なぜIT業界は長時間労働、激務なのか━労働集約型産業の問題点

「下請け」というとどんなイメージがあるでしょうか?

 

下請けとは元請から仕事を引き受けること、というのが辞書的な意味になりますが、下請けというと建設業界やIT業界をイメージする人もいるかもしれません。

 

一般的に「3K職場」と言われたり、とにかく仕事がきつく長時間、元請からも理不尽な要求を度々されるなど、あまり良いイメージはないかもしれないですね。

 

今回はIT業界における企業で働く人が、なぜ長時間労働、激務になるのか、という点において、以前から考えていたことを書いていってみます。

「下請代金支払遅延等防止法」からわかる現実

日本には「下請代金支払遅延等防止法」なんて法律もあります。この法律は親事業者と下請事業者との間における取引において、下請事業者を保護するものになっています。

 

例えば親事業者が下請事業者に仕事を発注した時など、下請事業者が不利になるような料金設定や、親事業者が下請事業者への支払いを遅らせたりすることを禁止するものです。

 

日本には「火のない所に煙は立たない」という言葉もあるように、何の根拠もなくそのものが存在するということは少ないです。

 

「下請代金支払遅延等防止法」という法律があるくらいですから、現実問題として以前から上の人間が下の人間に対して、頻繁に理不尽な要求をしていたということでしょう。

IT業界の多くが受託開発をしているという現実

このブログでは以下のようなことを書いてきました。

現在の日本におけるSEやプログラマーの待遇がなぜ悲惨だと言われるのか、・・・

(中略)

ここまで書いたような知識を得ることでなんとなくわかってきました。

その理由は次のようなことが考えられます。

 

インターネット上で確認できる様々な統計や円グラフを見ると「受託開発」が過半数を占めていることがわかります。

 

受託開発とは、元請から「こんなシステムやソフトを作って欲しい」という仕事を受けてシステムやソフトウェアを開発する事を言います。

 

このビジネスモデルの問題点は「1対1」であるということです。「情報」を扱っている企業なのに、その特性を生かすことが出来ず、「労働集約産業」のビジネスモデルになってしまっているのです。

 

この論点については「IT業界 労働集約型」とグーグルで検索するとたくさん出てきます。結構前からこの点については議論が進んでいたようですね。

 

IT業界の多くの企業が労働集約型になってしまっていることによる原因は「人月」という見積もり方法にあるようです。そのことについて以下のサイトから次の文章を引用してみます。

IT産業が労働集約型から知識集約型に転換するために必要なこと | Synapse Diary

IT産業が労働集約型だと言われるのは、システム規模や作業内容を人月で見積りし、その積み上げで行われているからだ。労働力がそのまま金額になるのだから、その金額を下げることが競争につながる。

 

これは問題視されているし、経産省も人月ではなくパフォーマンスベースでの契約を行うよう促している。

人月という方法を採用してことで、金額を下げないと仕事が取れない。だが法律では社員を解雇するのは難しくなっている。ではその状況でどうするのかというと、

 

「時間当たりの時給を下げる」という方法を経営者は取らざるを得なくなってきます。

 

「サービス残業」ですね。IT業界においてなぜ長時間労働、激務となるのか、という理由はこれらの状況からきているのでしょう。

 

これに加えて人月という見積もり方法が「下請け」という地位を固定させてしまい、悪循環を招いているのではないでしょうか。

 

さらに深堀して、なぜ「人月」という見積もり方法を採用しなければならないのか?その理由は、各企業の業務内容と意識にあるようです。

企業ごとの業務内容が違うことによって引き起こされる問題

しかし、そもそもなぜこのような現象が起きるのか?この論点をもう少し辿ってみると、日本の各企業の業務内容が、企業ごとに大きく違うから、と言われています。

 

もちろん業種ごとに違うというのはわかります。ですが、同じ業種、同じような事業内容でも企業ごとに仕事内容が異なるため、それぞれ企業ごとに一から作らなければらならない、という問題点があるようです。

 

確かに言われてみるとそれは感じます。自分は経理としてここまで何社か働いてきました。

 

「経理」というと企業のお金を扱う部署です。どんな企業でもお金を扱う以上は、ほとんどの企業に存在します。

 

ですからどの企業でも経理の仕事はほとんど同じかというとそうでもありません。

 

例えば月末の支払いに関しては、どの企業でも支払先ごとに表を作っていました。しかしその表をつくるという方法が異なってきます。

 

ある企業はエクセルで表を作って専用のシステムから支払いをしたり、またある企業は、表を元に三菱などのインターネットバンキングで入力したり、またある企業は、その表をマクロでつくったり・・・と、

 

月末の支払い方法ひとつとってもこれだけ違います。ですからパッケージ商品を自社用にちょっとカスタマイズしてもらうというわけにもいかなくなってくるのです。

 

仮にパッケージ商品を使うとなると、自社の業務を大幅にパッケージ用に見直さなければならなくなってくるので、そのようなことをして現場を混乱させるくらいなら多少お金はかかっても一からシステムを作ってもらおう、という考えになってしまうと思われます。

アメリカ企業と日本企業とのIT投資に対する意識の違い

さらに現在のようになってしまった原因を辿ってみると、アメリカ企業のIT投資に対する意識が「製品やサービス開発強化」「ビジネスモデル変革」にあるのに対し、

 

日本の企業は「コスト削減」とか「業務効率化」に重点が置かれているためです。

 

要はアメリカ企業が「売上拡大」なのに対し、日本企業は「コスト削減」に重点が置かれているということです。

 

日本企業はIT投資によって、自社の商品をどれだけ高付加価値化するか、どれだけ多くの人にアプローチして商品を売るか、という発想の所はまだ少ないということだと考えられます。

まとめ

まとめると、ひとつの取引先からひとつの商品を一からつくりあげていくのでは苦しいということです。それは個人にも言えることではないか、と自分は考えています。

 

今回の記事では、IT企業がなぜ長時間労働、激務になるのかについて自分なりの考えを書いていきました。

 

じゃあどうすれば良くなるのかという点については、字数と自分の体力の問題から、また機会があるときに書きたいと思います。

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