現在の世界において、まだ人間と同等レベルの意識や感覚を持った人工知能というのは開発されていません。
何らかの専門分野に特化した人工知能は多く開発されています。ですが人工知能を次のように分類した見方の発想は、今までの自分にはありませんでした。
どうやら人工知能にも種類や役割があるようで、それは
- 大人の人工知能
- 子どもの人工知能
と呼ばれるようです。
そのような人工知能の見方について今回面白い記事があったので取り上げて、気になった部分も引用してみました。
シンギュラリティによってもたらされるもの
『「シンギュラリティ」という壮大な仮説 真の脅威はその「検証力」にあり~WIRED「シンギュラリティ・サミット」レポート~(後)』
「『大人の人工知能』とはデータを入力し、そのデータの処理を人間が設計すると一見賢いような振る舞いができるもので、「子どもの人工知能」は画像を認識したり、行動が上達したりするものを指している。
この二つを区別するのは戦略が違うからで、「大人の人工知能」はデータを集めるのが重要なためGoogle、Amazonが強い世界で日本が逆転するのが難しいそうだ。
一方、「子どもの人工知能」は製造業や建設、農業、食品加工など体を使う産業と相性が良く日本企業にチャンスがある、と語った。」
つまり
- 「大人の人工知能」は知識や頭脳的なことが得意
- 「子どもの人工知能」はモノの動きとか動作に関することが得意
ということです。
頭脳的な分野に関する「大人の人工知能」はアメリカが先行
人工知能とは一般的に人間の頭脳的処理を機械にやらせようとすることを言います。今では、音声認識や画像認識などが人口知能のシステムとして私たちの身の回りで実現されているようです。
この分野では現在アメリカが先行しており、特にgoogleが力を入れて取り組んでいます。人工知能の研究を進めるためにはビッグデータと呼ばれる膨大な量のデータが必要とされています。
そのためgoogleが提供している検索サービスは世界中に利用する人がおり、そこから検索データを収集して、人間の考え方や趣味、嗜好のデータを収集することができ、研究に有利というわけです。
amazonのレコメンド機能(電子商店などで、ユーザの好みを分析し、各ユーザごとに興味のありそうな情報を選択して表示するサービスのこと。)も同様に有利とされています。
このようにアメリカにはgoogleやamazonなどを代表とするようなIT企業が豊富であり、人工知能の分野で先行しているわけです。
日本の人工知能の研究に関する動向
日本は人工知能に関しては欧米に対してかなり遅れをとっていると言われています。それはおそらく上記のことから「大人の人口知能」の分野に関することでしょう。
人工知能は現在の世界の科学力の最先端であり、この分野で独占を許すことは、企業としては下請けの立場から脱却できず、常に少ない利益に甘んじることになってしまいます。
動作に関する「子どもの人工知能」の分野では日本にチャンスがある
しかし上記の記事から人工知能にも複数の分野があるようです。記事の中では「大人の人工知能」と「子どもの人工知能」とありますが、このような発想はありませんでした。
なるほど、大人の人口知能と呼ばれるデータ処理に関しては、アメリカの企業のようなデータを膨大に集めている企業が有利であると、子どもの人工知能と呼ばれる現実の動作に関するものは日本にとって有利であるということですね。
確かにアメリカの製造業の多くは衰退してしまっていると言われており、一方日本の製造業は素材産業を中心に、世界的なシェアを独占している企業が数多くあると聞きます。
ですから、「動作」や「モーション」に関する人工知能のデータを多く収集できるという意味では、高度な工場を多く持つ日本では有利なのではないでしょうか。
この分野に関してはインターネットや本などで少し見てはいたのですが、少し安心しました。まだまだ日本にも希望があるようですね。
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