このブログでは、派遣社員について以下のような過去記事を書いています。
これらの記事で書いたことは、
- 「正社員ってメリットがあるのだろうか」
- 「IT系の仕事で優秀な人というのは、実は正社員では働いていないのではないか」
- 「なぜなら正社員以外でプロジェクト型の仕事とか派遣社員で非常に高額の時給があるからではないか」
といったことを書いてきました。上記以外にも、自分が経理の派遣社員としての経験談的な記事は書いていきました。
世間では
「非正規なんて嫌だ、早く正社員にしてほしい」とか
「好きで派遣社員なんてしているわけじゃない」
といった意見もあります。
それは非正規社員や派遣社員などが低賃金であったり、正社員と比べて待遇が悪かったりといったことが理由として挙げられているようです。
果たしてこれらのことは本当なのでしょうか。
このブログでは自分が経理としての派遣社員の経験があるのに、派遣社員のニュースとかトレンドについてあまり扱ってはいませんでした。また、昨今の人手不足から現在の労働市場はどうなっているのか、
派遣社員としての仕事にはどういったものがあるのか、職種ごとの時給とはどれくらいものなのかという点について、派遣社員は本当に低賃金労働しかないのかといことも含めて今回書いていってみたいと思います。
2017年度2月期における派遣社員の平均時給 約1,500円程
以下に引用した派遣社員の平均時給についての記事は2017年2月度の三大都市圏における派遣社員の平均時給が書かれたものです。
2017年2月度の派遣平均時給は1,536円。5ヶ月連続で前期比マイナス。 – SankeiBiz(サンケイビズ)
■2月度の三大都市圏平均時給は、1,536円。
2017年2月度の三大都市圏平均時給は1,536円。前月比横ばい、前年同月比-25円・1.6%減と5ヵ月連続で前年同月比マイナスとなりました。前期比マイナスとなったのは、「医療・介護系」でした。
その他の職種は前年同月比プラスとなっています。「医療・介護系」職種は、引き続き資格無しでOK・実務未経験者歓迎の案件が増加。加えて「扶養内OK」、「短時間OK」、「土日休み」など、自分のライフスタイルに合った働き方を選べるような案件を揃えることで、各社人材確保に取り組んでいます。
この記事内で見た場合は表がちょっと見づらいかもしれません。その場合は、引用先で大きな表が見れるのでそちらを参照していただければと思います。
表は2014年から2017年の期間のもので、三大都市圏における派遣社員の平均時給の推移を示しています。期間中のトレンドとしては横ばいか上昇基調といった感じでしょうか。
途中からちょっと下降気味ではありますが、その要因は「医療・介護系」で下がってきたためとあります。この分野への人材の供給が以前に比べて増えたのかもしれません。
記事内では他の職種は全て平均時給が上昇していると書かれています。
表を見ていただければわかるように、派遣社員の「平均」時給が約1,500円程と書かれています。東京都のアルバイトの最低賃金が約900円程ということを考えると、非常に高い時給になっています。
もちろん誰でもすぐに派遣社員の仕事ができるわけではなくて、時給が高い分、ある程度の経験、スキルや即戦力としての力が求められます。
仕事別時給ランキング(2015年12月時点での三大都市圏(関東・東海・関西)
インターネット上で調べてみたのですが、2017年度とか最近のもので良さそうな表がなかったので、今回は以下のような表を引用してみました。
派遣社員「仕事別平均時給ランキング」 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online
表は2015年12月時点での三大都市圏(関東・東海・関西)の職種別平均時給とその推移
初めて上記のような表を見られた方は、職種別の時給の高さに驚かれたと思います。自分も初めて経理の派遣社員をやろうとした時は、その時給の高さに驚きました。
それ以上に驚いたのは、表の上位を占めるIT系の職種の時給です。この表にある職種を大きく3つに分けて今回は見ていってみます。
IT系職種:1~23 時給レンジはだいたい2,400円以上~1,700円程

引用した表の1番目から23番目は大まかに分類すると、一部を除いてIT系の職種となります。具体的には、以下のような職種になります。
- ネットワークエンジニア
- ビジネスアプリケーションSE
- WEB・スマホ系SE
- データベース系SE
- システムエンジニア
- プログラマー
- デザイナー
以上のようなクリエイティブな職種が多く、プログラミングなどの高度な知識が求められます。この部分の時給レンジはだいたい2,400円以上~1,700円程になります。
2,400円以上と書いたのは、例えばテンプスタッフとかリクルートスタッフィング、他にもIT系専門の派遣会社の求人を見ていただければわかると思うのですが、
2,500円とか3000円以上の求人もあるからです。世間一般のアルバイトの時給が900円とか1,000円程といったことを考えると非常に高い数値となっています。
昨今の人手不足事情から、企業は機械やシステムなどに業務を代替してもらいたい需要があり、その点に関しては以下のような過去記事も書いています。
経理でいえば、経費生産システムといった全社規模のシステムが必要とされているところもありますし、部署という単位で見れば、マクロやVBAで業務を効率化できる人材がいれば非常に重宝されます。
また、ソーシャルゲーム開発やアプリ開発に関する人材の必要性もニュースなどで見かけます。
このブログでは以下のように男性の正社員の平均時給はどれくらいか、といったところも計算した記事を書いてきました。
その男性正社員の平均時給は「1646.97円」となっています。計算方法には賛否両論あるでしょうが、派遣社員というのが正社員に比べて明らかに劣っているという訳ではないことがわかります。
むしろ現在の正社員の給料事情や勤務時間事情から考えると、現実はかなり損をしているのではないでしょうか。
表の1~23の範囲を見ていただければわかるのですが、自分が見て驚いたのは、「通訳・翻訳」という職種が時給1,900円程と高い数値となっている点です。
あまり詳しくは調べてはいないのですが、英語の契約書を日本語に翻訳したり、日本語の契約書を英語に翻訳したり、外国企業との取引に関する書類を翻訳したりといった仕事のようです。
最初このような仕事があることを知った時は、「あぁ、こういう仕事もあるんだな」と仕事に対して新たな視点を持てました。
確かに昨今は国内の人口が減少傾向にあり、国内の需要も縮小していくだろうということで、外国企業との取引が多くなっている所が多くなっています。
自分もここまでいくつかの会社で経理の仕事をしてきたのですが、取引先から送られる請求書も英語とか中国語のものもあったり、為替換算の業務もあったりするので、「通訳・翻訳」の仕事の需要が高まっているというのは理解できます。
経営・経理・法務・事務系職種:24~47 時給レンジはだいたい1,700円~1,400円程
引用した表の24番目から47番目は大まかに分類すると、事務的な職業になります。
具体的には以下のような職種になります。
- 経理
- 財務
- 英文経理
- 総務
- 人事
- 貿易国際事務
- 労務
- 金融
- 広報・IR
- 法務
- 購買
- 営業事務
以上の職種のように会社のバックオフィスに関する事務的な仕事が多いです。この部分の時給レンジはだいたい1,700円~1,400円程になります。自分が以前経理の派遣社員として働いていまして、経理や財務といった職種はここの分類に入ります。
IT系職種に比べれば時給は見劣りしますが、男性正社員の平均時給やアルバイトの時給と比べればそれほど悪くない数値なのではないでしょうか。
自分は派遣社員としては経理の経験しかないのですが、例えば経費精算や月末の支払業務など日次・月次業務のレベルでは時給は1,600円前後といった感覚です。年次決算や連結決算、予算の策定など、高度で経営に近いポジションの業務内容だと時給は2,000円を超えてくるものもあります。
また英文経理など、英語を専門に扱った経理の仕事の場合は時給1700円とか2,000円以上とか、通常の経理の時給よりも高くなる傾向にあります。これはどの職種にも言える事ですが、他の人にはできない高度な仕事ができるのであれば高い時給の仕事を受けることができます。
その他:48~66 時給レンジはだいたい1,400円~1,000円程
引用した表の48番目から66番目は大まかに分類すると、この層は以下のような職種が存在します。
- 販売や受付業務
- 製造業務
- ドライバー
- 軽作業
以上のような職種はあまり高度な能力を必要とされなかったり、現場での体力的な仕事が多くなっています。この部分の時給レンジはだいたい1,400円~1,000円程になります。
自分は以前正社員ではありましたが、外食産業の会社の店舗で働いていた経験があります。そこでの仕事というのははっきり言って、従業員を人間扱いしない所でした。
連日3時間睡眠とか長時間労働は当たり前、飲食業は基本的に立ち仕事なので文字通り体力が必要であり、必然的に激務になっていきます。また業種によっては調理に高温の油を使ったり、火を使うので、大きな火傷を負う可能性もあります。きつい上に危険性も高いのです。
製造業務については、これは他の人から聞いた話でしかないのですが、この仕事に関しても基本的に楽なものではなく、指を切り落としたりするという可能性もあるようです。
引用した表のこの階層の仕事は、投下した労力の割にはあまり報われないようです。おそらく、世間で一般的に批判的に言われているのはこの部分の仕事でしょう。
確かに時給もアルバイトとそれ程大きく差があるわけでもなく、非正規ということもあって立場的には正社員と比べて不安定であり割に合ってはいないでしょう。派遣社員として働くのであれば、場合によってはこの部分の仕事は避けた方がいいかもしれません。
「派遣社員や非正規社員は本当に低賃金労働しかないのか」という問いに対しての答え
「派遣社員はや非正規社員本当に低賃金労働しかないのか」という問いに対しての答えは、今回の記事でも書いたように、高度な知識や経験があまり必要とされない仕事であれば低賃金労働しかない、と言えます。
別の見方をすれば、高度な知識や豊富な経験さえあれば、正社員以上に良い給料や良い待遇を得られると言えるでしょう。今回参照した記事からわかるように、非正規とか派遣社員だからといって全てが低賃金でひどい仕事というわけではありません。
その人の趣味や嗜好、求めるライフスタイルによっては、生きていくための選択肢の中のひとつとして加えてもいいのではないでしょうか。
あわせて読みたい
- 外国資本企業含む許可事業所数(一般・特定)約8万社の派遣会社と、派遣会社ごとの得意分野について – 知識の倉庫の整理
- 派遣社員として働くことのメリット━「逃げることができる」ということ – 知識の倉庫の整理
- IT業界の正社員は本当に不足しているのか – 知識の倉庫の整理
- 近い時期に働き始めた正社員と派遣社員の賃金は一部では既に逆転している – 知識の倉庫の整理
- 経理の正社員で働いてきて感じた派遣社員のメリットとデメリット – 知識の倉庫の整理
- 派遣社員として働きながら資格試験に挑戦するうえで大変だったこと – 知識の倉庫の整理
- 今後は正社員の定義が見直されてくると思われる
- 給与の手取10%減少の状況から将来の正社員の待遇は暗い
- 派遣社員を目指して就職活動してから派遣先が決まるまでに実際に遭遇したトラブル
























コメント