財団法人で働いて気付いた非営利組織の裾野の広さと大学生の公務員志望の理由

このブログでは、自分が以前外資の会社で経理の派遣社員として働いてみたが、以下のように失敗したといった感じの記事を書きました。

その時からしばらくして、派遣社員として新たな就職先が決まり、早数ヶ月が経ちました。10月末まで働いていた所は民間の会社ではなく「財団法人」という組織なのですが、最初のうちは財団法人ということに全く気づきませんでした。

 

今までずっと民間の会社で経理として働いてきたので、そもそも民間とか非営利組織とか全く意識せずに就職活動をしていたからです。

 

とりあえず資格試験まで安全に穏やかに仕事がしたい、という意識で仕事を探していた結果、その会社に落ち着いたわけです。

 

その就職先に決まってしばらくしてから、派遣先が「財団法人」という所だとやっと気づきました。

 

自分が勤めていた会社の感想については以下の過去記事になります。

今回の記事では「財団法人で働いて気付いた非営利組織の裾野の広さと大学生の公務員志望の理由」について書いていってみます。

日本にある非営利組織の裾野の広さ

財団法人が「非営利組織」(正確には「非営利型一般財団法人」)ということを知ってから、日本には他に何か非営利組織はないのだろうか?といろいろ調べていたら、自分の想像以上で驚きました。

 

非営利組織というと「NPO法人」とか「ボランティア」がほとんどといったイメージを持つかもしれません。

 

しかし財団法人のページの下のほうに以下のような表があります。

財団法人 – Wikipedia

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最初見たときは驚きました。非営利組織ひとつとってもこれだけの種類があるわけです。

高エネルギー加速器研究機構の事例

非営利組織にはNPO法人とかボランティアといった一般の人や個人だけが取り組むようなものだけではなく、例えば2008年ノーベル物理学賞を受賞した小林誠特別栄誉教授が在籍する「高エネルギー加速器研究機構」という組織が日本にはあります。

 

現在は超高エネルギーの電子・陽電子の衝突実験を行うための「国際リニアコライダー」という国際的なプロジェクトに参加しているようですが、ここは「大学共同利用機関法人」という枠組みの非営利組織であることを知って非常に驚きました。そういう種類の非営利組織があるんだなぁ、と。

 

例えばレーザー核融合の分野であれば浜松ホトニクスという民間の会社が有名です。そういった会社には非常に充実した設備の研究所がある、というのはなんとなく想像がつきます。

 

ですが、国が補助をしている非営利の研究機関がある、というのは今の所で働くまではほとんど考えたことがなかったんです。だからといって全てが民間企業が携わっていたという風に考えていたわけでのなく、

 

非営利組織というのは完全に自分の思考の枠外でした。

 

レーザーLFEXを開発した大阪大学の事例

レーザー関連では、最近以下の大阪大学が開発したLFEXペタワットレーザーのニュースが話題を呼んでいます。
大阪に「2,000兆ワットの激光」を見た!(大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)|WIRED.jp

大阪大学が開発したこのレーザーは1ピコ秒(1兆分の1秒)に最大2,000兆ワットを出力することに成功したそうです。核融合エネルギーの開発にはまだ至らないようですが、驚くべきことはこういった開発を「大学法人」ができるということです。

 

大阪大学というと、「国立大学法人」という枠に入るのですが、これも非営利組織に入ります。おそらく今回財団法人に勤めなかったらここまで非営利組織のことについて調べなかったでしょう。

小惑星探査機「はやぶさ」や「ひまわり」を開発したJAXAの事例

他にも例えば小惑星探査機の「はやぶさ」や気象衛星の「ひまわり」を開発したことで有名なJAXAの正式名称は、「独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 JAXA」となっています。

 

この組織は「独立行政法人」となっており、ここも非営利組織になります。

 

このような高度な技術を実現させるためには、大規模な研究所や充実した設備、さらには長期的視点に立った組織運営が求められます。

 

これが民間企業になると、利益を得ないと組織を維持運営することができないので、長期的視点も必要ですが、どうしても短期的視点も必要になってきます。

 

民間企業で大規模な研究所や充実した設備を整えるには、大企業など潤沢な資本を持った所に限られてきてしまいます。

 

もちろんここまで挙げた組織だけが非営利組織ではありませんが、単に「高い給料が欲しい」とか「正社員として安定して働きたい」という考えではなくて

 

自分の将来の選択肢を広げられる意味でも「自分のやりたいことがやれる所」であるならば「非営利組織」を考えてみても良いかもしれません。

 

言われてみれば、「あぁそうだよね」と普通に納得できるのですが、実際に現場で働いたり経験したりしてみないと気付けないものです。

 

日本の非営利組織をいろいろ調べてみて気づいたこと

ボランティアやNPOを表現するイラスト

ちきりんさんの『マーケット感覚を身につけよう』という本には以下のような文章があります。

p.85

「社会起業」という言葉が流行ったことからもわかるように、営利を目的としない組織で働きたい人の数は、以前に比べると大きく増えています。

 

今や一部の学生は就職活動の際、まず非営利セクターを選び、その後に、公務員か、NGOやNPOか、それとも社会起業か、などと考えます。

 

このとき上位レイヤーで非営利セクターを選択した学生は、下位レイヤーの市場で個別の就職先を検討する際、もはや一般の民間企業をまったく眼中に入れないのです。

 

NPOや社会起業といった選択肢が、社会に貢献できる唯一の方法であるかのように、「世の中の役に立ちたい」と考えるナイーブな学生に思わせたのは、非営利セクターの作戦勝ちと言えるでしょう。

要は、優秀な学生はあまり民間の企業には進んでいないということでしょう。

 

財団法人の勤務の経験から確かにそれはあるかもしれないと感じています。非営利組織といっても、日本には非常に高い技術を持った非営利組織がたくさんあります。そういった部分に魅力を感じる学生がいるのは事実でしょう。

 

例えば国立研究開発法人の理化学研究所もそのひとつでしょう。国立研究開発法人も独立行政法人の枠内に含まれるので非営利組織となります。また、組織内の雰囲気もあるのではないでしょうか。

 

民間企業だとどうしても短期的な利益の獲得が求められます。ですからそれを実現するためにはどうしても体育会系的な人間、例えば営業職や販売職の人間が多く求められます。

 

そのため自然と社内の雰囲気が体育会系的になっていくというか、理不尽なことが当たり前の環境の企業も一部には生まれてきてしまいます。

 

元々体育会系の人は問題なく馴染めるのでしょうが、そうではない人間は居場所がなくなっていきます。特に優秀であればあるほど、そういった民間企業は避けるようになるのかもしれません。

 

大学生の公務員志望というのも様々あると思います。一般的に思い浮かぶのは、市役所などで働く公務員でしょう。一方で今回の記事で取り上げた大阪大学でレーザーについて研究しようとする大学内での研究員という立場や

 

JAXAで勤務する職員という進路もあるでしょう。そういった進路も含めて「公務員」と回答している人もいるのではないかと思います。

例えば、毎年上記のような大学生の就職先ランキングなるものが報道されますが1位と2位は地方公務員と国家公務員となっています。

 

このランキングから、日本の現在の経済情勢から安定を求めて公務員を求めている学生が多くなっていることも事実でしょうが、ちきりんさんの意見のように民間企業の将来性に疑問を持った優秀な学生が非営利組織や公務員という選択肢を選んでいるというパターンもあるでしょう。

 

今回財団法人に勤務した経験から新たな視点を持てた、というお話でした。

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