同一労働同一賃金制度で天井と床がなくなり二極化が拡大していく

自分が思っていたよりも早く事が進んでいるようです。先日政府が同一労働同一賃金制度の成立について、ある程度の目処をつけたようです。

 

この制度について以前から気になっていたので、今回はこの制度に関する所管について書いていってみます。

ニッポン1億総活躍プラン

  • 政府が方針を固める

政府は正規・非正規に関わらず同じ職務の労働者に同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を法制化する方針を固めた。パートタイム労働者と正社員の差別的待遇を禁じた改正パートタイム労働法(昨年4月施行)の規定を派遣労働者らにも広げる。

 

5月に策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に方向性を盛り込み、厚生労働省の労働政策審議会を経て、早ければ来年の通常国会に提出する方針だ。

以前から正社員と非正規の格差については問題になっていました。そういった問題に対しての是正というのは、中高年世代の抵抗があるだろうからこの問題の解決はまだまだ先になるだろう、と思っていました。

 

しかし上記の記事にあるように、自分の予想より早く解決されていきそうです。

専門職へのリスペクトと報酬が欠けている

この同一労働同一賃金の問題の解決は、いろんな所で難しいだろうと言われているのですが、以下の記事がわかりやすくまとめられているかと思います。

いろいろ理由はあるのですが、今の日本に足りていないものとして、要は「専門職へのリスペクトと報酬が欠けている」といったことが書かれています。

 

確かにそれは自分も感じていましたし、日本の技術者もちゃんとした評価がされず、適正な報酬も支払われないから外国に流出してしまうといったことが指摘されていました。

 

今後は少しずつではあると思うのですが、この問題も解決されていくのではないでしょうか。

同一労働同一賃金制度に対して自分が考える背景

同一労働同一賃金制度がなぜ日本や世界で進んでいるのか?それは現実的な視点で言えば、「企業がもう今までの賃金水準では雇えない」からだと思います。

 

それはなぜなのかを考えると、ITや技術の進歩によって日本と外国との境界がなくなってきているということでしょう。(そのことについては以下の過去記事に書きました)

境界がなくなってくるとどうなるかというと、世界の労働者と日本の労働者が比較できるようになってしまうわけです。それは賃金の高さの面もそうですし、能力的な面もそうです。

 

企業としても、直接的にも間接的にも世界の企業と競争をしていかなければならない傾向が強くなってきています。そうなってくるとどうなるかというと、給与が高くて能力が劣る人が自社に多くいるとやはり企業の生き残りのためには厳しいわけです。

シャープの40代の社員への対応

最近の事例でわかりやすいのは以下の記事のシャープかもしれません。

  • 40代以上はいらない

すっかりニュースでも報じられまくったシャープの買収ですが、今その買い主と目される台湾の企業・鴻海の郭会長は「40歳『未満』の従業員の雇用は守る」と宣言したそうです。

 

これはいわば「40代以上の雇用は守らない」との宣言だということで、シャープの成り行きは他人事ではありません。

東芝の人員削減と中年のキャリア

同じく経営が危機的状況にあるといわれる東芝でも、7000人とも1万人ともいわれる規模の人員削減が検討されているとの報道があります。

 

かつて日本を代表する企業だった東芝もシャープも、これだけの人員を支えきれなくなっている事実は、「中年のキャリア」が、これまで以上に深刻な問題になっている実例といえます。

 

このニュースの何が問題かというと「年功序列はもう厳しいだろう」ということです。

 

一見すると40代以上の社員はバブル世代以降の人間であり、あまり苦労をせずここまで来れてしまったからいけないんだ、という意見もあるかもしれません。

 

確かにそういった問題もあるかもしれませんが、自分が問題だと思うのは「年功序列」という日本企業に長年浸透している文化、制度、慣習だと思います。

 

なぜ問題かいうと、自分の感覚としては「年齢の高さ」や「その会社に何年働いているか」という点が重視されるので、努力しようとするインセンティブが働かない」「口が達者で社内政治が上手い人ほど出世する」「むしろ努力せず遊んでいるほうが評価される」という文化にあると感じています。

 

自分も少ないながらも何社か経験してきましたが、「例外はあまり見られなかった」です。

 

企業の経営者としては、社員に対してはなるべく「無知」であって欲しいと思っているのではないでしょうか?無知で他社を知らないほうが、自社を一番と「錯覚」してくれて、なるべく安く長くこき使えると思っているのではないでしょうか?

 

経営者の側も、労働者の側も今回の制度の成立によってそういったやり方は今後は難しくなっていくのではないでしょうか。というのも今までと同じやり方では、上記の事例のように企業は社員を抱えきれなくなってきているからです。

2017年からの消費税10%

さらに2017年から消費税が10%に上がる予定となっています。このような増税が何を意味するかというと以下の過去記事で次のように書きました。

「売上高の1000万円に対して、仕入れ原価400万円、諸経費200万円、給料300万円がかかったとする。消費税率が5%なら、売上高1000万円に対して預かった消費税は50万円。

 

一方、自社が支払った消費税は、仕入れ分20万円、諸経費分10万円の合計30万円。つまり「50万-30万」で20万円が納税額となる。

 

一方、社員の代わりに派遣や外注を頼むと、外部委託にかかった15万円の分をさらに控除できるので、「50万-(20万+10万+15万)」となって5万円の納税額で済む。結果、それだけ懐に残るキャッシュが増え、「それなら派遣・外注を頼もう」ということになる。」

上記の引用した文章に関して、今後10%に増税される消費税からますます正社員として働くことが難しい社会になっていくと思われます。

 

この制度の問題点として、正規社員も非正規社員も給与が平等になるのではなく、賃金水準が低い非正規社員のレベルに賃金水準が「収斂」していく、ということです。

 

同一労働同一賃金制度は一見するとバラ色の人生が待っているように見えますが、要は人件費の適正化、人件費の削減ですね。

 

だからといってこの制度に抵抗しようとしても、この流れは止まることはないでしょう。

 

この制度に抵抗しようとするのではなく、大企業に入れさえすれば将来安泰と考えるのではなく、今後そのような社会になっていく中で一人ひとりがどうすれば生き残っていけるかを考えた方が良いと思います。

この法案によって何が変わっていくのか

ここでは自分なりの考えを書いていってみたいと思います。

 

今までは「正社員」という立場であれば、多少の理不尽を我慢していれば、仕事が出来ない人でも高額な給料が払われていた人も多かったと思います。

 

しかし、今後そういったことは是正されていくのではないでしょうか。要は、今後は真面目に頑張ってきた人、出来る人はそれ相応の地位に立てるようになり、適正な報酬ももらえるようになると思われます。

 

逆に今まで遊んできた人、地位に甘んじて努力を怠ってきた人、できる人にただ乗りしてきた人はそれ相応の地位にしかつけなくなり、報酬も相応のものしかもらえなくなっていくのではないでしょうか。

 

なぜなら、そうしていかないと企業は生き残るのが難しくなってきているからです。もっと言うと、日本国内だけにとどまらず、「世界全体で同一労働同一賃金になっていくのではないか」ということです。

「天井と床がなくなる」

 

よく言われる例えは「天井と床がなくなる」というものです。この傾向が今後ますます進んでいき、二極化は縮まるのではなく、「より拡大していく」と思われます。

 

年功序列制度などによって、今まで能力があった人の給与は抑えられ、能力が不足していた人は支えられていたわけです。そういったものが、今後は少しずつなくなっていくだろうということです。

 

まとめると、今までがおかしくて、やっと普通になっていくということだと思います。

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