最近とあるブログの記事から興味を持ち、本田直之さんと四角大輔さんが書かれた『モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには』という本を購入して読んでみました。
「これからの新しい生き方」という分野には非常に興味があったので、夢中で読み進めることができました。
以前からこの分野には興味を持っていて、
- ダニエル・ピンクの『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』
- リンダ・グラットンの『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図』
などを過去に読んだ経験があります。
いろんな情報を取得していると、「アメリカは日本の20年先をいっている」という言葉に出会った時がありました。なるほど、確かに腑に落ちることがいくつもあります。
音楽やビジネスなど様々な分野で基本的にアメリカで流行ったものは数年したら、日本でも流行るという話は聞いたことがあります。
だからアメリカでフリーエージェントといった、会社に依存せず個人で独立して生活するスタイルが広がっているということは、今後日本でも広がっていくであろうという予想はある程度理解できます。
しかしこの話には別の方面から批判もあって、「アメリカでフリーエージェントが広がっているといっても、実態はそれほど恵まれたものではない」とか、「レイオフなど雇用に関して柔軟なアメリカだからできることであって、日本ではまだまだ先のことだろう」とか、様々な意見を目にします。
そのような意見の背景には「そういったライフスタイルを実現できるのは一部の優秀な人間だけであろう」という考えがあるのではないでしょうか。
このブログでは自分の社会人経験についていくつか記事を書いてきていて、ある程度そういった記事を読んだことがある方ならわかると思うのですが、会社というものに対して「だいたい批判的」に書いています。
これは実体験なのですが、会社の人間というのは、特に中高年の世代というのは下の世代の人間に対して「よくもまあこれ程までに残酷に人を切れるものだ」と悪い意味で度々感心してきました。
そういった経験を何度も重ねてきている自分なので、「どうにかして会社に依存しないで生きていく方法はないものか」といった想いが年々強くなってきたわけです。
そういった想いが引き寄せたのか、今回の『モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには』という本に出会い、購入してみたわけです。
今回は本書について思ったことを書いていってみます。
「モバイルボヘミアン」とは
p.2
モバイル[mobile]
動ける、動かしやすい、機動性のある、移動型の
ボヘミアン[bohemian]
古い慣習にとらわれない人、自由奔放に生きている人
著者が本書を通して伝えたい「モバイルボヘミアン」の定義によると次のように書かれています。
p.46
モバイルボヘミアンの「モバイル」には複数の意味が込められているが、その一つは言うまでもなく、モバイルテクノロジーのことだ。
もしiPhoneやMacBook、インターネットがなければ、ぼくはニュージーランド在住のただの釣り好きだし、ナオさんはハワイに住んでいるただのサーファーだっただろう。
そして、「ボヘミアン」の語源は、「(ジプシーや放浪者のような人たちを指して)自由奔放に生きている人」というもの。
さらに、ぼくはそこに「古い慣習に囚われすぎず、自由な発想ができ、クリエイティブな思考を持つ人」、「世の中に流されずに自分の心や信念に従って生きている人」という解釈を加えている。
ちなみに今回の記事のタイトルにある「オルタナティブ」の辞書的な意味は次のようなものです。
オルタナティブ(alternative)
- 代替の
- 二者択一の
つまりこれからの時代は、モバイルテクノロジーを利用して、
- 1つの古い価値観に囚われない
- 多様な価値観
- 多様な選択肢から自由な発想で自分の行きたい方向を選んでいく
という生き方という風に解釈すればいいでしょうか。
まさに自分が理想としていた生き方です。
とはいえ、そのような理想を持つことは出来ても実現させるのは難しく、仮に実現できたとしても選ばれた一部の非常に優秀な人だけだろう、と考えるのが普通でしょう。例えば本書の著者である本田さんや四角さんなどです。
しかし、そのような「一部の人がだけしかできない生き方」という多くの人が持つであろう考え方に対して、本書ではインターネットやモバイルテクノロジーが発達した今の世界であればそれ程難しいことではなくなっていると述べています。
本田さんや四角さんは現在のような生き方ができるようになるまで「20年」もの歳月を要したとあります。ですが、様々な技術が発達した今の世界であれば、その3分の1、10年もかからないだろうとのことです。
ノマドワーカーとモバイルボヘミアンとの違いは?
本田直之さんの過去の著書を読んだことがある方であれば「ノマドワーカー」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「ノマド」(nomad)とは日本語に訳すと「遊牧民」となります。
ノマドワーカーとはつまり「自由に旅し、国境を越え、自由に生き、自由に仕事をする」というライフスタイルになぞらえたものです。ですがこの言葉には、いくつか懐疑的な意見もあったようです。
それは、カフェで仕事をする人=ノマドワーカーという風に、オフィスに行かなくても働ける「小さな仕事のテクニック」という認識です。
モバイルボヘミアンとはノマドワーカーの次のフェーズであり、本書では次のように書かれています。
p.31
ノマドワーカーを「どこにいても仕事ができる人」とするならば、モバイルボヘミアンはそこに加えて、「仕事とプライベートの境がなくなってきている状態」を指す。旅するように生き、だれにも縛られずに自由に生きていける、究極の生き方と言えるだろう。
今までであれば「仕事は会社に行ってするもの、プライベートは外」という認識がありました。しかしモバイルボヘミアンという生き方は、その境界がなくなっているとのことです。
モバイルボヘミアンとして生きられるようになるために重要なこと
そして本書では、モバイルボヘミアンとして生きられるようになるには次の3つが重要であると書かれています。
- モバイルテクノロジーの活用
- 複数のスキルを身につけること
- 複数の収入源を持つこと
なぜモバイルテクノロジーを活用できるようになると良いのか。なぜ複数のスキルを身につけることが重要なのか。どうすれば複数の収入源を持てるようになるのか。
本書を読んでいただければ、
「あぁ、だからiPhoneやスマホを使えるようになると良いのか」といったことや
「なるほど、複数の収入源を確保するにはこういった方法やルートがあったのか」
といったことに気づけるかと思います。
以上のことは、本田さんと四角さんのこれまでの経験から具体的な事例が本書に書かれています。冒頭部分では、会社に依存せず生きていくことができるのは、一部の優秀な人間だけであろうといった意見もある、ということを書きました。
本書ではそのような一部の優秀な人間だけではなく、著者たちの長い年月を通した地道な活動や具体的な事例から、「必ずしも優秀な人間だけではなく、普通の人でも今の時代であればモバイルボヘミアンとして生き方は可能なのだ」ということが伝わってきます。
本書を読んだだけで、本当に普通の人でも会社に依存しないで生きられる、と言いきれるわけではないですが、著者たちの現在までに辿ってきた具体的な道筋は大きく参考になるでしょう。
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