厚生労働省がやっと本気を出してくれたようです━334件のブラック企業リストを公開、今後は毎月公表

厚生労働省がやっと本気を出してくれました。厚生労働省が334件のブラック企業リストを公開しました。今後は毎月公表されるとのことです。以下がそれに関する記事です。

厚生労働省は5月10日、長時間労働や賃金不払いなど労働関係法令に違反した疑いで送検された企業などの一覧を作成し、公式サイトで公表した。

 

2016年10月〜2017年3月の間に送検された334件分の内容をまとめたもので、全国の企業・事業場名や違反内容などが記載されている。2016年12月に社員に違法な長時間労働をさせた疑いで書類送検された、電通の名前もあった。

 

リストは毎月更新。送検を公表した日から約1年間、公式サイトに掲載される。

やっと・・・、やっとですよ。どれ程この時を待ち望んできたことか。いや、期待という気持ちもあった一方で、むしろ永遠にこの時は来ないであろうという諦めもありました。

 

ですが、こういったこともあるんですね。今回はこのことについて書いていってみます。

厚生労働省のホームページにある「労働基準関係法令違反に係る公表事案」について

裁判に使うハンマー

334件のブラック企業が書かれたリストは以下の厚生労働省のホームページからPDFで確認することが出来ます。

インターネット上では、既に多くのところで批評がされていますが、今回のブラック企業リストに掲載された企業の多くは製造業と建設業のようです。

 

そして、掲載理由としては自分が見た感じでは次の項目が多いと感じました。

  • 労働安全衛生法第20条
  • 労働安全衛生規則第519条

もちろんこの2つだけではなくて、違反した企業の理由の条文はもっとたくさんあるのですが、とりあえず目に付くものでどんなものがあるのか、ということで引用してみました。

 

この2つの法律がどういった内容なのかというのを簡単に見ていってみます。

労働安全衛生法第20条について

 第四章 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置

(事業者の講ずべき措置等)
第二十条  事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 

  1.  機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
  2. 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
  3. 電気、熱その他のエネルギーによる危険

今回公表されたブラック企業の内訳としては、おおまかに「製造業」と「建設業」が多いといったことを書きました。今回引用した労働安全衛生法第20条の内容から見るに製造業での違反ということでしょう。

 

要は機械とか危険物などの安全に対する措置をしていなかったということですね。確かに製造業の現場で働く危険性って人づてで結構聞いたりするんですよね。

 

例えば「指を切り落とした」とか。最初はそういった話を聞いた時は冗談じゃないかと思ったんですけど、その現場経験者の具体的な仕事内容とか、実はこういうことって珍しくないといった話を聞いたことはありました。

 

なるほど、今後の製造業はより一層の安全性が求められるということですね。

労働安全衛生規則第519条について

第519条

事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆(おお)い等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。

 

2  事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。(昭五〇労令五・一部改正)

この引用した労働安全衛生規則第519条の内容を見るに、建設業についての内容ですね。

 

建設業の現場では、建物を建てるときに「足場」を組んで作業をしている風景をよく見かけたりします。

 

今回の違反企業の事例では、この足場がしっかり組まれていなかったり、手すりがつけられていなかったりと、ケガをしないような周りの環境において安全性が整備されていなかったということでしょう。

 

建設業は、この「安全」に関することはかなり口うるさく言われているので、こういったことに敏感なのはよくわかります。

 

今後の建設業も安全に対する改善策が必要なようです。

電通:労働基準法第32条の違反に関する事例

あれ!?「電通」は!?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫です。今回引用したPDFでCtrl+Fで会社名を入力して検索すれば見つかります。

 

電通は以前、東京大学の女性を過労死させた件がありました。そのことに対する直接的な措置かはわかりませんが、PDFでは「労働基準法第32条」の違反で書類送検されています。PDFには具体的は以下のように書かれています。

(株)電通 東京都港区 H28.12.28 労働基準法第32条

労働者2名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの

H28.12.28送検

今回のこの電通の掲載理由は「36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせた」とあります。

 

単純に決めつけることはできませんが、製造業や建設業の「安全に対する違反」だけではなく、今後の企業が違反になる対象の範囲に「長時間労働に対する違反」も入ってくるということでしょう。

 

今回のブラック企業リストからわかるように、今後は「長時間労働に対する抑制」ができない企業は、今回の電通の件と「今後は毎月公表」という発表から、多くの企業がブラック企業リストに掲載される可能性は高いと考えられます。

厚生労働省のブラック企業リスト334件からわかること

ここまで簡単に厚労省のブラック企業リスト公開の事例を簡単にまとめてきましたが、「まさか本当に公開するとは思わなかった」というのが今の自分の率直な感覚です。

 

というのも、今までは「どうせ口だけだろう」と思っていたからです。

 

日本には「労働基準監督署」という所があるのですが、会社で働いている人が労働法違反とかパワハラに遭った場合は、ここに連絡した方が良いとされていたのですが、インターネット上での評価としてはすこぶる悪かった。

 

なぜなら、労働基準監督署に報告しても何もしてくれないと言われており、自分も過去にここに連絡したことはありました。その時は「証拠が必要」と言われました。

 

パワハラされた証拠といっても、本気で証拠を得ようと考えるなら常にICレコーダーを携帯して1日中全ての周りの音声を記録しなければなりません。

 

仮にそれができたとしても、もしかしたら何かの拍子で誰かに知られてしまうかもしれませんし、そうなったら会社に居づらくなります。

 

仮に運よく証拠を得られたとしても労働基準監督署の人間がしっかり対応してくれるかどうかはわかりません。

 

そういったことから、本気で証拠を用意するなら手間も時間もかかるし、何より証拠を揃えられたとしても、ちゃんと対応してくれるかどうかもわからないわけですから、おそらく多くの人が「泣き寝入り」せざるを得なかったことでしょう。

 

しかし今回の事例からわかるように、「政府がブラック企業を公表」したことで多くの企業が「今までとは違い、政府は本気でやるんだな」と認識したのではないでしょうか。

 

インターネット上では、「たった334件しか公表しないの?」といった意見もありましたが、「今後は毎月公表」とあるように、これから多くのブラック企業が多くの人の目に晒されることでしょう。

 

日本には全ての企業を合わせると「300万社以上」あると言われています。その中から全ての企業を調査してブラック企業を見つけるというのは非現実的でしょう。

 

ですが、「実際に政府は動くんだ」と多くの企業に認識されるだけでも、従業員に対する企業の横暴は抑止されるようになっていくはずです。

 

今後も政府に対してこのような対応を期待していきたいですね。

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