なぜIT業界は長時間労働、激務なのか━労働集約型産業の問題点

「下請け」というとどんなイメージがあるでしょうか?

下請けとは元請から仕事を引き受けること、というのが辞書的な意味になりますが、

下請けというと建設業界やIT業界をイメージする人もいるかもしれません。

一般的に「3K職場」と言われたり、とにかく仕事がきつく長時間、元請からも理不

尽な要求を度々されるなど、あまり良いイメージはないかもしれないですね。

今回はIT業界における企業で働く人が、なぜ長時間労働、激務になるのか、という

点において、以前から考えていたことを書いていってみます。

「下請代金支払遅延等防止法」からわかる現実

日本には「下請代金支払遅延等防止法」なんて法律もあります。この法律は親事業

者と下請事業者との間における取引において、下請事業者を保護するものになって

います。

例えば親事業者が下請事業者に仕事を発注した時など、下請事業者が不利になるよ

うな料金設定や、親事業者が下請事業者への支払いを遅らせたりすることを禁止す

るものです。

日本には「火のない所に煙は立たない」という言葉もあるように、何の根拠もなく

そのものが存在するということは少ないです。

「下請代金支払遅延等防止法」という法律があるくらいですから、現実問題として

以前から上の人間が下の人間に対して、頻繁に理不尽な要求をしていたということ

でしょう。

IT業界の多くが受託開発をしているという現実

このブログでは以下のようなことを書いてきました。

現在の日本におけるSEやプログラマーの待遇がなぜ悲惨だと言われるのか、・・・

(中略)

ここまで書いたような知識を得ることでなんとなくわかってきました。

その理由は以下のようなものになります。

以下の図表は『IT Job Gate』から引用したものです。
IT産業の動向 | IT Job Gate

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元の資料は経済産業省の「平成24年経済センサス-活動調査(確報・詳細編) 」と

なっており、平成24年度の状況のものです。現在は平成28年度ですが、そう大きく

は構造は変わっていないでしょう。

上の円グラフは、日本の情報サービス産業に属する企業がどういった事業を行って

いるかを統計的に表したものです。

見ての通り、受託により製品やサービスを開発している所を合わせると全体の半分

以上になります。

受託開発とは、元請から「こんなシステムやソフトを作って欲しい」という仕事を

受けてシステムやソフトウェアを開発する事を言います。

このビジネスモデルの問題点は「1対1」であるということです。「情報」を扱って

いる企業なのに、その特性を生かすことが出来ず、「労働集約産業」のビジネスモ

デルになってしまっているのです。

この論点については「IT業界 労働集約型」とグーグルで検索するとたくさん出て

きます。結構前からこの点については議論が進んでいたようですね。

IT業界の多くの企業が労働集約型になってしまっていることによる原因は「人月」

という見積もり方法にあるようです。そのことについて以下のサイトから次の文章

を引用してみます。

IT産業が労働集約型から知識集約型に転換するために必要なこと | Synapse Diary

IT産業が労働集約型だと言われるのは、システム規模や作業内容を人月で

見積りし、その積み上げで行われているからだ。労働力がそのまま金額に

なるのだから、その金額を下げることが競争につながる。

これは問題視されているし、経産省も人月ではなくパフォーマンスベース

での契約を行うよう促している。

人月という方法を採用してことで、金額を下げないと仕事が取れない。だが法律で

は社員を解雇するのは難しくなっている。ではその状況でどうするのかというと、

「時間当たりの時給を下げる」という方法を経営者は取らざるを得なくなってきま

す。

「サービス残業」ですね。IT業界においてなぜ長時間労働、激務となるのか、とい

う理由はこれらの状況からきているのでしょう。

これに加えて人月という見積もり方法が「下請け」という地位を固定させてしまい、

悪循環を招いているのではないでしょうか。

さらに深堀して、なぜ「人月」という見積もり方法を採用しなければならないのか?

その理由は、各企業の業務内容と意識にあるようです。