市場を独占していたレアアース問題は5フォースモデルにおいて代替品の脅威に曝された

以前中国がレアアースの輸出を制限した時がありました。一時レアアースの市場価格が高騰しましたが、日本の企業が代替技術を開発して、レアアースに対する依存度を下げたという出来事です。この問題について自分が考えたことを書いていきます。

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レアアース代替戦略が成果 政府、異例の連携体制

「欧米の後手に回ることが多かった日本の資源戦略で、地味ながらも成功といってよい事例がある。ハイブリッド車のモーターなどに使われてきたレアアース(希土類)の代替材料の開発だ。

 

数年前まで大半を中国からの輸入に頼ってきたが、日本の官民を挙げた技術開発が奏功し、ここにきて輸入依存は大幅に減った。」

 

「多くの日本企業が窮地に立たされるなか、自動車大手はハイブリッド車向けに新型磁石を即座に採用。家電各社もエアコンや洗濯機のモーターをフェライト磁石などに相次いで切り替えた。

 

こうして脱レアアースが一気に進み、12年の日本のレアアース輸入量は前年に比べほぼ半減。価格も大幅に下落し、市場は落ち着きを取り戻した。」

 

引用ここまで

レアアースとは17元素の総称

レアアースとは、15種類からなる

  • ランタノイド
  • スカンジウム
  • イットリウム

などを加えた17元素の総称です。レアアースは

  • 光学
  • 防衛
  • 自動車
  • 医療

といった様々な産業分野において、また電動工具からスマートフォンに至る膨大な消費材に使用されています。

当時の市場シェアでは、中国は世界の約90%のレアアースを供給していた

市場シェアでは、中国は世界の約90%のレアアースを供給していましたが、

  • アメリカ
  • フランス
  • オーストラリア

などもレアアースの主たる供給国でした。

 

しかし中国は1988年に低価格を武器にこれらの国を追い抜き、米国、オーストラリアなどではレアアース鉱山の閉鎖が余儀なくされています。

中国はレアアースの価格競争力を武器に市場を独占

確かにレアアースというのは現在の最先端の製品を作るのには必要とされていますが、中国はレアアースの価格競争力を武器に市場を独占したという感じですね。

 

ですが、当時尖閣問題で、中国が対日輸出を制限したのですが、上記の記事にあるようにすぐに日本が代替技術を開発してしまいました。

 

以前からレアアースに対する輸入依存度の高さについては問題視していたようで、代替技術の研究は進んでいたようです。

複数の選択肢を持てることによる立場の逆転

この問題に対して自分が考えたことと、以前取り上げた「未来とは本来、支配者たちがその支配を失うこと」━パワーシフト、という過去記事と関わってくるので乗せて起きます。

『マイケル・ポーターの競争戦略』という本に「5つの競争要因(5フォースモデル)」というものがあります。そのモデルによって今回の事例が表せるので書いていってみます。

 

ポーターは、特定の事業分野における競争状態を決定する要因として5つをあげています。競争状態は業界内の要因だけでなく、業界外の要因によっても影響を受けます

 

これらの5つの競争要因の分析によって、自社のおかれている競争環境、業界内の企業がどれくらいの収益が確保できるかが明らかにされるとのことです。

5つの競争要因

5つの競争要因は以下のようになります。

 

  • 1、既存業者間の敵対関係
    ある業界に既に参入している企業同士の競争関係。次のような場合競争が激しくなる。
  1. 同業者が多い
  2. 同じような規模の会社が多い
  3. 業界の成長が遅い
  4. 固定コストまたは在庫コストが高い
  5. 製品を差別化するポイントがない
  6. 業界から撤退しにくい(撤退障壁が大きい)

 

  • 2、新規参入企業の脅威

ある業界に新しく参入しようとする企業が存在し、その業界への参入障壁が低い場合には、競争状態も激しくなる

 

  • 3、代替品の脅威

ある製品と同じような機能をもつ製品であり、その製品を持つことにより従来の製品が使われなくなる製品である。このような代替品が生まれることによって、既存の製品との競争が激しくなる。

 

  • 4、売り手の交渉力

例えば、ある供給業者の持つ部品などが特別に差別化されたもの(特許など)であれば、その供給業者のもつ交渉力は業界にとって脅威となる。

 

  • 5、買い手の交渉力

例えば、ある顧客が大規模な流通チェーンを保有し、購買力が非常に大きい場合には、その顧客がもつ交渉力は業界にとって脅威となる。

 

この5フォースモデルによれば、今回取り上げた問題において、中国がレアアースという強い「4、売り手の交渉力」を持っていました。ですが、日本が代替技術を開発したことにより、中国は「3、代替品の脅威」にさらされた、というのが一連の流れになります。

個人が社会で知識や技術を持ったら企業と交渉力を持てるようになる

この事例で自分が思ったのは「技術」によって相手に対する依存度を下げて、立場を逆転することができるという点におもしろさを感じました。通常は新たに供給してくれるところを探すという手段を考えますが、例えば世界でたった1箇所しか買える所がなければそこに依存するしかなくなります。

 

ですが、それを代替できる材料や「技術」という別の選択肢が見つかると全く違う世界になるというわけです。上記の過去記事ではヨーロッパの労働問題を取り上げました。

 

その事例を5フォースモデルで見た場合、新しい領主は「2、新規参入企業の脅威」に当てはまります。今回挙げたのは「企業モデル」です。「個人モデル」ではありません。アマゾンや書店では、企業がどうすれば競争力を持つことができるか、という本はたくさんあります。

 

しかし、個人、ある職種の人が社会でこういう知識や技術を持ったら企業と交渉力を持てるようになる、といった本は少ないです。力関係的に「社員」という個人が企業に対して弱い立場にあります。収入が1つしかないため依存度が高い状態です。

 

企業としてはなるべく社員を無知なままにしておきたいとは思いますが、それでは成長しないし、日本という社会も良くならないのではないかと思うのです。この問題に対しては現在思案中です。

 

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