以前通勤時間に電車内のテレビ画面に映る広告で印象に残るものがありました。
その内容は、あのソフトバンクのPepperがアメリカのIBMが開発した「ワトソン」と会話をしている、というものです。
「あぁそうか、近い将来はもうロボットとロボットが会話をして仕事を進めていく光景も珍しくないのかもしれない、この発想はなかった」と思わされました。
人間とロボットが会話する姿、というのは漫画やアニメなどでよく見る風景です。最近ではソフトバンクのPepperが企業の販売業務や受付業務もこなしたりしている程です。
ですが、「ロボットとロボットが会話する」というのは、自分の中にはなかった発想でした。
ロボットや人工知能の性能がもっと上がっていって、明確な自我を持つようになったら人間のように会話したりコミュニケーションできるようになるのもおかしな話ではありません。
動物同士だって、独自のコミュニケーション方法があるわけです。そうか、将来的にはそのようは世界もあり得るんだなと思わされました。
今回はこのことについて思うことを書いていってみます。
ソフトバンクのPepperとIBMのワトソンとは
Pepperとは、ソフトバンクが開発した「感情エンジン」と「クラウドAI」を搭載した世界初の感情認識パーソナルロボットです。
もう少し詳しい話や、最近の実用における状態は以下の過去記事を参照していただければと思います。
IBMが開発したワトソンは、wikipediaによると質問応答システム・意思決定支援システムとあり、明確に「人工知能」とは定義しておらず、『コグニティブ・コンピューティング・システム(Cognitive ComputingSystem)』としています。
ちなみに、この「コグニティブ・コンピューティング」とは、「経験的知識に基づき、コンピュータが自ら考え学習し、大量のデータを統合し、分析できるシステム」という意味になります。
それって人工知能のことじゃないの?と思ったのですが、IBMにとってワトソンは人工知能という風には明確に認識はしていないようです。
AIとコグニティブ・コンピューティングの違い
Pepperとワトソンのことを調べていくうちにAIとコグニティブ・コンピューティングの違いが何なのかわからなくなってきたので、ちょっと調べてみました。
どうやら、AIとコグニティブ・コンピューティングとでは目指すゴールに違いがあるようです。自分が調べた範囲では、
AIは、いかに人間の脳の仕組みを実現できるかに焦点を合わせていますが、コグニティブ・コンピューティングはAIの仕組みを利用し、いかに人間の行動をサポートできるか、という点に焦点が当てられています。
コグニティブ・コンピューティングがAIよりも、もう一段高い視点から物事を見ている、といったイメージかもしれませんね。
大人の人工知能が「ワトソン」、子どもの人工知能が「Pepper」といったイメージ
自分のブログでは以下のような過去記事を書いています。
過去記事に書いたように、人工知能には大きく2つに分けられるようです。
- ひとつは、データの処理が得意な「大人の人工知能」
- もうひとつは、物の動作が得意な「子どもの人工知能」
大人の人工知能に関しては、ビッグデータを豊富に持っているアメリカのGoogle、Amazonが先行していると言われています。
対して日本は製造業に強いと言われています。そのため現実の動作に関するデータを集めやすく、子どもの人工知能の分野でチャンスがあるとのことです。
自分の中では、まだロボティクスやコグニティブといった分野に関して深い知識はありません。ですが、
自分のイメージでは大人の人工知能を具現化したものがワトソン、そして子どもの人工知能を人間にとってわかりやすくつくられたものがPepperなのではないかなと考えています。
既にソフトバンクとIBMはこの分野で提携しており、みずほ銀行はコールセンターで利用されているようです。
コールセンターにワトソンをオペレーターの業務支援に利用することで、業務を効率化し、その内容を学習するといった感じです。
そしてワトソンが学習した内容をPepperとの間で同期することで、Pepperが実際の顧客対応に生かしていく、といった形です。
頭脳の分野ではワトソンが担当し、動作の分野ではPepperが担当する。互いの強みを生かしているということかもしれないです。
ロボットとロボットが会話をする時代というのは、そう遠くない未来かもしれない
冒頭部分で、電車内のテレビ画面の中のPepperとワトソンが会話をしている姿を見ていて、「ほ~、将来はこんなこともできるようになるんだなぁ」と書きました。
ですが、今回の記事を書く上でいろいろ調べていた所、そのような未来もそう遠くはないようです。それが以下の記事
FIELD systemは工場のロボット(生産用の機械や設備など)とクラウドシステムを連携することで、賢い動作の学習や、生産効率の向上を実現できるのが特徴という。
稲葉氏はFIELD systemの次の段階として、ロボット同士が通信し合うことで、協調制御や加工条件の即時調整といった機能の実現が図れるとした。
FIELD systemはロボットをクラウド上のシステムに接続し、AI(人工知能)技術を適用することでロボットに動作を学習させてより良い制御を実現したり、ロボットの状態を見える化したりする。
例えば、ロボットが人工知能によって自ら学習していく機能や、故障予知・診断、遠隔監視、品質の担保が可能になる。
もしかしてもう実現している!?
いや、自分が電車内で見たような、人間のようにロボット同士が会話する姿、というのはまだ先のようですが、電気信号レベルで機械同士がコミュニケーションして学習しあっていく、というのはもう実用化されているようですね。
色々な物事を知れば知るほど、自分の知らない所で進んでいるんだなぁと本当に感心します。
Iot社会における機械同士のコミュニケーション
最近は「Iot」とかモノのインターネットという言葉が使われるようになってきました。
Iotとはモノのインターネット(Internet of Things、IoT)と言われています。様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みです。Iot社会とは、それらが実現した社会のことを指します。
実際にはモノにセンサーなどがつけられて、モノ同士の電気信号の相互通信により、効果的に電力を利用するとか、人間から見ると現実的にはそのような形になるのでしょうが、人工知能やロボット同士のコミュニケーションから連想したのは、Iot社会というのは、まさに機械やロボット同士がコミュニケーションする時代と言えるかもしれませんね。
この地球上に新たな種族が誕生するみたいな、自分の中ではそんなイメージです。そういった中で今後人間がよりよく生きていけるようにするためには何が求められるのか。ロボットや機械に対していかにコミュニケーションできるようになるかがその中の一つになるかもしれません。
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