クラウドソーシングの使い方のひとつに製薬会社イーライリリー社のInnoCentiveを利用した集合知がある

「こんな解決の仕方があったんだぁ」

最初にこのような方法があるというのを知った時は、まさに「この発想はなかった」という感じでした。

 

自分の中で今まで理想としていたことが少しずつ現実になっているという感覚があり、今回はそれについて以前から考えていたことを書いていってみます。

イーライリリー社によるInnoCentive

クラウドソーシングによって、今までになかった新しい課題解決方法ができるようになりました。その事例の1つとして、アメリカの製薬会社のイーライリリー社が、研究開発においてInnoCentiveというクラウドソーシングサイトを利用したものがあります。

 

そのサイトは2012年時点で、25万人、200か国を超える「Solver(解決者)」が登録しており、1200万ドル以上の懸賞金が払われ、課題の解決率は50%を超えているそうです。

 

イーライリリー社がInnoCentiveを利用した事例に関して『クラウドソーシングの衝撃 』に 以下のように書かれています。

p.32

「課題を解決した人の多くは、課題とは違う分野では当たり前の知識を利用しているケースが多い。実際にInnoCentiveを調査したところによると、課題を解決した73%の人が以前から課題の解決方法を知っていたと述べている。

 

企業内の限られた人材では解決できなかったことが、人材の多様性を拡大し、世界規模の人材マーケットにある知恵を活用して容易に解決できるようになっているのがわかる。」

引用ここまで

 

つまり、自社で課題が解決できない場合は、世界中の人間の知恵(集合知)を借りて課題を解決することができるということです。

 

以下にその課題解決法に伴うメリット、デメリットを書いていってみます。

 

クラウドソーシングのメリット

情報の非対称性を利用した搾取が行いにくくなります。情報の非対称性とは何かというと、例えば自分と相手がいたとします。相手が持っている製品や知識の価値を自分は知っているが、相手がその価値を知らないため情報の不均衡が起きている状態。

 

本当は相手が持っている知識は価値があるけどそれを知らないので安く買い叩ける状態などが当てはまります。

 

もう一つは地理的制約をなくすことができます。例えば子どもの学力が当てはまると思います。今までは、東京都に住む子どもであれば、塾や大きな本屋が多くあるなど、勉強する環境が整っていると言えます。

 

逆に自分が住んでいた地方の衰退しているような田舎であれば塾や大きな本屋などまず近くにはありません。そういった地理的制約やなくすことができるようになるということです。それについて本書では具体的に以下のように書かれています。

p.60

「それは、そのスキルがいかに希少価値のあるものであっても、市場自体が小さいため、その特別な市場だけの評価に留まっていたからである。

 

つまり、そのスキルを持つワーカーが、特殊性や希少価値を理由に賃金アップを要求しても、それに見合うだけの市場がなければ、雇用側としてもその要求に応えることはできない。

 

というよりも応える必要がないのである。さらに、雇用側が、特殊スキルを持つワーカーに限定されるものではない。

 

一般的なスキルであっても、「仕事が丁寧で早い」とか「緊急対応ができて納期も守る」といったワーカーは市場価値が高いはずであるが、雇用継続を保障するだけでごまかされていることが多い」

引用ここまで

 

なるほど、確かにそれは言えるかもしれませんね。クラウドソーシングによって、上手く利用できる企業にも個人にもメリットがあると言えるかもしれません。

 

これは個人だけでなく下請けや孫請けなどの企業にも言えます。今までは親会社から安く買い叩かれていたけれども、クラウドソーシング市場に参加してみたら思いのほか評価されて下請けから脱却できる、ということも考えられます。

 

これからは、その人やその企業の本来の価値が現れていくような社会になっていくのかもしれません。

クラウドソーシングのデメリット

デメリットはメリットの反対を考えればわかりやすいでしょう。今まで安く人や下請けを買い叩き、自社の人間の能力の向上や製品への投資を怠ってきた企業は、その価値があらわになって権威が失墜してしまうかもしれません。

 

最悪の場合、価格競争に巻き込まれて倒産の可能性もあるでしょう。今よく言われているブラック企業とも言えます。

 

もう一つは、格差が拡大していくと思われます。今までは情報の非対称性や地理的制約によって、競争はそれ程激しくはありませんでしたが、今後はその制約がなく広い市場で比較されるようになります。

 

そうなれば、誰がどれくらいの能力を持っていて、いくらかかるかもある程度比較できるので、その差ははっきりしてしまいます。もしくは、あえてその市場に参加しないという手段も考えられますが。

まとめ

要は新たな技術によってその人やその企業が今までしてきたことがより顕在化してくる可能性が高いと言えると思います。

 

真面目にコツコツと努力してきたならば、より多くの恩恵にあずかれるでしょう。逆に努力を怠ってきたならばそれに相応しい地位に甘んじるしかなくなるかもしれません。

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