今後のスキル偏重型技術革新で、機械といかに協力できるかが問われてくる

最近は『機械との競争』という本を読んでいました。なるほど、今の世の中の技術はこれほど進んでいたのかと思わされるエピソードが多く記述されています。それと同時に人間が技術の進歩に少しずつついていけなくなっているということもわかってきました。

 

以下の過去記事では「チェス盤の法則」という言葉を例に、今の世界の技術の進歩のスピードがいかに早くなっているかを書きました。

今回はもう少し踏み込んで、その技術の進歩が我々の生活にいかに影響してくるようになったか、そしてひとりひとりが今後どう生きていった方がいいのかについて、本書に書かれていることを含めて考えたことを書いていってみます。

伸び悩む所得

インターネットで「平均年収」という言葉を検索したことはないでしょうか。自分の年収は日本人の平均と比べてどうなのかな、といったことや、平均年収の推移を見るために調べたことがある人もいるかもしれません。

 

例えば以下のようなサイトの表があります。

 

この日本人の平均年収を調べてみると、平成9年をピークに減少の一途を辿っています。安倍政権になってからこの平均年収が少し持ち直した感がありますが、上昇曲線を描く所まではいっていません。

 

自分も最初このような表を見たときは「えっ!?なんでずっと下がってるの」と疑問に感じました。

 

この表を見る前は、経済は景気というものが大きく関わっていると思っていました。

 

景気には波のように良い時期と悪い時期があるから、平均年収もそういった景気の波に左右されるものなのだろうと、だから多少の波はあっても大きくは変動しないものなのだろうと予想していました。

 

実際はそうではなく、平成9年をピークに下がり続けているという事実があるわけで誰もが疑問に思う所でしょう。

 

平均年収が下がり続ける要因の一つが、本書で書かれている「機械の進歩の早さに人間が段々とついていけなくなってきている」というものです。

 

本書の執筆者はアメリカ人ということで、本書においてはアメリカの1955年から2010年までの世帯所得の表を提示しながら説明がなされており、1970年代から所得が伸び悩みはじめたと書かれています。

 

そしてアメリカの実質世帯所得の中央値の推移において2000年から2010年にかけて10年ベースで減少したのは、統計開始後初めてのこととあります。

 

なぜこのような現象が起きているのか、その理由のひとつは「テクノロジー失業」です。

技術の進歩がテクノロジー失業を引き起こす

以前は「技術の進歩が失業を増やす」という考え方は自分にとって全く異質の考え方でした。

 

私達の日々の生活において、身の回りには冷蔵庫や洗濯機、エアコン、自動車といったものが溢れています。ここ20年ぐらいではパソコンやスマートフォンなどの最先端の機器を一般の人が持つことも当たり前のようになってきました。

 

そのようなものを持てるようになったことで、ひとりひとりの生活は豊かなものになってきています。技術の進歩によって、今後更に人間の生活が豊かになるものが生まれてくるのならそれは素晴らしいことではないか、と思うのが普通でしょう。

 

ですから、技術の進歩というものには非常に肯定的なイメージがありました。

 

「人々の生活を豊かなものにする素晴らしいものである」と。しかしそういったものは人間にとって目に見える「モノ」であって、便利にしているのは必ずしもモノ「だけではない」ということです。

 

今までであれば人の労働力が必要であった所が、技術の進歩によって必要ではなくてなってきている、

 

つまりは、高いスキルを求められて高い給料の仕事に就ける人が少ない一方で、あまりスキルを求められない低い給料の仕事に多くの人が追いやられているのではないかという解釈です。

職種ごとの時給や需要から見る現在求められているスキルについて

このブログでは以下のような過去記事を書いています。

この記事では、派遣社員でどういった職種が時給が高いのかといったことを書いています。

 

引用先の記事の表にあるランキングの上位にはIT系の職種が中心となっています。ここで言いたいのはつまり、ITや技術に関する職種に需要があるということです。

 

その理由は企業において、人手不足でより業務を効率的にできるように機械やシステムを導入したいから、というのもあるでしょうし、

 

他社との競争に勝つためには、より効率的に事業を成長させなければいけない、だからそのような人材が欲しいという理由もあるかもしれません。本書には次のように書かれています。

p.83

生産性の高い企業ほど、技術の恩恵を最大限に引き出すべく、決定権、報奨システム、情報フロー、雇用形態、その他の組織資本を再設計・再編成してきた。

 

その結果として従来とはまったく異なる労働力が必要になってきており、その多くに高いスキル水準が要求されている。

 

単にコンピュータを扱う職種だけにより高度なスキルが求められるのではなく、製造プロセス全体、さらには産業全体が、新しい情報技術を活用する方向に再構築されたのである。

今回の記事のタイトルの「スキル偏重型技術革新」とあるように、これまでの技術の進歩から、仕事においてより高度な知識や技術が求められるようになってきているということです。

 

そのことに関して『機械との競争』では次のように書かれています。

p.79

技術革新の結果、高いスキルを持つ労働者に対する相対的な需要が高まる一方で、スキルの低い労働者に対する需要は減少し、場合によっては途絶えてる。

 

ファクトリーオートメーションは、そうした技術革新の代表例だ。プログラミング、マネジメント、マーケティングなどの複雑な仕事は人間の守備範囲に残されるが、単調な反復労働は機械に肩代わりされていく

このような技術の進歩によってスキルの高い労働者に対する相対需要の増加は、本書では「スキル偏重型技術革新(SBTC)」とあります。

機械といかに協力できるかという発想

人間とロボットの手とキーボードとバイナリデータ

「機械といかに協力できるか」という発想は多くの人はあまり持っていない考え方なのではないしょうか。

 

自分もそういった文章を読んで初めて、「あぁ、なるほど、こういった発想もあるんだな」と気づけた感じです。

 

そのような発想については以下の過去記事で書いています。

大前研一さんの『異端者の時代―現代経営考』に書かれていた内容なのですが、

 

ビジネスプロセスの再構築には「機械に合わせる」必要がある、そのためには、「機械に合わせる」という発想の転換と人間が機械をサポートできるような知識が必要であると書かれています。

 

現在の日本では人口減少によって「人手不足」が問題になっています。そのため多くの場所で業務を効率化しようという動きがあります。ですが、今までのような考え方だと目先の改善活動に陥りがちです。

 

例えば典型的な労働集約産業である外食産業の店舗などでは、

 

どうすればもっと早く調理できるか、どうすればもっと効率よく仕事ができるかどうすればもっと少ない人数で仕事がまわせるようになるか

 

この「少ない人数で仕事をまわす」という発想も、完全に機械に仕事を代替させるというのではなく、個人がいかに仕事を覚えるかといったことや、いかにもっと早く動けるかといった発想に終始していました。

 

そのような、機械に仕事を代替させるのではなく「人間の体力や数に依存する」発想から脱却できない所は、社員が楽になれないし人もどんどん辞めていきます。

 

会社の財政も芳しいものではありませんでした。他にも、現在の日本ではそういった状態の企業がたくさんあるといったニュースも多く報道されています。

 

根本的な発想の転換というものがいかに難しいものであるかがわかります。

ipadを使っていたとある飲食店の事例

以前とある飲食店に行った時は、注文をするときはipadを使う形になっていました。最初それを見たときは「なるほど、今の飲食店はこういったやり方の所もあるんだな」と驚きました。

 

例えば今までのようなフルサービスでハンディターミナルを使ってお客さんから追加注文を受ける場合、何度もお客さんの所に足を運ばなければいけません。

 

紙の伝票を使っていたら、追加注文ごとにまとめる手間があるし、違うお客さの伝票と混ぜてしまう危険性や紛失の危険性もあります。

 

もしくは違う伝票の番号で追加注文をしてしまい、後からそれを取り消して元のお客さんの伝票に追加注文を入れるなど、人間の手が入ると様々な混乱があります。

 

しかしipadを使う形であれば、店員さんが何度もお客さんの所に行って注文を聞く手間を省けますし、機械の中で全て自動で計算してくれますし、その分他の仕事ができます。

 

紙の伝票を何度も出す必要もなくなるので、時間も手間もかからずレジでの対応も楽になります。

 

このブログでは他にも以下のような過去記事も書いています。

今の世界には既に「調理ロボット」というものも存在しています。将来的には接客だけではなく調理もロボットや機械が代替してくれるでしょう。そうなれば、個人がいかに調理が上手くできるかではなく、「いかに調理ロボットを上手く使えるか」といった知識が問われてくるのではないでしょうか。

まとめ

ここで重要なのは、仕事をいかに知っているかということや、目先の改善も大事なのですが、

 

いかに根本的な発想の転換が出来るか。機械といかに協力できるか、機械の使い方をいかに知っているか、機械を使っていかに上手く仕事ができるか、ということが今後問われてくるのではないかと考えています。

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