今の社会は多くの人が悩みを抱えています。それは上司との関係であったり、長時間労働であったり、家族との関係であったりと、人の悩みというのは尽きないものです。
以前の自分は街の中の歩いている人々を見ていると、とても楽しそうというか自分だけが不幸なんじゃないかと思っていました。しかし実際に話を聞いてみたり、インターネットでネットサーフィンなんかしていると、
むしろ大多数が苦しんでいるんじゃないかと思うほどです。
自分もかつて長時間労働や上司との関係には苦しめられてきました。
「なぜこんなに人をこき使うのだろうか」
「なんでもっと普通の言い方ができないのだろうか」
本当に不思議に思っていました。
そういった環境が嫌で「派遣社員」という働き方や、もう少し将来を見据えた働き方としてこのブログでは度々書いてきましたが、「中小企業診断士」の勉強をしてきました。
しかし昨日は、その努力もむなしく「不合格」という現実を突きつけられてしまったわけですが。
このブログでは派遣社員としてのメリット・デメリットについての記事も書いてきましたが、今回もまた自分が感じた派遣社員として働くことの「メリット」を書いていってみようかと思います。
「毎日次の日が来るのが怖くて眠れない」
以前、電通で高橋まつりさんの過労死の事件が問題となった時がありました。以下にそれに関する記事を引用してみます。
亡くなった高橋さんのツイッターでの発言が、ネット上で見ることができるので、その一部をここに紹介する。
10月13日 「休日返上で作った資料をボロくそに言われた もう体も心もズタズタだ」
10月21日 「もう四時だ 体が震えるよ… しぬ もう無理そう つかれた」
11月3日 「生きているために働いているのか、働くために生きているのか分からなくなってからが人生」
11月10日 「毎日次の日が来るのが怖くて眠れない」
12月9日 「はたらきたくない 1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる」
12月17日 「死ぬ前に送る遺書メールのCCに誰を入れるのがベストな布陣を考えていた」
非常に心が痛む事件でしたね。高橋さんが感じたようなことを自分も感じていた時期があります。
派遣社員のメリットは「逃げることができる」ということ
自分がここまで何社か派遣社員として働いてきたメリットについては以下の過去記事でいくつか触れてきました。
「逃げることができる」とは書きましたが、嫌になったら何でもかんでも無責任に放り投げていいというわけではありません。
ただ、正社員と違って給料や責任と言う面では劣る部分もあります。そういったものに対するトレードオフとしての仕事のしやすさというのはあるという風に感じています。
辞めることはできるが・・・
以前にこのブログでは以下のような過去記事を書きました。
以前とある企業に経理の派遣社員として働いていた時に、職場環境や業務のレベル高さからとても仕事をすることはできない、といった時がありました。
その時は自分も心身ともに疲弊していたので、担当者の方に「なんとか辞めさせていただけないか」と無理を承知で頼み込みました。
本当に自分がどうしようもなくて、失礼なことをしてしまっているというのは自覚していたのですが、それでもなお自分にとってその環境は厳しいと感じていたのです。
他の派遣に関するブログなどを見ても、やはり途中で辞めるというのは、礼儀や法律の面からもよろしくないと、ただし無理に勤めて体を壊してしまうようであればその限りではない、といった内容のものが多かったです。
その時は、仕事も大事だが試験勉強にも集中したということで、本当に申し訳なかったのですが、途中で辞めさせていただいた経緯があります。
勤める期間の違い
正社員と派遣社員はどちらも安易に辞めることはできませんが、正社員は基本定年まで勤める必要があります。ですが、派遣社員は「一定の期間」という風に働く期間が契約で事前に告知されます。
企業と契約を結ぶ前に、「短期」とか「長期」という働く期間を選ぶことはできますが、長期といっても基本は「3ヶ月ごとに更新」していく形です。
途中で企業側が「この人の能力はちょっと難しいかな」ということで契約が更新されない場合もありますし、派遣社員の側としても「この職場環境ではちょっと・・・」ということで契約を解除する場合もあり得ます。
以上のことから正社員と比べれば格段に「辞めやすい」というのはあります。しかしただ辞めやすいというのではなく、「次がある」から辞めやすいと自分は感じています。
「次がある」から「逃げられる」ということ
正社員と派遣社員の就職活動を両方とも経験して気づいたことは、派遣社員の方が圧倒的に次の就職先を決めるのが簡単だということです。
なぜ正社員の時と比べてこれほど次の就職先を決めていただけるのかと考えていたのですが、いくつかの理由のひとつとして「2億円の買い物をする訳ではない」からでしょう。
これは以前誰から聞いたかは忘れてしまいましたが、「正社員を雇うといことは2億円の買い物をすることなんだ」と言われたとき心に突き刺さりました。
言われてみれば確かにそうです。正社員というのは、形式上では就職先の企業で「定年」まで勤めるという雇用形態です。一般的に正社員の生涯賃金の平均は約2億円と言われています。
ということは企業は定年までその社員にそれだけの給与を支払い続けなくてはいけません。加えて何十年も一緒に働く人を選ぶわけですから、能力よりかは「人柄」とか「コミュニケーション能力」の方が重視されるのも仕方のないことです。
これに対して派遣社員を雇うということであれば、「長期」の契約でも3ヶ月更新なので、その派遣社員に毎月20万円の支払い(企業が実際に支払う先は派遣元であり派遣社員がもらえる額よりも多い金額を支払う必要がある)で3ヶ月で60万円の支払いとなります。
仮にその派遣社員が期待する働きをしてくれなければ契約を延長しないという選択肢もとれるわけで、このような比較から正社員では「2億」、派遣社員では「60万円」と考えた場合どちらがリスクが少ないでしょうか。
比べようもなく派遣社員の方がリスクが少ないわけで、企業側としてもリスクを避けつつ、実際に働く姿を見れることで能力面の確認もできるわけです。
「選択肢はひとつではない、だから、どうか死なないで」
これらの理由から正社員に比べれば派遣社員の方が次の仕事の決めやすさは容易だと思われます。
正社員しか経験していない人、まして新卒で入った会社で何十年も勤めることができてしまった人であれば、いざ進退窮まった時でも辞めるに辞められないのではないでしょうか。
しかし「今がダメでも次がある」と思えれば、自分の身を壊してまで我慢する必要もなくなります。
派遣社員は契約期間が都度延長する形だから、加えてすぐ次の仕事先も見つけるのも容易だから「逃げやすい」と思うのです。
ですから、この記事を見た方で、今後の生き方に不安を抱えている人には「選択肢はひとつではない、だから、どうか死なないで」と伝えたいです。
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更新日 2019年1月20日 5:25 AM