく、おそらく全世代に貧困ビジネスが存在することに気づかされたことです。

 

以前インターネット上や本屋などで若い女性の貧困層がどういった状態に置かれているか、という点についてインターネット上の様々な記事の内容を知った時は言葉に詰まりました。

 

こういった記事の内容を知るようになってからは、自分の知らない所で実は多くの貧困者が存在しているということを理解するようになっていきます。

 

本書の内容から、若年層だけでなく、高齢者層を含めて全世代に貧困ビジネスが存在することを知るようになり、自分の感覚でしかないのですが、やはり格差というのは拡大していっていると思われます。

 

こういう問題に対して具体的な解決策を示せるわけではないのですが、率直な感想としては、対岸の火事ではなく誰の身にも起き得ることだと感じています。

 

これからの時代は、会社とか地位に依存したものではなく、ひとりひとりの本当の生きる力というものが問われていくのかもしれません。

 

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