『システム・シンキング入門』を読んでみて━因果ループ図という発想

インターネットによって多くの人が、数多くの情報やデータに触れられるようになりました。例えば総務省の毎年の日本の経済状況の統計であるとか、EDINETなどの企業の財務情報も今では誰でも手軽に見ることも出来ます。

 

もっと一般的な視点で見れば、日々の天気予報や料理のレシピなど様々です。そういった情報を整理するのに最も手っ取り早い方法は問題を「要素」に分けていくことと言われています。

 

例えば企業の売上高を分解する場合、「価格」と「数量」といった形で分けることができます。このように個々の要素に分解して見ていく事を「要素還元アプローチ」というらしいです。

 

しかし今日紹介する西村行功さんの『システム・シンキング入門』には、それだけでは不十分だと書かれています。

 

なぜなら問題の本質は、要素間の関係性にあるからです。その関係性を理解するには問題を「分ける(アナリシス)」だけでなく、「統合する(シンセシス)」考え方も必要になるようです。

 

『システム・シンキング入門』を読んでみて、様々な問題の捉え方には「こういう発想もあるんだなぁ」と感じたので、今回は本書の「因果ループ図」やその考え方について書いていってみます。

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因果関係や相関関係で捉える考え方

例えば会社の売上高が前年度に比べ下がってしまった場合、

 

  • 「価格を高くしたからだろうか」
  • 「販売数量が前年度と比べて減ったのだろうか」
  • 「他に何か原因があるのだろうか」

 

といった視点で原因を探っていくのではないでしょうか。こういった考え方は「原因と結果を探る」という意味で因果思考と言われたりします。

 

また、他社が価格を下げ場合、自社の顧客がそちらに流れてしまい、自社の売上が下がったのであれば、他者の商品価格と自社の商品価格の関係は相関関係があると言えます。

 

このような考え方が要素還元アプローチと言われていますが、これでは解けない問題も出てきます。それが各要素が絡み合っているような複雑な場合です。

 

「時間」という概念を入れて考えてみる

p.25

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上記の図はある商品があったとして、低価格化から始まる好循環が示されています。一般的に多くの商品は、需要と供給の関係から価格が下がると需要が伸びることが知られています。

 

この図ではある商品が、低価格→数量の増加→低価格化という因果関係が循環する様子が書かれています。

 

しかし、上記の図に「時間」の概念を取り入れたらどうなるでしょうか。低価格化によって売れる数量も増えてきますが、それによって市場に商品があふれて飽和状態になってきます。

 

また、「安かろう悪かろう」とはいかないまでも、顧客が飽きを感じたり、ブランドイメージも低下してくると考えられます。

 

例えばブランドバッグなども高価だから自分のステータスを高めるものとして人気があるのであって、100円ではブランドイメージも低下してしまうでしょう。

 

そのような考え方を表したのが以下の図になります。

p.28

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低価格からブランドイメージが低下していき、「マーケットシェアの増加」にマイナスの影響を及ぼしています。このことによって販売数量の増加にブレーキがかかっていくわけです。

 

これらのフィードバックからわかることは、自らが原因を意図的につくりだした場合、それが結果を経て自らが生み出した原因そのものに影響を与える、という形になっているわけです。

 

本書では上記のようなループ図が、様々なケースにおいて書かれています。システム・シンキングは因果ループ図を使って、システム全体を俯瞰し理解することに主眼が置かれている考え方になっています。

 

この本全体を通して伝えようとしていることは、

 

  • 「目先の問題に短期的な視点で解決を図ろうとしても、自分の思うような結果になるとは限らない」

 

ということだと思います。

 

全体の構造を理解し、表面に見える問題に繋がっている根本的な部分はどんなものなのか、その部分にどう対処すれば全体としては解決できるようになるのか、ということの方が重要です。

 

こういった点に関して、もう少し触れていってみます。

システムというものについて

p.37

部分だけを取り出して機能させることができないもの、すなわち、個々の要素(部分)が互いに依存していて、かつ、全体としてひとつの機能をするものをシステムと呼びます。

本書ではシステムについて、上記の引用文のように定義されています。

 

もう少し具体的な例を挙げれば「都市」が考えられます。都市の中には、多くの人や車、電車が行き交う「交通」があります。これは信号機や線路のような物理的なハード面だけではなく、「交通ルール」や一人ひとりの「気遣い」といったソフト的な面もあります。

 

そういったひとつひとつが相互に依存しており、ひとつの都市として機能していると言えます。

 

こういったシステムに何らかの影響を及ぼした場合、何らかの結果が表出してくる、その対象のシステムの構造はどうなっているのか、その構造に対する影響の及ぼし方、影響の及ぼし方によってどう結果が変ってくるのか、

 

これらのことを考えられるようになると、物事に対して違った視点で見られるようになるようです。

 

私たちが生活しているこの世界には、生態系や交通、企業内のルールなどシステムに関して、多くのパターンや構造があります。そういったパターンや構造に対して、どう対応すると、どう変わっていくのか、についてはまた次回に

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