子会社をつくったり他企業を買収するメリットの一つは配当金収入が得られるから

企業活動というのは、良い製品をつくって、それを顧客に販売するといった営業活動だけではありません。子会社をつくったり、他企業を買収したりする投資活動もあります。

 

現在日本には東京証券取引所という所があり、上場している株式会社の株式を売買できる市場になっています。

 

通常はこの市場で目当ての株式を購入し、ずっと持ち続けて配当金収入を得ることができます。また、購入した時の株価よりも高くなったら売却してその差額で利益を得ることも出来ます。

 

企業には一部上場とか二部上場といったものがありますが、通常この東京証券取引所を通して資金調達できる企業を指します。

 

ですが、このような市場を介さない場合もあるようです。例えば債務過剰でどうしようもない企業があったとします。他企業が救済する目的でその企業の株式を全額購入し、完全子会社にするという形の株式購入の方法もあります。

 

この場合、債務超過の企業の株式を全部(100%)購入した方が完全親会社、救済された方が完全子会社と言ったりします。

 

このように、1から子会社をつくったり、他企業を買収したりすることで子会社をつくる企業が存在しますが、今回はそのことで以前から考えていたことを書いていってみます。

現在、滝沢ななみさんの『スッキリわかる日商簿記1級 商業簿記・会計学 (4)企業結合・連結会計編』を読んでいて思い出したことがありました。

 

以前とある子会社で経理をしていた時のことです。その時は親会社に配当金を支払うための処理をしていたのですが、その時の経理部長が次のように嘆いていました。

 

「親会社に配当金を渡さなければ課税されないのに、この課税されない分が手元に残ればどれだけ楽か」

 

当時のまだまだ無知な自分でさえ、なんとなくその負担感は伝わってきてはいました。

 

というのも当時自分がいた子会社というのは、正直財務構造的にあまり良い企業ではなかったので、手元に現金預金を残しておきたい状況だったからです。

 

このようなことを以前いたとある職場で経験したのですが、逆の立場になってみると子会社をつくるメリットのひとつというのは、「配当金収入」があるのではないかと思いました。

 

親会社が子会社をつくる目的としてはもちろんそれだけではなくて、自社で生まれそうな新規事業の芽をなるべくしがらみのない状態で育てたいといった理由が考えられるでしょう。

 

また、自社で働いてきた人間のポストを用意するために子会社をつくって、そこに出向や転籍という形で配置換えをしていくという目的もあるでしょう。

 

そういった子会社をつくる様々な理由の中のひとつとして通常の営業収入だけではなくて「配当金収入」も考えられるのではないか、ということを以前からずっと考えていたのです。

企業の配当金に課税される率はどのくらいか

株式の配当に関する税金について、国税庁のホームページには次のように書かれています。

株式等(上記の特定公社債以外の公社債などを除きます。)の利子等・配当等に対する税金

次の区分に応じ、利子等や配当等の収入に以下の税率を掛けた金額が源泉徴収されます。

  1. 上場株式等の利子等・配当等 20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率
  2. 一般株式等の配当等 20.42%(所得税及び復興特別所得税のみ)の税率

株にかかる税金というと、キャピタルゲインといった売却益にかかる税金をイメージすることが多いかもしれませんが、売却せずに株式を持ち続けて得る配当金にも課税はされます。

 

当時自分がいた会社は上場企業ではなかったので、親会社に支払う配当金に対して国税庁のホームページにも書かれているように「20.42%」の税率がかかっていたことになります。

 

例えば親会社に対して100万円の配当金を支払わなければいけない場合、そこから差し引かれる分を計算すると

 

100万×20.42%=20.42万円

 

となります。これが1000万円だったとした場合、次のような計算になります。

 

1000万×20.42%=204.2万円

 

金額が大きくなればなるほど差し引かれる分も大きくなるという単純な計算になります。「率」だけ見ると通常の企業が支払う法人税の税率がだいたい40%前後なのでたいしたことがないように見えるかもしれません。

 

ですが、税金として差し引かれる分の金額だけ見るとやはり「大きい」と言わざるを得ません。

 

企業の配当金というのは、企業が売上原価とか販売費及び一般管理、営業外損益、特別損益などを差し引いて最終的に算出した「当期純利益」から支払われるわけです。

 

その割合がどれほどかというと、次のような記事があります。

配当性向 日本は欧米企業より低く

企業が稼いだ最終的なもうけを表す純利益のうち、どの程度を株主へ配当として渡すかを示す指標。例えば純利益が100億円の企業が30億円を配当に回す場合、配当性向は30%となる。

 

株主は配当性向が高くなることを歓迎するのが一般的だ。ただ、純利益が大きく減ったにもかかわらず配当を据え置くか小幅の減配でとどめた場合にも配当性向は高まる。

 

日本の上場企業の配当性向は平均で3割弱で、欧米企業より低いとされる。

配当性向とは企業が出した儲けである当期純利益から株主に配当として渡した金額の割合の指標です。これが日本の上場企業の場合の配当性向は平均で3割弱とされています。

 

もし配当金がなかったら

もし仮に、親会社から完全子会社にされたとしても配当金を親会社に支払わなくてもよいのであれば、子会社の社員はどれだけ助かるだろうなあと考えたことがありました。

 

例えば、自分がいる会社の社員が全員で100人だったとします。そして親会社の完全子会社である自社が、毎年支払う配当金が仮に1000万円だとします。

 

これが何らかの法改正によって、子会社が親会社に配当金を支払わなくてもよいとされた場合、まるまる1000万円残ります。いや、親会社に支払っていたら約20%の税金(この事例の場合約200万円)が徴収されるので、その分も含めると「約1200万円分」ということになります。

 

この1200万円を自社の社員100人に分配できたらどうなるでしょうか。

 

1200万円÷100人=12万円

 

一人12万円の給料の増加が見込めます。1年12ヶ月で割れば、社員に対して1ヶ月1万円の給料を増やしてあげることができます。

 

これまでにこういったことを考えた時がありました。

 

もちろん株式会社という制度ができたから現在の社会にまで発展してきたというのはわかります。株式を購入しても全く配当金が得られないとなれば、誰もそんな制度は利用しないでしょうし、債務超過の企業も倒産していたことでしょう。

 

そしてそこで働いていた従業員も路頭に迷うことになってしまったかもしれません。そういったことを考えれば、配当金を支払わなければいけないことが必ずしも悪いとは言えないわけです。

 

なぜ大企業の社員の給料は高いのか

日本の大企業にはトヨタやソニー、日立製作所や富士通、NTT、ソフトバンクなど有名な大企業が存在しますが、こういった企業の社員がもらう給料は皆高いことで有名です。

 

インターネット上で大企業の平均年収とか調べてみると、燦然と輝く数値が目に飛び込んできます。しかし、こういった大企業の給料が高いということに対して疑問を持った人はいないでしょうか。

 

「なぜ大企業は、これ程給料が高いのだろうか」と。

 

一方、その下に位置する子会社や中小企業といったレベルの企業は基本的に親会社である大企業よりも低い傾向にあります。一部には親会社よりも高い給料を社員に支払っている所もあるかもしれませんが、基本的には「親会社」は高く「子会社」は低いという傾向は広く見られます。

 

この理由のひとつとして、親会社は子会社を持つことによる配当金収入が、親会社の社員の給料を上げることに対して小さくない役割を果たしているのではないかと考えた時がありました。

 

もちろん基本は、その会社の本業でしっかり稼げているかということが大事なのは言うまでもありません。

 

それに加えて、その会社がいかに多くの子会社を持っているか、その子会社がいかに稼げているか、ということも子会社を持つ親会社の社員の給料を高くできるかどうかのひとつの指標ではないかと考えています。

 

例えば以下のサイトによると、日立製作所で働く社員の平均年収は平成27年で868万円となっています。

 

日立製作所の子会社というと、全て合わせると「1,000社」を越えます。ちなみに他の大企業の子会社の数をランキング形式で整理されたものが以下の東洋経済ONLINEのサイトで出ています。

 

上位にランキングされている大企業は皆錚々たる顔ぶれであり、その子会社の数はどこも何百社という数になっています。そして、ちょっと調べればわかりますが、どの企業も平均年収が高い所ばかりです。

 

これは自分の仮説でしかないのですが、子会社を多くもつ親会社の社員の給料がなぜ他の企業と比べて非常に高いのか。それは多くの子会社から配当金収入を得ていることが理由のひとつではないでしょうか。

 

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