以前ツイッターで以下のようなツイートを発見して、リツイートしました。
なかなか言葉にしづらいが、正社員の欠点てこれだと思う https://t.co/WCNsBk5kPL
— psoukonoseiri (@psoukonoseiri) 2016年10月15日
リツイート先の内容は
先生「毎月定額料払えば使い放題なものはなーんだ?」たかしくん「正社員」
という風になっていまして、「はっ」とさせられリツイートしました。
正社員というのが、毎月定額料を払えば使い放題と言われると「それは言いすぎではないのか?」と思われるかもしれません。
ですが、この考え方は最近の日本のブラック企業の事例や、電通での事件の事例から、あながち間違いではなく、ある意味ではこういった視点もあるかもしれません。
今回の記事は、このことについて以前から思うことがあったので書いていきます。
サース(SaaS)やsoftware as a serviceから考える「アズアサービスモデル」

今回の記事内容に関係があることですが、企業が利益を出すいくつかのビジネスモデルの中のひとつに「アズアサービスモデル」というものがあります。
アズアサービスとはSAASなどの総称で、今まで購入していたものを購入しないで、毎月一定額を支払うことでサービスを利用することを言います。
アズアサービスというとわかりづらいかもしれませんが、サース(SaaS)とかsoftware as a serviceという言葉は聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
これは、パッケージ商品を購入するのではなく、インターネットなどを経由してソフトウェアを利用するサービスです。
インターネットを通じて必要な機能のみを利用して、その内容に応じて使用料を支払うというものです。例えばサイボウズのスケジュール共有ソフトなどが当てはまるでしょう。
いくつかあるメリットの中のひとつとして、サービスを受ける側は、ハードウェアを購入しなくてもいいし、メンテナンスやアップグレードも必要なくなります。
例えばソフトウェアやシステムは、実際のモノではなくコンピュータ上、インターネット上で提供される商品なので、ハードウェアは必要なくなります。その分費用を抑えることができます。
毎月継続して一定額を支払う必要はありますが、初期投資を抑えることができるわけです。
また、サービス提供側がメンテナンスやアップグレードをしてくれるので、定期的な保守はサービスを受ける側はしなくてもよくなります。これによって維持管理費も抑えることができます。
サービスを提供する側としては一度契約すると、何か問題が発生しない限り安定的に収入を得ることが出来る点がメリットと言えます。
サラリーマンはアズアサービスモデル
『ビジネスモデル×仕事術』という本は企業が収益を上げるためのいくつかのビジネスモデルについて説明が書かれた本です。
本書には20個のビジネスモデルの仕組みが書かれており、個人がそれらのビジネスモデルをどう活かしていけるのか、という点についても触れられています。
本書では以前から気になっていた部分があり、そこには次のような文があります。
p.174
会社員というのはある意味アズアサービスモデルと言えます。毎月給料をもらい、会社が指定した業務を行うのです。会社がなくならない限り、終わりのない契約を更新している状態と言えるでしょう。
給料が安いという不満を持っている人は多いと思いますが、自動更新の契約で途切れなく安定的に給料が支払われる状態は非常に安定しているのです。
不安定な職にある場合と比べると失業期間がない分、トータルの収入は多くなりやすいのです。これは比較的安い価格で長く継続することによって利益をあげるアズアサービスモデルと同じです。
つまり経営者の側から見ると、会社員にサービスを提供してもらい、毎月一定額を給料として支払うというものです。上記の文章は、最初読んだ時にちょっとショックを受けたのを覚えています。
「そうか、経営者側から見ると正社員というのはビジネスモデルの中のひとつの道具に過ぎないのかもしれない・・・」と感じたのです。
普段多くの人が使っているものにインターネットがあります。毎月一定額を支払えば、基本は使い放題ですね。
丸一日インターネットに接続して画面を表示していても、多少電気代などはかかりますが、インターネット代に支払う料金は変わりません。
「定額制」というものに対して多くの人は、特に節約意識は持たずに使っているのではないでしょうか。むしろ
「定額制なんだから、むしろ使わないと損してしまう。使えるだけ使おう」というのが普通でしょう。
それが人間に対しても行われる余地は十分あるということです。見方を変えると、我々の「正社員」という働き方というのは恐ろしい部分があるなぁと感じます。
そのような事情があったので、冒頭のツイートを見たときにいろいろ考えさせられてしまったわけです。
電通での過労死事件の事例
最近は電通で発生した過労死の問題がメディアで大きく取り上げられています。東京大学卒業の高橋まつりさんが長時間の残業で亡くなられた事件です。
自分が気になる点は「東京大学」を卒業されたにも関わらず、過労死に至ってしまったことです。
今までであれば、過労死というのは外食産業などの店舗の現場において長時間労働で休めずに起きてしまう、というイメージがありました。例えばワ○ミの事件など。
自分も以前外食産業で働いていた経験があるので、現場の惨状はよくわかります。
電通は広告代理店であり、外食産業とは違うとは思いますが、東京大学を卒業された高学歴の方でも今回の事件が起きてしまったことについて、現場の人間とかそうでない人間とか関係なく過労死に至る可能性はある、
もうそのような時代になってきてしまったのかもしれません。
企業間競争が激しさを増して、有名大学卒業の正社員といえども「使い放題」しなければ生き残るのが難しくなってきてしまっているのでしょうか。
今後の日本における「働き方」という点において、企業側においても、労働者側においても、根本的にやり方を見直したり、考え方を変えていく必要があるのではないか、と感じました。
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