今回は前回の続きです。前回は以下の過去記事になります。
前回は「利息」と「手数料」が、銀行が収入を得る方法の中の2つであり、これが他社と差別化できず価格競争を強いられているのではないか、といったことを書きました。
小口決済市場の多様化
さらに以下の記事を見つけました。
- 銀行はなぜビジネスモデルの見直しを迫られるのか~~変貌する小口決済市場 2015年08月03日 | コラム・オピニオン 山本謙三 | NTTデータ経営研究所
「小口決済分野への銀行の関与が縮小している
家計の利用する小口決済手段が、ここ10年ほどで大きく変化している。クレジットカード、電子マネー、コンビニ収納代行、代金引換(代引き)の利用が増え、プリペイドカードが復活しつつある。
一方、内国為替(銀行振込)やデビットカードの利用は、漸増ないし漸減の状態にある。現金の利用も、シェアは緩やかに低下している。」
「他業態の小口決済市場への参入が続く
上記決済手段のうち、取引1件ごとに銀行口座で決済を行う手段は、デビットカードと内国為替である。しかし、上述のとおり、両者とも利用の伸びは低い。この結果、小口決済市場における銀行のプレゼンス(存在感)は、次第に低下してきたとみられる。」
「さらに、決済に関連して入手できるデータが減ってくるのも懸念材料の一つだ。「ビッグデータ」の時代にあって、銀行口座を直接的に利用しない小口決済手段の利用が増えれば、入手できるデータ量が減り、銀行業の競争力は低下しかねない。」
引用ここまで
要は
- 技術の進歩と小口決済サービス市場に大手総合スーパー、コンビニ、運送業者、鉄道会社などが参入してきた。それによって、新たな小口決済サービスが利用され始めた。例えばクレジットカード、電子マネー、コンビニ収納代行、代金引換など
- 本来であれば銀行が得られた手数料収入が、新たな決済サービス方法の増加によって減少し始めた。
というのが引用した記事の内容になります。銀行に就職することができれば安泰だと自分は思っていたのですが、実際は違うようですね。
前回は、企業の給与振込みの手数料収入について書きましたが、それが他の銀行の支払う手数料より高いのであれば比較されてしまうということ、加えて上記で引用した新たな決済サービスによって、さらに手数料収入が減っていっている、というのが今の状況になります。
今は、企業に資金を貸し出すビジネスモデルから、投資信託の手数料で収入を得るビジネスモデルに変わってきている、という話もネット上で見かけます。NISAという少額投資非課税制度によって今の苦しい状況を少しでも緩和しようという試みでしょうか。
加えてクラウドファンディングという、インターネットを通した新たな資金調達方法が増えることは、銀行にとって今後の競争がさらに厳しくなると思われます。
価格競争を強いられる企業の人間はどういった傾向があるのか
銀行といえども新たな技術の進歩からは逃れられないようですね。ここから自分の考えなのですが、多少躊躇しましたが、自分は弱小ブログなのでまぁいいかなと思って書いてみます。必ずしも全てがこうだとは思っていません。
企業が価格競争を強いられると、その企業内の人間はどうなっていくのか?以前過去記事で、価格競争を強いられる企業は激務になると考えられる、といったことを書きました。
価格競争の中で利益を出すには、ひとつひとつの少ない商品の利益を数を増やすことで補う必要があります。そうなると長時間労働、激務になっていきます。
激務になれば、それに耐えられず辞めていく人も出てきます。一方残る人も出てきます。企業の人事としては、あまり辞められるのも困るし、自社の文化に合うような人間を採用していくと考えられます。激務に耐えられるような人というとやはり体育会系の人間が重宝されるでしょう。
昨今表向きは景気が良いと言われていますが、体感としてはあまり感じません。非正規の割合が増加していることを考えると、実際は経営環境は厳しさを増していっていると思われます。
そのような中で、体育会系の人でも耐えられずやめていく人もいれば、残っていく人もいるでしょう。段々と同質化が進んでいくと考えられます。社員が同質化していくと、ある種の組織文化ができあがってくると考えられます。外部環境に適応したひとつの姿なのかなと思います。
過去記事では『若手行員が見た銀行内部事情―なぜ僕は希望に満ちて入社したメガバンクをわずか2年足らずで退職したのか』の著者が実際に銀行内でどういった経験をしたかといったことが書かれた本を自分は読んでみましたが、「体育会系の負の側面」だなというのと見たことのある光景だなとも思いました。
自分は学生時代、ある運動部に所属していましたが、体育会系の部に所属しながらどうしてもあの「ノリ」や「勢い」にはついていけませんでした。特に体育会系色の強い人間であればあるほど、その場の空気に馴染めない人間を排斥する傾向があります。
本書を読んでいて、「あぁ、まさにあの感じだな・・・」と思いました。この感覚自分だけなのかなと思っていたときもありましたが、インターネット上で調べてみると、上記のような感覚はどうも自分だけが感じていることではないようです。
自分も何社か経験はしてきましたが、経営状況があまり思わしくない所、特別な技術や競争優位性がない所は上記に書いた傾向があるなと感じました。
こういったことが起こるのは人間の同質化というのもあると思いますが、「会社」という外部から内部のことはなかなか窺い知れない「閉鎖性」いう部分も関係していると思います。
以前、某銀行が大規模なシステム障害を起こしましたが、上記のような社内の状況が反映されてしまったのかなぁと思いました。
まとめ
このような考察から表向き良さそうに見えても、その企業の収入を得る方法とか、文化というものがいかに大事か、ということがわかってきました。
また、過去記事「銀行のビジネスモデルから考える手数料と利息の問題点①」の冒頭部分の疑問に対して、自分の中で現時点で納得できる答えを出せたということと、今後の自分の働き方を考える上で、良くない所を避ける指標を見つけることができたかなと思います。
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