企業の集団凝集性や集団浅慮を解決する方法のひとつは外部の人間を積極的に入れるべき

日本のホワイトカラーの生産性の改善が進んでいないようです。

日本の製造業では、生産ラインの自動化やIT技術導入の動きが加速している。労働生産性は過去20年間の平均上昇率が主要7カ国(G7)中でトップとなっているものの、全産業の生産性の水準は最下位に甘んじている。背景には、サービス産業やホワイトカラー職場での伸び悩みがある。

これってかなり前からずっと言われてきています。サービス産業やホワイトカラーの職場では生産性が非常に低いと。

 

この問題の原因はいろいろとあると思われるのですが、ひとつは日本企業固有の「閉鎖性」にあるのではないでしょうか。

 

まぁ、簡単に言えば内部の人は外の世界に接する機会がなかなか持てない、というか上の人間がその秩序を維持するために積極的に外の情報を入れないようにしているふしすらあります。

 

それが生産性がなかなか上がらない理由のひとつだと思われるのですが、今回はこのことで以前から考えていたこと書いていってみます。

集団凝集性と集団浅慮について

中央に向かう複数の矢印

中小企業診断士などの資格試験の勉強をしていたりすると、今まで聞いたこともないような新しい言葉や概念を学ぶことができて楽しいです。その中に「グループダイナミクス(職場集団の行動様式)」といった言葉があります。

 

この言葉の意味は、多様な個人が小集団を形成すると、個人や組織には見られない固有の特性が発生します。例えば独自のルールなどが形成され、各メンバーに対してそれに従うような圧力や環境ができてきます。

 

このグループダイナミクスというものの中には、さらに

  • 集団凝集性
  • 集団浅慮(グループシンク)

といったものがあります。

集団凝集性とは

集団の凝集性とは集団の各メンバーが互いに引き合う程度、団結力やその度合いです。ある一定の集団ができると、その中に独自の基準や規範ができますが、この集団凝集性が高いほど、その内部のメンバーに対して基準や規範に従うような圧力が働きます。

集団浅慮(グループシンク)とは

集団浅慮とは、特に集団が外部と隔絶している場合、集団の凝集性が高いと集団浅慮(グループシンク)という事態が発生する可能性があります。

 

集団浅慮とは集団で意思決定を行うと、かえって短絡的に決定がなされてしまうという現象のことを言い、極端な結論に至る傾向をグループシフトとも言います。

 

集団浅慮が進むと、

  • 自集団に対する過剰評価
  • 閉鎖的な発想法
  • 画一性や同調圧力

などが生まれてしまいます。

学校の部活動に見られる同調圧力

例えば学生時代の部活動を考えてみればわかりやすのではないでしょうか。

 

野球でもサッカーでもいいのですが、体育会系的な世界というのは、基本的には先輩に絶対服従で、指示されたことがたとえ理不尽なことでも文句を言うことは許されません。

 

そういった世界は基本的に「恐怖」で内部の人間を縛り付ける傾向にあり、有無を言わせない同調圧力が高くなってくるというのはなんとなく想像できると思います。

 

そしてそういった世界であればあるほど外部の世界とは隔絶した状況になっていきます。

 

外部の世界と接していれば「明らかにおかしい」とわかることでも、体育会系的な恐怖で縛られた世界では、外の世界と接する機会とか考える余裕などは非常に少なくなってくるので、ますますおかしなルールが正しいと錯覚されていくようになります。

 

ですから、旧態依然の古い遅れたルールが長い期間残ってしまう可能性があるわけです。

 

以上のように、企業のようなある一定の集団には集団凝集性や集団浅慮といった状況が生まれる可能性が高いと言えます。

日本企業に見られる閉鎖性の背景にあるもの

特に日本の企業には

  • 年功序列
  • 終身雇用

といった文化がまだまだ根強く残っているのでどうしても内部の人間同士の過剰評価や閉鎖性が高い傾向にあります。

 

自分もここまで何社か経験してきましたが、本当にこれは感じます。その会社の文化や雰囲気に合わない人間はやはり排除する傾向にあります。

 

日本のホワイトカラーの生産性が低いといわれる理由のひとつは、やはり閉鎖性を誘引する「年功序列」や「終身雇用」にあるのではないでしょうか。

 

高齢者にとってはなるべくリスクを取りたくない、リストラされたくないという考えがあると思います。そのためには「年功序列」や「終身雇用」の絶対維持、その体制を維持するためには外部からの人間は極力入れたくない、むしろ入れられないと思われます。

 

なぜなら、「年功序列」や「終身雇用」の維持には、上の人間にとって有利なピラミッド構造にあると考えられます。

 

上の人間にとってその構造を維持したいのに、外部の人間を入れてしまったら、企業内部の各世代ごとの人口が大きく変わって、全体として秩序を維持できなくなる可能性が出てきます。

 

年功序列だと、基本的に早くその会社に入ってきた人が偉いとされます。昇進や昇給も順番という形なので、ここに外部の人間が入ってきたらそういった昇進や昇給の順番が崩れます。

 

特に大企業であればあるほど、体育会系的な色が強ければ強いほどこの傾向が顕著です。ですからどうしてもその体制を維持したくて「閉鎖的」になって外の世界を知らない状況になっていきます。

 

外の世界はどんどん進んでいるのに企業内部は停滞したまま、となれば冒頭部分でも引用したようにホワイトカラーの生産性が外国と比べて相対的に非常に低い数値になってしまうのも頷けます。

外部の人間を積極的に入れるべき

ここまでで、日本のホワイトカラーの生産性は諸外国と比べて相対的に低いといったことを最初に書きました。

 

その理由は日本の「年功序列」や「終身雇用」といった閉鎖的な環境が原因であると考えられます。ではどうすればいいのでしょうか。

 

そういった問題を解決する方法のひとつとして「外部の人間を積極的に入れていく」必要があるのではないでしょうか。

 

こういった考えは、例えば「新しい血を入れる」みたいな言葉で使い古されているかもしれませんが、現在日本のホワイトカラーの生産性を見ればわかるように、実際に出来ている企業は少ないと思われます。

 

外部の人間を積極的に入れる理由は、外部の効率的な方法を知っている人間を通してそのやり方を吸収し、業務の生産性を高められると考えられるからです。

 

というのも、これは自分の経験になるのですが、ここまで何社か経理として働いてきましたが、やはり会社によって生産性というのは違います。

 

例えば、経理の業務というのは基本的にどの企業でも大きく変わりはありませんでした。

 

しかしその中でもとあるIT企業は、毎月の月末の支払で表を作成する時に、Excelのマクロのボタンひとつで表が完成できてしまうようなプログラムをつくっていました。

 

他の会社であればそういった表をつくるのに、半日とか1日かかってしまう所もあります。ですがそのIT企業での月末の支払表を作成する時は、数分でできてしまうのです。

 

そういった会社もあるわけですから、自分のように無駄にいくつも会社を経験しているような人間だと「おぉ、この会社のこの業務はこんな効率的な方法でやっているんだな」と新しい発見もひとつやふたつではないわけです。

 

逆もまた然りです。「えっ、この会社はまだこんな方法でやってるの・・・。」という企業もあります。

 

一度も転職を経験していない人は、その会社の業務の方法しか知らないわけですから、「このやり方よりももっと良い方法がある」といった具体的な概念は生まれづらいのではないでしょうか。

 

おそらく経理とか派遣社員だけじゃなくて、いくつもの会社を経験している人であれば、ここまで書いてきた自分が見てきたような発見や知識を持っているはずなのです。

 

ですから、そのような外の世界を知っている外部の人間を積極的に雇い入れれば他社で経験した良い所を吸収できる可能性が高いと考えられます。

ホワイトカラーの生産性を上げられない障壁

普通に考えれば、外部の人間を入れれば良いというのは多くの人がある程度はわかっているとは思います。ですが、そこで障壁があります。

 

日本の企業に根強い「終身雇用」と「年功序列」です。先程も書いたのですが、外部の人間を積極的に入れれば、本来であれば次はAさんが昇進・昇格するはずだった、といった環境が崩れる可能性があります。

 

特に歴史がある大企業ほど、そういった文化を前提に今まで生きてきた人が大半なわけですから、こういった秩序を崩されると嫌がる人間が多いわけで、秩序を崩された場合生活できなくなる人がかなり出てしまうと考えられます。

 

ですが、自分は「手遅れになるまで放っておくしかないのではないか」と考えています。というのも高齢者の世代人口はその他の世代の人口に比べて非常に多く、政治的に強すぎるからです。

 

本来であれば、もっと雇用を流動化させたり、外部の人間を積極的に入れたりすればいいというのは、上の人たちでも分かっている人はいるはずです。

 

機械に代替させるという方法もあるでしょうが、とにかく今までにない新しい方法を使うと、生活できない人がたくさん出てきてしまう可能性があります。

 

では、そういった人をどうすればいいかといったことを考えた時、「ベーシックインカム」の導入になるのかなと思います。

 

なぜ最近になって、堀江貴文さんやちきりんさん、また昨今のニュースなどでベーシックインカムのことを話題に挙げるようになってきたのか。それはここまで書いてきたようなことが背景のひとつとしてあると思います。

コメント