今回の記事のタイトルは「派遣契約と休業補償 - 一度契約したら簡単には中途解除できない」です。
どんな契約や仕事でもそうですが、一度契約したら、その契約を解除するということは難しいです。当たり前といえば当たり前なのですが。
今回はそのことについて書いていってみます。
この職場はもう辞めたい
そもそも途中解約を考えざるを得なくなった経緯について書いていってみます。
あまりにもわからなすぎてミスを連発
理屈はわかるのですが、英語という言語の壁とJDEという今までとは全く異質の会計ソフトの存在から、今の職場でミスを繰り返してしまっていました。
そもそも会計ソフトのトップページから最初の入力画面にすらスムーズにいけないのです。
わからないからマニュアルを見るのですが、そのマニュアルの量も膨大で、探している資料を見つけるまででまた時間がとられます。
A4サイズのバインダーにぎっちぎちになるくらいの量があり、しかもそれがいくつもあるのです。
最初見たときは文字通り唖然としました。
求められるレベル
なぜなら今まで経験してきた会社では特にまとまったマニュアルはなくあったとしても本当に簡易的なものか、エクセル上に図や絵を入れてつくられたものだったからです。
そのエクセル上につくられたものですら、今の会社に比べたら遠く及ばずといった感じでした。つまり、まとめると以下のようなことが、今の会社に入ってすぐの自分に求められました。
- A4サイズがバインダーが満杯になるくらいの量のマニュアルが5冊ぐらい
- 英語(勘定科目だけでなく、文化的な理解も含む)
- JDEという今までに経験したことがない会計ソフト(非常に複雑でコード形式)
- 上記の事を1ヶ月でほぼ全てを覚えろ、という勢いの引継ぎ(言い方がいろんな意味で厳しい)
- スピードも求められる。それもかなり
もちろん理想としては、派遣先からの要求には何事も速やかに対応できることがベストです。しかし現実的な視点も必要ではないかなと。
えぇ、極めて厳しい状況です。
とりあえず後任の方が来るまでは続けます
最初はあまりの量に圧倒されましたが、時間さえかけさせてもらえれば、なんとできるかもしれない、といった感覚はありました。
ですが、これを最初の1ヶ月でほぼ全てできるようしろ、というのでは極めて厳しいです。
現実的に考えて英語の理解も浅く、JDEも触ったことがない人間であるということを考えれば1ヶ月で全て覚えろというのは難しいです。
ですが、引継ぎの方は本当に本気で1ヶ月でほぼ全てを覚えさせようとしてくるわけです。しかし自分はそれができず、ミスを繰り返します。(明らかに無理がないだろうか・・・)
ですから申し訳ないのですが、後任の方をお願いするようにしました。
このような一連の出来事から、とりあえずは後任の方が来ていただくまでは続けることになりました。
やはり辞めたい。←「契約があります」
日本で経理として働いている人たちや、経理の労働市場の全体的レベルというのは詳しくはわかりませんが、自分の感覚としては「これを最初の1ヶ月でほぼ全てを出来る人っているのかなぁ・・・」と思いました。
現実としては労働市場での自分の能力は相対的に低いのかもしれません。むしろこれぐらいのレベルができるようになるのが普通なのかもしれません。
たぶん、というか探せば自分よりも優秀な人はたくさんいるでしょう。自分としては仕事の量や質が自分のレベルを大きく超えていると感じたので別のもっと優秀な方に来てもらえるように、派遣会社や仕事先の担当者にお願いしました。
後任の方をお願いはしましたが
しかし、後任の方をお願いしたとはいえ、仕事を続ける状況に変わりはありません。今までと同じような日々が続きます。
引継ぎの方の対応と、求められるレベルの高さが自分の許容範囲を超えていたため、そのためどうしても我慢できず、派遣元の担当者に
「○○という事情があって、なんとか辞めさせていただけませんか?」
と伝えました。ですがその回答は
「一度後任の方が来るまでは、(派遣先に)続けていただけます、と言ってしまったことと契約上の問題から、頑張って続けていただけないと困ります。」
以上のような回答はある程度は予想はしていました。当たり前といえば当たり前です。一社会人が法的な契約をして、それを途中で破棄しようとしているわけですから。
どうすれば途中でも辞めることがことができるのか、インターネット上で調べてみても明確な答えは見つかりませんでした。
強いて言うのであれば「辞めます」と言い切るか「健康上の不安からどうしても続けられません」という答えが多く見受けられました。
自分としても、あまりの失敗続きから職場の方にご迷惑をおかけしたくないという気持ちもあったのですが、そのようなことを考慮しても契約で縛られるようです。
労働基準法第26条による休業補償
どうすれば速やかに穏やかに辞めることができるのか、あれこれ調べていて、派遣元からいただいた契約書を見ていたら以下の文面を発見しました。
[中途解除]
万一、派遣先の起因する事由により中途解除が発生する場合は、
(中略)
少なくとも30日前に予告することとし、当該予告を行わぬ場合は労働基準法第20条及び第21条に準じた給付を行う。
休業させる場合は、労働基準法第26条に準じた給付を行う。
「ふむ、給付というものがあるのか」
給付というところが気になり、もう少し調べてみたところ、以下のようなことがわかりました。
派遣社員の休業手当の計算方法 | 労働問題相談室から引用
派遣社員の休業手当
これは労働基準法第26条に定めのあるものです。
簡単にいうと「会社都合による休業期間の、給与の一定の割合を保障する」
という性質のものです。
詳しくは以下を参照。
「休業手当」
生産調整
減産
などといった使用者の責による休業が派遣先にあれば派遣元に支給義務が生じてしまうということになります。
保障期間としては仕事が休業している期間となり、期間満了までの休業期間といえるでしょう
なるほど。派遣社員が会社を辞める際、給付を受け取れる場合というのは、あくまで「会社都合」であり、それにはいくつか条件があるということですね。
まぁそうですよね。「自己都合」で辞めても給付はいただけないとうことです。世の中甘くありません。
仕事を始める前にしっかり調べて、よく考える、それでも駄目ならすぐ報告
ここまでいろいろ書いてきましたが、派遣社員として仕事先を選ぶ場合は、事前にしっかり調べたり確認する必要があります。自分のような失敗を起こさないためには。
実際にその職場で働いてみて、駄目そうな場合は派遣元の担当者に速やかに報告した方がいいしょう。
それほど期間が経っていなければ、後任の方が来るまで待つ必要もなく、すぐに辞める事ができるようです。
何事もそうですが、事前の準備の大切さを痛感させられた出来事でした。
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