組織の盛衰における共同体組織(ゲマインシャフト)と機能体組織(ゲゼルシャフト)について

「へー」

思わず唸ってしまいました。最近は堺屋 太一さんの『組織の盛衰―何が企業の

命運を決めるのか 』を読んでいました。

本書は1993年の4月に第1版第1刷が発行されており、2017年の現在からは20年以

上も前に書かれています。

しかしその内容は現在の社会においても全然通用するものと感じており、むし

ろ現在も20年以上も前も企業や社会が抱えてた問題というのはあまり変わって

いないんだなと感じました。

というより、抱えている問題が大きく変わっていないというのは、それはそれ

で問題ではないかとも思いましたが。つまり、日本の多くの起業は進歩してい

ないという意味で。

本書を読むことで、組織には大きく2種類あることがわかります。その2種類の

組織が生まれてから衰退するまでの経緯が、日本の歴史上の組織を元にわかり

やすく書かれています。

組織の舵取りをしていくうえで、今現在自分の組織はどういう状態なのか、ど

こに向かおうとしているのか、今後どうすれば上手く操作していけるのかとい

った点を考えるうえで非常に勉強になります。

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組織史を学ぶうえでの注意点

本書を読んでいて、「言われてみれば確かにそうだな」と思う部分は多々あり

ます。本書の題名には『組織の盛衰』とあるだけに組織というものについて書

かれています。

「組織」と聞いてイメージできるものといえば、「会社組織」とか「軍隊」な

ど、ある一定の集団における体質とか気質とはどういったものかということに

ついて思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

それが普通であって、そもそも「組織」というものは学問分野としては確立さ

れておらず、組織専門の歴史に関する文献などもしっかりとは残されてはいな

いと本書には書かれています。

おそらく組織という「概念」が今日まで明確には生まれてこなかったからでは

ないでしょうか。というのも「組織」というとモノのようにはっきりとした形

があるわけではありません。

お金とか経済のように金額とか数値で表せるものでもありません。

目には見えない「空間の力」のような感じなのですから、そういったものの存

在を認識するというのはなかなか難しかったのかもしれません。

自分も中小企業診断士の試験で「組織論」については勉強してきましたが、漠

然としていて捉えどころがなく、理解するのにかなり苦しみました。

組織というものにはここまで書いてきたような経緯があるので、その現象を明

確に示す「根拠」というものがはっきりしないかもしれません。

しかし、本書の著者の堺屋太一さんの長年の研究や論理から「なるほど、確か

に言われてみれば」という風に腑に落ちる論理展開となっています。

そのような予備知識を元に、自分が気づいたことや考えたことを今回は書いて

いってみます。

共同体組織

本書には組織は、共同体(ゲマインシャフト)と機能体(ゲゼルシャフト)が

あると書かれています。組織を運営していく上で、今現在自分がいる組織がこ

の2つのうちのどちらの組織なのかを認識する必要があります。

というのも、このどちらかによってその時に必要な打ち手が変わってくるから

です。

では共同体とはどのような組織なのでしょうか。それは、家族、地域社会、趣

味の会など構成員の満足追及を目的とした組織です。

共同体は、気の合った仲間、共同行為をして楽しいメンバーだけで構成されて

いて、排他性を持っています。組織の構成員の結束と心地よさが優先されるの

が共同体組織とされています。

理想的な共同体組織は以下の2つとされています。

  • 組織の目的と構成員の目的が一致している
  • 構成員全部に安住感を与えること

つまり組織の構成員のしたいことが簡単にできて、緊張感や非日常を感じずに

永続性を信じられるような安心して生活できるようなイメージです。

そしてこの組織内で重要な評価指標は「能力よりも人柄」になります。なぜな

らそのような組織は公平感や安住感を求めるので、そのような空間を乱すよう

な人は合わないからです。

機能体組織

これに対して機能体組織は、外的な目的を達成することを目的とした組織と書

かれています。組織内部の構成員の満足や親交は手段であり、本来の目的は利

潤の追求や戦争で勝つこと、一つのプロジェクトの完成などが含まれます。

共同体組織では、心地よさとか構成員の結束などが重視されましたが、機能体

組織では、結束の固さよりも「強さ」、目的達成能力が重要視されます。

また機能体組織は明確な外的目的に応じて作られるのだから、自発的に生まれ

るよりも他発的に作られることが多く、その典型が企業です。

理想の機能体組織は、長期的永続性ではなく、負担の最小性こそ重要であると

されています。

例えば企業であればコストを低くすることなどが挙げられます。つまり機能体

組織では、目的達成の効率が大切であり、「人柄よりも能力」が重視されます。

組織面から見た場合の日本の企業の組織体質

企業とか軍隊というのは、ここまで書いてきたように本来であれば「機能体組

織」でなければいけません。ですが、現状としては「共同体組織」になってい

る企業が多いのではないしょうか。

機能体組織、特にこれが大規模になっていけば大規模になっていくほど、また

時代が経てば経つほど、そこに必要とされる人材には高度な専門知識が必要と

されていきます。

ですが、このことによって専門的であればあるほど「そこでしか生きられなく

なって」いき、終身雇用を求めるようになっていきます。

また、その組織に入った人材がそこにいる時間が長くなればなるほど、その組

織内における人間同士の結束が固くなっていき、雇用も終身的になっていきま

す。

つまり、本来であれば機能体組織でなければいけないのに、少しずつ「共同体

組織」になっていってしまう力が知らず知らずのうちに働いてしまうようです。

まさに今の日本の多くの企業の現状なのではないでしょうか。

おそらく、このような組織や組織内における目に見えない力というものを理解

していないと、現在の多くの日本企業のように衰退していってしまうのでしょ

う。

組織というものにはいくつか種類があり、その種類ごとに今現在どの段階にい

るのか、その段階においてどのような処置を施せば良いのかというのを予め知

っておかないと、企業経営というのは難しいと思われます。

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