コンビニ収納代行や債権回収会社を利用した債権回収の重要性と『ビジネス実務法務』の必要性

今回もとある企業の事例から勉強になったことがあったので書いていってみます。その勉強になったことというのは「債権回収」についてです。

 

債権回収というと、「なんだかよくわからない」「地味すぎる」といったイメージがあるかと思います。自分も経理をやってきたにもかかわらずその重要性にあまり気づいていませんでした。

 

今回書くことは債権回収の専門的な意味ではなく、なんとなく学んだことを書いていってみます。

こんな種類の債権回収方法もある

債権とは、簡単に書くと以下のような意味です。

さいけん【債権】の意味 – goo国語辞書

財産権の一。特定人(債権者)が他の特定人(債務者)に対して、一定の行為(給付)を請求することを内容とする権利。金銭を貸した者が借り手に対して、その返還を請求する権利

企業の会計的に表現すると売掛金などが当てはまります。よく言われる例えは、飲み屋で「後で払うから」と言って、支払いを後にする「ツケ」というやり方です。

 

債権回収の問題はこの「ツケ」が後日ちゃんと支払われるかどうかということです。今までいくつかの会社で働いてきましたが、こういった債権の回収方法もあるんだなと勉強になったのが以下の3点です。

  • 債権回収会社とサービサー
  • 収納代行(ファクタリング)
  • 債権回収会社と収納代行会社の違い

以上の3点について簡単に説明していってみます。

債権回収会社とサービサー

債権回収会社 – Wikipedia

債権回収会社(さいけんかいしゅうがいしゃ、英: Collection agency)とは、日本において、弁護士法の特例として特定金融債権の管理や回収を業として行うことができる株式会社をいう。サービサーともいう。債権管理回収業に関する特別措置法の規制を受け、同法の許可が必要である。法務省が所管する。

債権回収会社というのは、例えばA社に代わって銀行などがA社の得意先から債権を回収してくれるというものです。

 

収納代行

ファクタリング – Wikipedia

収納代行とは、売買契約や受講契約を行った際の料金の授受を直接やり取りせず、間に代行業者が介入し、代行業者が収納業務を行う形態。

収納代行とは、コンビニ収納代行などがあります。ある人が企業から何らかの商品やサービスを受けたりした時に企業に料金を支払うのではなく、コンビニで払込票などを使って料金を支払うというやり方です。

債権回収会社と収納代行の違い━能動的な回収と受動的な回収

この債権回収会社と収納代行の違いは、以下にわかりやすく書かれています。

「債権回収代行」と「収納代行」の違いを教えてください。 債権… – 人力検索はてな

一般的な意味では、ふつうの売掛金なども債権かもしれませんが、「債権回収代行」の債権は不良債権のことを指しています。

 

「債権回収代行」は、通常の手段では回収が困難となった不良な債権を回収するものです。個別案件に対応して能動的な回収手段を用いる必要があります。

 

「収納代行」は、振込みや口座振替などの決済手段を提供するものです。決済の仕組みを利用してもらう、受動的な業務です。支払う意思のある人から代金を入金してもらうだけです。

なぜ企業はこのようなやり方をとっているかというと、「リスクをなるべく減らしたい」からだと思われます。

債権回収をしっかりできないとどうなるか

右肩下がりの棒グラフと折れ線グラフ

というのも、経理の仕事をしているとわかるのですが、意外と料金や売掛金の支払いをしてくれないところは多いのです。

 

企業の取引となると、何十、何百、何千、何万社という数になってきます。そうなると例えば、

 

得意先が何らかの要因で資金繰りに行き詰って支払ってくれなかったり、倫理的にあまり思わしくないやり方で支払ってくれなかったりなど、どうしても確率的にそういった取引先が出てきます。

 

企業レベルの取引というと、支払いが行われないというのは、めったにないことというイメージがあるかもしれませんが、全然そんなことはありません。

 

そういったリスクを減らして、多少の手数料を支払ってでも、自社と得意先との間に債権を回収してくれる代行会社を入れる、といった方法をとるわけです。

滞留債権の危険性

 

商品やサービスを売っても、きっちり売掛金などの債権を回収できず、さらに放置しておくと「滞留債権」となりますます回収が難しくなると言われてます。

 

こういった滞留債権が積みあがっていくと、本来であれば日々の企業運営にあるはずの現金預金がないので、長期的視点での研究開発や人材育成のための投資はもちろん、短期的な日々の資金繰りにも影響がでてきます。

他社からの買収や企業再編による余剰資産の売却

もっと具体的にいうと、ボーナスがなくなったり、社員の基本給も減らされたり、他社から自社を買収されてしまい、買収された会社の指示を受け入れなければならなくなります。

 

その指示が良いものであればいいですが、大抵そんなことはなく、企業再編という名目で、自社の余剰資産を売却しなければならなくなったり、社員の首をきるリストラもしなければならなくなってきます。

 

「債権回収」というとすごい地味なイメージがあるのですが、「当たり前のことを当たり前にやる。それができないとどうなるか」ということが段々わかってきて、最近その重要性に気づくようになってきたので今回書いてみました。

 

経理担当者になぜ法務の知識が必要なのか

 

以前いた会社の上司から「ビジネス実務法務の勉強をしろ」と言われたことがありました。

経理業務に対するビジネス実務法務の必要性

知らないよりかはいろいろと知っておいた方がいいだろうと思っていたので、ビジネス実務法務の勉強はしてきました。

 

例えばビジネス実務法務という分野には『ごうかく! ビジネス実務法務検定試験(R)2級 攻略テキスト2012年度 』という本があったりします。

 

この本の第4章には「債権の管理・回収と倒産処理」という風になっていますが、この章には債権回収にあたり実にさまざまな方法が書かれています。

「代価弁済」「根抵当権」「譲渡担保」「代物弁済」

「代価弁済」「根抵当権」「譲渡担保」「代物弁済」など、最初勉強し始めた時は今まで見たこともない小難しい言葉をたくさん目の当たりにして頭がクラクラしていました。

債権者代位権

もう少し具体的なものをあげるなら、次のやり方を引用してみます。

p.182

債権者代位権とは、債権者自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を債務者に代わって行使することができる権利を言います。

 

たとえば、AがBに対して100万円の貸金債権を有しており、BもCに対して100万円の売掛代金債権を有しているという場合において、Bが他に見るべき財産を有していないにもかかわらず、Cから債権の取立てをしようとせず、

 

これを放置しているため、その債権が時効消滅寸前の状態にあり、AのBに対する債権の回収があやうくなっているときは、Aは、自己の債権を保全するため、Bに代わってCから債権の取立てをすることができます。

 

この場合において、Aの債権を「被保全債権」、Bの債権を「責任財産に属する権利」といいます。

 

当時勉強していた頃は、「ふーん、債権回収にはいろんな方法があるんだなぁ」ぐらいの感覚でしかありませんでした。

 

経理をする人間になぜ法務の知識?と疑問に思い、その時から今までずっとその感覚を引きずっていました。

 

それが今回書いた記事のように最近になってやっとわかってきました。現実問題として、債権を回収できないことは多々ありうるし、企業の日々の運営にも現金は必要、そのためにも様々知識や回収方法を知っておかなければならない、ということです。

 

なんとも理解の遅い経理経験者もいたものです。

債権管理だけを専門に業務委託として外部から働きに来ている人の存在

企業にとって売掛金、債権をしっかり回収することは重要であり、日々の企業運営にとって欠かせません。

 

今までの会社で売掛金など、債権管理だけを専門に業務委託として外部から働きに来ている人がいました。

 

自分が驚いたのは、そういった働き方や仕事もあるんだという点に気づかされたことと、自分がいた企業の経営状況もそうですが、それだけを専門として働きにくる人がいるということ自体、債権回収がどれだけ大切かということがわかってきたからです。

 

今までの自分は、ただ教科書上の知識を知っているだけで、その仕事の重要性について理解できていませんでした。この分野の勉強は、診断士の勉強と並行して少しずつ進めていきたいと思います。

 

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