近い時期に働き始めた正社員と派遣社員の賃金は一部では既に逆転している

今回、自分のツイッターから以上のようなツイートを引用しました。リツイート先の記事は城繁幸さんのブログの「なんで非正規の賃金は上がるのに正社員は上がらないの?と思った時に読む話」という記事です。

 

この方は、加筆修正して以下のようにヤフーの方にも寄稿しています。

 

城繁幸さんは『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』という本を出しており、過去に富士通に勤められていましたが、様々な事情から今は同社を退職されています。

 

人事・労務の分野に関しては以前からこの方のブログを見ていろいろと勉強していました。

 

今回の記事のタイトルは『近い時期に働き始めた正社員と派遣社員の賃金は既に逆転している』としたように、ここまで引用してきた記事や自分のこれまでの経験からも正社員と派遣社員の賃金は、条件によっては既に逆転している所もあり、そのことについて思ったことを今回書いていってみます。

 

こんな優秀な人がこの金額?

このブログでは何回か書いていきましたが、今自分は派遣社員として、とある派遣先で経理として働いています。

 

経理として働いていると、その会社のお金の流れを日々見ていく必要があるので、その会社で働く人の給与を見る機会というのは結構あるのです。

 

少し前にそういった機会があったので、というかそういった給与の数値を見ないとできない仕事を指示されたので必然的に見なければいけなかったのですが、最初見たときに「あぁ、そうなんだ・・・」と感じました。

 

もちろん具体的な数値とかはここでは書けませんが、冒頭部分で書いた記事の内容や今回のタイトルのように、自分が1ヶ月でいただく給与と自分が派遣されている会社の正社員の人たちの給与がそれほど差がないなと感じました。

 

このことについて触れる前に、正社員と比較した場合の派遣社員の待遇や時給について書いていってみます。

自分が派遣社員を選んだ経緯

「非正規」とか「派遣社員」というと、昨今のニュースでは低賃金で企業で働かされてかわいそうとか、待遇が良くなさそうとか、一時期は「派遣切り」なんて言葉も出てきて、あまり良いイメージを持っていない人が多いのではないでしょうか。

 

しかし、自分は実際に派遣社員の経理としていくつもの会社で働いてきましたが、むしろその待遇は逆であると感じています。

 

まず採用のされやすさで違います。そのことについては以下の過去記事で書いてきました。

他の人はどうなのかはわかりませんが、自分の場合、中途で正社員を希望して就職活動した時は、50社とか100社とか平気で応募しないといけませんでした。

 

確かに会社側も正社員として雇うからには定年までを考えているわけで、おいそれと簡単には採用できません。能力がある程度あるのはもちろん、人あたりの良さとかコミュニケーションが取れるかといったことや、上司とも仲良くできるかといったことが見られます。

 

ですから、以前の自分は正社員を希望して就職活動していたときは本当に苦労しました。そこで運よく経理の正社員として採用されたとしても、その時の上司が「普通じゃなかった」りすると嫌でも辞めなければいけなくなります。

 

そう、それまでの何十社何百社受けてきた就職活動が全て徒労になるのです。これを何回か繰り返した時にはもう耐えられませんでした。あまりにも理不尽すぎるからです。

 

自分も会社側も裁かれるのならいいのですが、そんなことはまずなくて一方的にこちら側が損をすることになります。理由はそれだけではないのですが、そのような経緯もあって派遣社員という道を選ぶようになりました。

派遣社員の方が精神的、実務的に楽だった

自分が派遣社員を選んだ理由は正社員としての働き方に限界を感じていたのと、その時に勉強していた中小企業診断士の資格を取るための勉強時間を確保したかったからです。

 

そして実際に派遣社員として働いてみた感覚としては、正社員に比べれば非常に良いと感じました。

 

まず採用の時点で違います。正社員として働くには、以前は何度も100社以上応募しなければいけなかったのに、派遣社員として働こうとすると数社、多くても20社ぐらいで決めることができるのです。

 

これは本当に本当にありがたかったです。それは1社だけではなくて他の会社で働く時も同様で、しかも契約期間が終わってから就職活動をしてもどの会社も1ヶ月以内で決められたので、「生きることに対する不安」からかなり解消されました。

 

実際に職場に行って働く場合でも、正社員と違って丁寧に対応してくれます。正社員の時は身内になったということでいろいろと理不尽なことを言われたり、理不尽な待遇をされました。

 

ですが派遣社員になると派遣元から派遣先に出向するという形なので派遣先にとっては自分は「外部の人間」なのです。例えば会社にお客様がいらっしゃった時はどこでも丁寧な対応をしますよね。ですから正社員の時のような理不尽な扱いはなくなりました。

 

仮に嫌なことをされたとしても、すぐに派遣元に報告をすれば改善してもらえるので、働くということに対して非常に楽になりました。「外部の人間」になれるとこんなに待遇が良くなるのかと感動したものです。

派遣社員と正社員の時給を比較した場合

以上のようなことから、少なくとも自分としては世間一般に考えられているイメージとは派遣社員の待遇は違うと思っています。「経理」という職業だからかもしれませんが、全然低賃金というわけではありません。経理の派遣の時給の相場としては1,600円から1,700円ぐらいだと感じています。

 

仮に経理の派遣社員として時給1650円で働いたとして、1日8時間、1ヶ月土日祝祭日を除いて20日間働いたとして

1650×8×20=264,000円

1ヶ月の給与が264,000円ということになります。

 

これが祝祭日がない月とか、1ヶ月が31日間のように平日が多い月、さらに残業が加わったりするともっと給与はあがります。例えば

1650×8×22=290,400円

これに残業が加わると月に30万円を超えてきます。

 

以上のような計算から派遣社員とか非正規が低賃金で非常に生活に困っている、というわけではないことがわかります。

 

さらに有給休暇を1ヶ月1回使うと、22日ではなく21日で同額の給与が発生するので1ヶ月の労働時間は8×21で168時間となり、時給に換算すると

290,400÷168=1728.57円と1700円を超えてきます。

 

このブログでは、以下のように過去に正社員の時給について計算した記事を書いたことがあります。

平成25年分の民間給与実態統計調査の数値を元に計算してみたのですが、男性正社員の実質的な平均時給は1646.97円となり、以上のように計算してきた1ヶ月の派遣社員の時給を下回ります。

 

計算方法は賛否両論あるでしょうが、今の時代は、派遣社員だからといって正社員に大きく劣るということでもないのです。

 

なぜここまで以上のような説明をしてきたかというと、今回の職場で正社員と派遣社員の「違い」というものについて「再認識」させられたからです。

 

話はもどりますが、今働いている職場の上司というのは非常に優秀であり良い人です。しかし今の会社に入ってきてそれ程年数は経っていません。ここまで書けば察しの良い人は気づいているでしょう。

 

まぁ、つまりそういうことです。この記事のタイトルから察していただければと思います。

 

優秀な人でも正社員として入るとこれほど給与を抑えられてしまうのかと何とも言えない気分になりました。上司なので自分より年上ということもあるのにです。年功序列という制度は本当に恐ろしいです。

 

「そうか、正社員とはこういうものか・・・」と再認識させられた出来事でした。

 

正社員というと、非正規に比べれば何かと良いイメージをもたれがちですが、その実態は、

 

「一応は定年まで雇う(予定)だから、会社の業績が良くなったからといって簡単には給与を上げられない(会社の業績が悪くなった時に払えなくなるかもしれない)から最初(数年は賃金UPは据え置かせてもらう)は我慢してね♪」といったものであり

 

「正社員として雇うのだから(安全は保証してあげるのだから)、多少理不尽(全然多少ではないが)なことにも我慢してもらうからね♪」といったことが「正社員」という言葉の裏に含まれているのです。

 

正社員として長期的に働ければまだいいかもしれませんが、昨今の日本のシャープや東芝といった大企業に象徴されるように、必ずしも定年まで雇用が保証されているわけではありません。

 

ブラック企業という言葉が社会問題として共有されてきたように、長時間労働や上司からのパワハラに自分も含めて耐えられない人がたくさん出てきています。

 

そのような状況が進んでいるということから、今後は正社員という働き方が割に合わなくなってくるということも十分考えられるようになってくるでしょう。

プログラマーやシステムエンジニア、アプリ開発者、Webデザイナーなどの派遣社員の時給は2,000円や3,000円以上のものもある

派遣社員の求人を探していると、経理だけではなくてそれ以外の職種の求人も目に入ってくることがあります。

 

最初初めて派遣社員の時給の高さを見た時は驚きましたが、それ以上に驚いたのは次のようなIT系の企業で働く人たちの派遣社員の時給でした。

  • プログラマー
  • システムエンジニア
  • アプリ開発者
  • Webデザイナー

 

こういった職種には時給2,000円とか3,000円以上の求人が普通にたくさんあるのです。例えば時給3,000円で1日8時間、1ヶ月20日間働いたとすると

 

3,000×8×20=480,000となります。

 

えぇすごい金額ですね。この金額って中小企業の部長レベルの給与です。30代、いや実力があるのであれば20代でもこれだけの給与を得られるということです。これはプログラマーだけではなく、他のIT系の職種にも見られる数値です。

 

年功序列制度が根強く残る日本の企業では、何らかの部署の部長になるまでに10年、いや20年はかかるかもしれません。20年かかったとしても部長にはなれないかもしれません。むしろそういう人の方が多いでしょう。

 

ですが、IT系の派遣社員の時給のように実力さえあれば20年を待たなくても20代の内に1ヶ月50万円近く得られる機会があるわけです。企業だけではなく「生き残り」ということを考えれば、本来であればこっちの方が普通のはずです。

 

このような現実が生まれてきてしまった以上は、上司に媚び諂い、努力もせず、ただ20年ひとつの企業に勤めて部長になったから毎月50万円もらえるという企業は今後は生き残りが難しくなっていくでしょう。

今後は、非正規でもリスクを取ってちゃんと勉強していく人にとっては賃金は上がっていくが正社員として怠けていく人は難しい

今回引用した城繁幸さんの記事や自分の経験からも、今後はもっと非正規と正社員との間で賃金の逆転現象が起こっていくでしょう。

 

厳しくなっていく経営環境の中、企業側にとって正社員の給与は据え置けるのであれば据え置きたいものです。というか、今後はもっとそうせざるを得ないでしょう。

 

今までであれば正社員が業務の中核的な部分を担当し、アルバイトやパート、派遣社員がその周辺部分というか、あまり重要ではない業務を担当していました。今後はこういった部分も逆転していくかもしれません。

 

今後日本の人口が長期的に減少が予想されている中、人手不足の問題が叫ばれています。そのような環境化では相対的に人の価値が高まっていきます。時給が上がっていくであろうということです。今はまだいいかもしれませんが、今後はその上昇幅は無視できない数値になっていくのではないでしょうか。

 

そういった中で、高い時給をはらっているにも関わらず、実力があるにも関わらず、重要でない業務を担当させるのは企業側にとって割に合いません。

 

「高い給与を払わなければいけないのであれば、もっと重要で量がある業務をやってもらった方が生産性としてはこちらの方が高い」こういった声が上がってくるかもしれません。

 

一方正社員は、給与の上昇を据え置いて重要な業務を任せるのは、労働者側が不満を持つかもしれません。

 

「非正規社員より重要で量もある業務をこなしている。それなのに長時間サービス残業で給与が上がらないどころか非正規社員よりも低い。これではやっていられない。」こういった声が上がってくるかもしれません。

 

今後は以上のような事が起こるかもしれません。そうなっていった時に、今後は非正規社員でもリスクを取ってちゃんと勉強していく人にとっては賃金は上がっていくでしょうが、正社員として怠けていく人はどんどん給与を据え置かれていき、生活していくのさえ難しい時代になっていくのではないでしょうか。

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