前回は、昔の無知な自分が企業の工場の海外移転と、日本と外国との賃金格差について書きました。以下が前回の記事になります。
今回は自分が大学時代、新聞奨学生をしていた時にいろいろと考えていたことを書いていってみます。
新聞奨学生をしながら考えていた世の中に対する疑問
大学時代新聞配達をしていた、ということを前回書きましたが、一区域300件前後とはいっても、毎日朝刊夕刊と配達していると嫌でも配達場所を覚えます。数ヶ月もするとほとんど無意識でも配れるようになるので、新聞を配りながら考え事もできるようになります。例えば
- 「なんで自分みたいに新聞配達しないと大学に行けないような人間がいる一方で、親に経済力があるというだけで大学でほとんど勉強せずに遊べている人間がいるのか?」
- 「なんで企業側の人間は『大学生はもっと遊びなさい』と言うのか」
- 「そもそもなんでこのようなことが起こるのか」
- 「自分のような環境の人間に比べて、学費を出してもらえる人の親ってどんなレベルの人なのか」
- 「そういう人の親ってどんなことを考えてどんな生き方をしてきたんだろうか」
なんてことを考えながら配達してました。
そのときはいろいろと自分が理不尽な環境にいると思っていたので、とにかくいろんなことに疑問を感じていました。「なぜ自分だけこれ程苦労しなければいけないのだろうか」と。
しかし、このように理不尽に思えた日々もただ悪いことだけではありませんでした。このように日々考える習慣と、新聞を読むという習慣が構築されていった中で、ある日断片的な知識が繋がるときがあったからです。
点と点が繋がる時
「ああ!だから企業は海外に工場を移転してるのかあ」と。
企業とは、日々営利を追求する組織体であり、そのために
- 研究
- 開発
- 設計
- 製造
- 流通
- 販売
- カスタマーサポート
といった価値連鎖(バリューチェーン)を常に高めようと努力しています。wikipediaにおいて価値連鎖(バリューチェーン)は次のように書かれています。
バリュー・チェーン(Value Chain)とは、元々、マイケル・ポーター (1985)が著書『競争優位の戦略』の中で用いた言葉。価値連鎖(かちれんさ)と邦訳される。
ポーターはバリュー・チェーンの活動を主活動と支援活動に分類した。主活動は購買物流 (inbound logistics)、オペレーション(製造)、出荷物流(outbound logistics)、マーケティング・販売、サービスからなり、支援活動は企業インフラ、人材資源管理、技術開発、調達から構成される。
バリュー・チェーンという言葉が示すとおり、購買した原材料等に対して、各プロセスにて価値(バリュー)を付加していくことが企業の主活動であるというコンセプトに基づいたものである。(売上)-(主活動および支援活動のコスト)=利益(マージン)であるため、図示した場合にはバリュー・チェーンの最下流にマージンと記載される。
上記のような企業内の各事業活動の向上に腐心していても、競争相手に勝つのが難しくなってくる時があります。
企業は技術の蓄積などで価格競争を回避するようにしていますが、その価格競争が回避できなくなってくると、効率化やなんらかの経費のカットを考え始めます。経費の削減によっても価値連鎖の向上「売上-コスト=利益」なので、コストを削減すれば利益は向上します。
なぜなら、研究・開発は確かに企業に大きな利益をもたらしてくれる製品をつくれる可能性はありますが、多額の資金がかかり、時間もかかります。
一方、経費の削減であればそれ程時間をかけずに費用を削減することができます。その中のひとつが「人件費」であったりするわけです。昨今の成果主義といった人事施策は、今までであれば固定費としていた人件費を変動費できるようにすることで全体の人件費を削減しようというのが目的と言われています。
一見すると、真面目に頑張った人が報われるようになる制度のように見えますが、全てがそういった意味ではなく、その根底には人件費の削減が狙いのようです。その人件費のカットも限界になってくると海外の安い土地代や安い人件費を視野に入れるようになっていきます。
工場を海外に移転することで安い労働力、安い土地、安い建物(工場)を得ることができる、それによって今までに比べれば安い商品がつくれるようになり、国内や外国の企業の商品に価格で負けないようになってくる、
という自分なりの答えが見つけられるようになりました。(今でこそ勉強して理由はそれだけではないということがわかりましたが)
新聞奨学生として働きながら、いろいろな考えを巡らす事で、自分の中でここまで書いてきたような新しい知識や価値観みたいなものを得ることできるようになっていきました。
そのような経緯もあって、なんとなくお金とか、経済とか、世の中の仕組みについて面白さを感じるようになっていきました。
以下が続きの記事になります。
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