他社からのキャッチアップや模倣を先発優位性と後発優位性から理解する

なぜ日本は今のような状態で、なぜ価格競争に陥ってしまったのだろうか、なぜブラック企業が増えて社員は長時間労働を強いられるようになっていったのだろうか、と考えることがあります。

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価格競争によって何が起こるのか

今回は以下の過去記事の続きといった感じです。

 

「企業間競争の激化で価格競争に陥った場合、社員にどう影響するのか?」

そもそも価格競争に陥る原因のひとつが「他社の製品とそれほど変わらないから」というのがあります。例えば、人は全く同じ品質の商品であれば安い方を買うものです。

 

多少の値段の差であれば、例えば外国の商品よりは自分が住んでいる国と同じ日本の企業がつくっている商品をひいきにしたいということで、高くても日本の商品を買う人もいるかもしれません。

 

しかし、価格差が2分の1とか10分の1になってしまったら勝つのは難しくなるでしょう。そうならないために他社とは違う製品、他社にはつくれない製品をつくるなど差別化が必要になってきます。

 

ですが、その差別化が「模倣」や「キャッチアップ」という形でなかなか実現しない場合があります。模倣とは既にあるものを真似するという意味です。

 

キャッチアップとは追いつくこと、多くの場合、発展途上国が先進国に追いつこうとする時に言われます。

サムスンとシャープ

昨今のわかりやすい例で言えば、韓国のサムスンと日本のシャープがわかりやすいかと思われます。

 

普通に考えれば、技術的に先行している企業が有利なように思います。例えば

  • 技術的な蓄積からそれほど容易には他社は追いつけない
  • 他社に先んじて市場に参入しており、多くの顧客を囲い込んでいる
  • その分野に関する資源や人材などを先取りしている

などの理由から後から参入しようとしている企業は容易には追いつけないと思われます。自分も最初はそう思っていましたが、企業経営という分野には「先発の優位性」と「後発の優位性」というものがあるようです。

 

先発優位性と後発優位性

『中小企業診断士 スピードテキスト (1) 企業経営理論』から引用した特徴は以下の通りです。

先発優位性

競争相手よりもいち早く市場に参入することで超過利潤を手にすることができる場合が多い。

引用文に先発の優位性によって超過利潤を得られるとありますが、その内容は次のようなものです。

  • 消費者の心の中に「参入障壁」を形成できる(強力なブランド連想を構築できる)
  • (早期に)経験曲線効果を実現できる
  • 利用者の生の声をいち早く得られる
  • 価格に無頓着なイノベーター層を取り込める
  • 最も有利な市場ポジションを先取りできる
  • 製品の規格(例:デファクトスタンダード)を決定しやすい
  • 製品の切り替えコストの発生を利用できる(顧客はわざわざ慣れ親しんだ自社製品から他社製品へスイッチすることを躊躇する)
  • 希少資源(優秀な人材、希少天然資源、有利な立地など)を先取りできる

後発優位性

一般的には先発が有利とされる一方で、後発のほうがリスクを回避できるので有利となる場合もある。

引用文にリスクを回避できる後発の優位性とありますが、その内容は次のようなものがあります。 

  • 需要の不確実性を見極めることができる
  • プロモーションコストを節約できる
  • 模倣により研究開発コストを節約できる
  • 顧客の変化に対応しやすい
  • 技術面の不確実性に対応できる

 

最初この内容を見たときは、先発だけでなく後発にもなんらかの優位性があることがわかりました。昨今日本の企業と韓国や中国との技術に関する訴訟問題など、後発の優位性というのは決して小さいものではないということがわかります。

 

  • 需要の不確実性を見極めることができる

先発している企業がいる業界が縮小しているのであれば、最初から参入しないという選択をすることができます。

 

  • プロモーションコストを節約できる

先発している企業の製品を認知してもらうために、最初は先発企業が広告費を出したり、使い方を知ってもらう必要があります。後発企業にとっては、先発企業がそれらの費用を既に出してくれているので、楽に市場に参入できるかと思われます。

 

  • 模倣により研究開発コストを節約できる

以前から様々な所で問題提起されている部分ですね。研究開発に関する費用は多大であり、仮にある分野について投資をしたとしてもそれが製品化できるかわかりません。

 

もっと言えば、製品化されても一般に広く普及するかどうかさえわからないのが研究開発の悩みです。後発企業にとっては、先発企業が既に製品化し、さらにそれが多くの人が利用できるものだと実証しているというのを確認できるわけです。

 

模倣によりそれらのコストを払わなくていいのであれば、それは有利になるでしょう。

 

  • 顧客の変化に対応しやすい

例えば先発企業が出した製品にどこか不具が合あるとすれば、その部分を修正したり、改良したりした製品を後発企業が出せたとすれば、顧客はそちらの方にいくでしょう。

 

  • 技術面の不確実性に対応できる

上記4つとほぼ同じ内容になるかと思います。先発企業が研究を進めているが中々目が出ず、この分野は駄目だろうとわかれば、後発企業は最初からその分野に投資はしないで済みます。

まとめ

以上のことから新興国が先進国に対して、模倣やキャッチアップすることは非常に多くのコストを節約することができるわけです。さらに新興国ということで、人件費や土地代が先進国に比べて何分の一ということになれば、追いつくのはそれほど時間はかからないでしょう。

 

このような理由から、早くキャッチアップされてしまい、差別化するのが難しくなっていると思われます。この問題に対する対策は、他社には真似できない製品をつくるとか、戦う階層を完全に変えてしまうといったものがありますが、それはまた別の機会に書いていこうと思います。

 

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